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インバーターの仕組みや役割とは?コンバーターとの違いも簡単に解説

2022.05.30更新

家電製品やパワーエレクトロニクスの分野において、インバーターという単語を聞くことは多いかと思います。インバーターはモーターが使われる機器においてほぼ確実に使われており、細かい制御や消費電力の低減に大きな役割を果たしています。

本記事では、そんなインバーターの仕組みや特徴、用途などについて解説します。

インバーターとは

インバーターとは、直流電源を交流電源に変換する装置のことです。インバーターは「反転するもの」という意味であり、電圧が一定時間ごとに反転する交流信号を作り出すことから名づけられました。

モーターなど、交流電源で駆動する機器は数多くあるため、インバーターはバッテリーなどの直流電源から交流電源を生み出し、機器を動かすために用いられています。

また、インバーターには交流電源の周波数や電圧を変換する機能も搭載されているため、モーターの動作速度を細かく制御するなどの用途にも使われます。

インバーターとコンバーターの違い

「コンバーター」は、インバーターと逆の働きをする装置です。広義では何かを別のものに変換する機械全般を指しますが、電気分野においては交流電源を直流電源に変換する装置の名称として使われます。

電子回路は直流電源で駆動するため、家電など、家庭用の交流電源を使う電子機器に必ず搭載されています。また、直流・交流電源の電圧や周波数を変える装置も多数ありますが、こちらもコンバーターと呼ばれることが多いです。

ちなみに、インバーターには交流電源の周波数や電圧を変える機能を持った製品もありますが、その場合は内部にインバーターだけでなくコンバータも内蔵しています。インバーター単体の機能では直流→交流の変換しか行えないため、コンバーターとインバーターを順に使い、交流→直流→交流の変換を実現しています。

インバーターの基本的な仕組み

続いては、インバーターの基本的な仕組みについて解説します。

スイッチングが基本

インバーターの最も単純な原理は、直流電源の方向を切り替えてプラス、マイナスの電圧を生み出し、矩形波を作ることです。これは、出力回路に直流電源を順方向・逆方向どちらにも流せるように回路を組み、スイッチを切り替えるだけで簡単に作成できます。

ただ、そのままでは交流電源の正弦波にはほど遠いため、さらなる工夫を行っていきます。

正弦波に近づける工夫は様々

インバーターの出力を正弦波に近づけるための工夫には、インバーターのON/OFF制御、コンデンサやコイルを使ったフィルタなど様々な方法などがあります。

中でも重要なのは、パルス幅変調制御(PWM)です。順方向・逆方向電流のデューティ比を変化させて電圧の時間変化を表現し、任意の電圧波形を生み出します。

インバーターの種類

インバーターは、用途ごとで求められる機能に合わせ、3つの種類に分類されています。

電圧・周波数を変えるインバーター(VVVF)

最も一般的なのは、モーターの速度制御に用いられる「VVVFインバーター」です。VVVFは「Variable Voltage Variable Frequency control」の略で、周波数と電圧を任意に変更できる特徴を持っています。

モーターは電源の周波数に合わせて速度が変わるため、柔軟な制御が求められます。また、モーターの速度が変わると抵抗値も変化することから、過電流による破損を防ぐために電圧の制御も必要です。

なお、一般的に販売されているインバーターはほとんどがVVVF方式なので、単純に「インバーター」と呼ばれる場合はVVVFインバーターを指すことが多いです。

周波数を変えるインバーター(CVVF)

純粋に周波数を変えるだけで良い場合は「CVVFインバーター」が使われます。CVVFは「Continuous Voltage Variable Frequency control」の略で、電圧が一定に保たれる方式です。

蛍光灯ではCVVF方式によって電源周波数を高周波に変換し、蛍光灯の点滅を人が認識できないように調整しています。同様にIH調理機や炊飯器なども高周波信号を使うため、CVVF方式が使われています。

電圧・周波数を一定に保つインバーター(CVCF)

「CVCFインバーター」は、交流の電圧・周波数を変換するだけでなく、電源に入るノイズや歪みを取り除き、安定した電源波形を出力するために使われるインバーターです。

パソコンなどの精密機器に使用されており、電源信号を安定化させてノイズから機器を守る働きをしています。最近ではバックアップ電源回路を付随し、瞬時停電時の電源保障機能を持った製品も数多く販売されています。

インバータの使用例

一部インバーターの種類においても説明しましたが、インバーターは身近な製品に数多く使われています。主な使用例を紹介します。

エアコン

エアコンは、インバーターが必ず搭載され、最も活躍している家電です。エアコンは、冷媒を循環させて外に冷気や熱気を捨てることで部屋の温度を保っていますが、冷媒の循環速度をインバーターが制御しています。

インバーターが冷媒の循環速度を細かく制御することで、温度を保ちながらゆるやかに運転を続けられます。快適な温度を保つだけでなく、消費電力の低減にも貢献しているのです。

IH調理器具

IH調理器具にはコイルが内蔵されており、交流電源を入力することで電磁波を生み出し、鍋などの金属を直接加熱しています。電磁波で金属を加熱するには数十kHzの高周波が必要なので、電源周波数を変換するために使われているのがインバーターです。

金属の種類ごとで最適な周波数は変わるため、センサーで材質を認識し、インバーターの出力周波数を調整するなど、IH用のインバーターはさまざまな工夫が凝らされています。

電気自動車

電気自動車はエンジンの代わりにモーターで動作するため、バッテリーを交流電源に変換するインバーターが欠かせません。

インバーターの性能や変換効率が電気自動車の性能に直結するため、基幹部品の一つとして技術開発が盛んに行われており、インバーター技術の向上に大きく貢献しています。

太陽光発電

太陽電池で発電した電力は直流電源なので、送電する際には交流電源に変換する必要があります。そのため、パワーコンディショナー(PSC)という変換装置を使いますが、その中に昇圧回路とインバーターが含まれています。

まとめ

今回は、インバーターの仕組みや種類、身近な使用例などを解説しました。インバーターは直流を交流に変換する装置のことを指し、交流信号の周波数・電圧を制御するために幅広く用いられています。

身近な使用例としてはエアコンやIH調理器などが有名ですが、最近では電気自動車の基幹部品としても注目が集まっており、更なる技術発展が進んでいる装置でもあります。

パワー半導体を使った製品などの普及も進んでおり、さまざまな機器の性能向上に貢献する部品として重要な役割を果たし続けるでしょう。

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