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  • CAMとは?CADとの違い・メリット・活用手順などを解説!
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    2024.08.20更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    図面を製作するソフトとして、CADを知っている人は多いのではないでしょうか。しかし、CADで作った図面を実際に製造するには、CAMと呼ばれるソフトウェアを使う必要があります。今回は機械製作に欠かせないCAMソフトについて、役割やメリット、ソフトの機能の違い、使い方などを網羅的に解説していきます。

    CAMとはどんなソフト?

    まずはCAMの基本的な情報について解説します。CAMの正式名称は「Computer Aided Manufacturing」で、製造をコンピュータが支援するという意味を持ちます。完成物のイメージを作成するCADに対し、製作工程をどのように進めるかを管理するのがCAMソフトです。

    CAMソフトは、パソコン上で製作工程の指示を決め、工作機械へ転送して製造を行うのが主な使い方です。工作機械への指示出しの具体例として、使う工具の種類や動かすスピード、動かし方などが挙げられます。

    CAD・CAEとの違いは?

    CAMとよく似た言葉として、図面を製作するCADソフトやパソコン上で製作物のシミュレーションを行う「CAEソフト」があります。これらのソフトは名前が似ていることから混同しやすいですが、用途は全く異なります。

    まず、最も有名なCADソフトとは部品や製作物の製作イメージを作図する製図ソフトです。平面図を作図する2DCADと立体図を作図する3DCADがあり、比較的シンプルな図面は2DCADで、複雑な形状をした部品や最終製造物は3DCADで作るケースが多いです。

    一方、CAEソフトは製作物に加わる応力や空気抵抗などをシミュレーションするエンジニアリングソフトです。CAEソフトが主流になるまでは、製作物の耐久度はサンプル品を用いた実試験によって確かめるのが普通でした。しかし、パソコンの処理性能などの向上に伴い、熱や力、空気抵抗などの外力計算が容易になったため、CAEソフトが誕生しました。

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    CAMソフトを使用するメリット

    CAMソフトの使用には製作機械の制御が分かりやすくなる、製作工程の管理や調整がしやすい、製作工程をシミュレーションできるなどのメリットがあります。製作機械の挙動指示は手動で行うことも可能ですが、製作工程の全てを人間の頭の中で考えて1からプログラムに書き起こすのは非常に手間と時間がかかります。

    しかし、CAMソフトを使えば、製作機械の動きをソフト上で視覚的に指示できるため、各工具の動きや製作物の加工工程が非常に分かりやすくなります。製作シミュレーション機能の付いたCAMソフトであれば、工具同士の干渉や部品の食い込み、削り残しといった工程ミスを減らすことも可能です。また、製作工程にかかる想定時間も把握できるため、製作時間の調整が楽になる上にボトルネックとなる工程の解消にも役立ちます。

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    CAMソフトの違いを生む項目

    CAMソフトと一口に言っても、用途などによってソフトの使い方やソフトの種類そのものに違いが生まれます。そこで、ここからはCAMソフトの用途や性能を左右する違いについて、具体的な項目を挙げながら解説していきます。

    内部のデータ形式

    CAMソフトで違いを生む項目の1つ目にソフト内部のデータ形式が挙げられ、代表的な型式にはフィーチャ型、サーフェス型、ポリゴン型の3種類があります。フィーチャ型は穴あけを含めた2次元加工で使用される形式で、複雑な平面加工が必要な部品製作に使用されます。サーフェス型は主に3次元加工に使用される形式で、曲面情報を有しているため複雑な形状の加工も得意な反面、データの計算速度は遅くなりがちです。

    これに対してポリゴン型は、同じく3次元加工に使用するものの、曲面情報を微細な2次元データの集合として近似するため、精度を犠牲にして処理速度が改善されています。2次元加工ならフィーチャ型、高精度な3次元加工ならサーフェス型、速度重視の3次元加工ならポリゴン型と区別して覚えておきましょう。

    加工機の軸数

    CAMソフトの違いを生む項目の2つ目は加工機の軸数で、主に3軸と5軸の2つに分かれます。加工機の動く方向の多さを決める項目で、軸数が変わると加工方法や仕上がりが変わってきます。3軸はx,y,z軸方向にのみ加工機を動かすパターンで、平面加工や溝出しなどのシンプルな加工に向いています。

    これに対し、製作物の回転や斜め方向の加工が必要な場合に使うのが5軸で、x,y,zの3軸に回転軸と傾斜軸の2軸を加えることで3軸よりも精度の高い加工が可能です。5軸には回転軸と傾斜軸を固定し、残りの3軸を可変させて加工する固定5軸と、回転軸と傾斜軸も同時に可変しながら加工する同時5軸があり、曲面加工など複雑な加工が必要な場合は同時5軸を使うのが適しています。

    加工形式

    最後の項目として、2DCAMや3DCAMといった加工形式の違いが挙げられます。名前からイメージがつくと思いますが、2DCADで製作した平面図をベースに加工設計するか、3DCADで作った立体モデルをベースに加工設計するかの違いです。2DCAMでは平面上の穴あけや特定形状の輪郭取りが中心の加工設計となり、設計プログラムの汎用性が高く、直線や弧で定義された図面データをほぼそのまま活用できるため、製作物の精度に優れます。

    一方の3DCAMでは立体的な造形物を製作する加工方法を設計する関係で、工具動作を2軸から3軸以上同時に動かす必要があり、一部の曲線や曲面が細かな直線の近似になるため造形物精度はやや低下します。また、複雑な立体モデルの加工方法を指定するため、設計プログラム自体の汎用性も高くありません。なお、加工形式にはこの他に平面図形の輪郭部分に傾斜を設ける2.5DCAMも存在し、2DCAM同様精度の高い造形ができることが知られています。

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    CAMソフトを活用する具体的な手順

    最後にCAMソフトを使って実際に製作物を作る手順について触れておきます。製作の起点は図面製作から始まるため、まずは2DCADや3DCADなどの製図ソフトを用いて製作物の完成イメージを製図します。大切なことは製造業などの場合、図面製作工程と実際の加工/製作工程に携わる人が違うので、細かい仕様まで第三者に伝わる図面を作ることです。

    図面が出来上がったらいよいよCAMソフトの出番で、使用する工具や軸数、データ形式、加工形式をソフト上で設計をしていきます。CAMソフトで作る加工方法のデータはNCプログラムと呼ばれ、NCプログラムの出来具合が実際の造形物のクオリティを左右すると言っても過言ではありません。NCプログラムが出来上がったら、CAEソフトによるシミュレーションや実際の製作を経て加工工程の検証と改良を図ります。

    寸法や曲面の曲率などの見た目が図面通りであっても、強度が不足していたり、工程に無駄な動作が多い場合も考えられます。品質、製作コスト、製作時間など様々な観点を考慮しながらプログラムを書き換え、最適なNCプログラムを目指しましょう。

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    まとめ

    今回は製造業における機械加工に必須とも言えるCAMソフトについて解説しました。CADソフトの名前を知っている方でもCAMソフトの存在は知らなかったという方も多いのではないでしょうか。CAMの存在や役割を知っていれば、図面を作る段階から加工設計のことを視野に入れたり、無駄な工程や人員の削減を検討するなど製造プロセスエンジニアリングにも役立ちます。CADソフトやCAEソフトなどの似た用語、製造プロセス全体の流れも併せて覚えておきましょう。

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