種類別の電子部品を紹介!受動素子と能動素子の違いも解説します
2024.08.07更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶電子回路はたくさんの電子部品が集まって作られていますが、電気の動きは見えないため、部品の働きが分からず困る方は多いかと思います。そこで本記事では、電子部品ごとの機能や特徴を、受動素子、能動素子という観点も含めて解説します。
電子部品とは
電子部品とは、電子回路に搭載される部品全般のことです。電子部品は、それぞれが特定の機能を持つよう設計されており、使う部品の種類と部品間の接続方法を設計することで、自由自在に電子回路を作れます。
電子部品は、半導体を始めとしたさまざまな材料を用い、特殊な構造を作ることで出来ています。内部の構造は非常に細かく脆いので、樹脂などで保護されており、構造を見ることはできません。
なお、最近では電子回路の微細化・高密度化を実現するために、ナノメートルサイズの構造も作られるようになっており、さらなる微細化への技術開発も続けられています。ここで、電子部品は数多くの種類がありますが、最も大まかな分類の一つとして、受動素子と能動素子に分けられています。
受動素子と能動素子の違い
受動素子と能動素子とは、電子部品がどのように動くかで分類が行われます。受動素子は、供給された電気エネルギーの特性を変化させることなく、消費したり貯めたりする素子の総称です。電気に影響を与えることなく、受動的な影響を受けるだけなので、受動素子と呼ばれます。
一方、能動素子は、供給された電気エネルギーを大きくしたり周波数を変えたりと、性質を変える能力を持った素子の総称です。電気に対して能動的な影響を与えることから、受動素子と区別するため能動素子と呼ばれています。
受動素子の種類
それでは、受動素子と呼ばれる電子部品について、特徴を解説します。
抵抗器
抵抗器は、電流を消費して熱エネルギーに変換する回路部品です。回路に流れる電流を制限するほか、複数の抵抗器を使って電圧を下げるために使われます。構造は非常にシンプルで、炭素皮膜やニッケルクロム合金など、抵抗値の高い導体を材料として用いるだけです。
抵抗器ごとの抵抗値はΩ(オーム)で表現され、チップ部品なら表面の数値で、リード部品ならカラーコードで製品に表記されます。
コンデンサ
コンデンサは、電流を一時的に蓄え、放出できる回路部品です。導体の板を、一定の距離を保って平行に配置した構造をしており、電圧をかけることで電荷を蓄積します。直流電源を絶縁しつつ、交流電流を通すことから、ノイズの除去や電源電圧の安定化、交流信号の取り出しなど用途は幅広いです。
使われる材料によってセラミックコンデンサ、電解コンデンサ、フィルムコンデンサなど種類が分かれており、用途によって使い分けます。コンデンサの蓄電量は静電容量F(ファラッド)で表現されています。
コイル
コイルは、導線をらせん状に巻いた電子部品です。交流電流を流すと磁場が発生し、エネルギーを蓄えられます。同時に、電流値の変化で生じた磁界により、流れる電流と逆向きに誘導電流が流れ、電流を打ち消す働きもあります。
直流電流には影響がなく、周波数の高い電流のみが打ち消されることから、コンデンサと共にノイズ除去や電源電圧の安定化などに用いられます。
フィルタ
フィルタ回路は、抵抗・コンデンサ・コイルを組み合わせて、周波数ごとに抵抗値を変化させる受動素子です。ローパス・ハイパスフィルタといったように、特定の周波数の信号だけを通したり、妨げたりできるので、ノイズ除去や特定の信号の取り出しに使えます。
トランス
トランスは、回路を絶縁して保護すると同時に、電力を伝達するための部品です。1次コイルと2次コイルと呼ばれる二つのコイルを重ね、コイルの中心や外部に鉄心を挿入した構造をしています。
1次コイルに電流を流すと鉄心に磁界が生じ、その磁界をもとに電磁誘導が生じて2次コイルに電流が流れます。1次コイルと2次コイルは物理的に接触していないため、回路を切り離すことができるのです。さらに、1次コイルと2次コイルの巻数を変えることで、2次側の電圧を任意に制御することも可能です。
水晶振動子
水晶の結晶は、電流を流すと固有振動数で振動を続ける性質を持っています。その性質を使い、一定周波数の信号を生み出す用途で使われるのが水晶振動子です。
代表的な例はクオーツ時計ですが、電子回路においても無線通信やIC、スイッチング電源などに対し、動作タイミング制御用で使われます。今では1つの電子回路に対して複数の水晶振動子が用いられるなど、必要不可欠な存在となっています。
能動素子の種類
続いて、能動素子と呼ばれる電子部品について、種類ごとの特徴をお伝えします。
ダイオード
ダイオードは、電流を一方向にしか流さないようにする能動素子です。半導体にP層とN層を作るだけのシンプルな構造ですが、他では代替できない貴重な機能を持っており、交流電源の整流や、電波からの低周波信号の検波で使われています。
また、ツェナーダイオードなどの特殊なダイオードもあり、簡易的な定電圧を作り出したり、光に反応して電流を生み出すなどの使い方もあります。
トランジスタ
トランジスタは、電気を流す・止めるスイッチング制御と、電流を増幅させて出力する機能を持った能動素子です。どちらも地味ながら非常に重要な機能であり、電子回路の高機能化・集積化において欠かせない存在として、ほぼ全ての電子回路に使われています。
トランジスタはバイポーラトランジスタやMOSFETなど種類も多く、用途に応じて使い分ける必要があります。トランジスタの詳しい種類については「トランジスタの種類と使い方を解説!」の記事をご覧ください。
集積回路(IC)
集積回路(IC)も能動素子の一つとして扱われます。ICはナノメートルサイズに微細化したトランジスタなどを、最大で数十億個集積し、特定の機能を持たせた部品のことです。集積率が高いICはLSIとも呼ばれます。
ICは特定の機能を持っており、製造後の変更はできませんが、特徴的な機能を持った製品が数多く販売されており、最適な機能を選ぶことで圧倒的な小型化が実現できます。
リレー
リレーは、電流信号により、物理的にスイッチングを行う能動素子です。コイルなどに電流を流して磁力を発生させ、その磁力を使って回路を物理的に接続・切断します。トランジスタと同様の機能ですが、サイズが大きい代わりに大電流に対応できるなどのメリットがあり、制御回路などで根強く使われています。
サイリスタ
サイリスタは、ダイオードにスイッチ機能を付けた能動素子です。半導体をPNPN構造で作っており、バイポーラトランジスタを2つ重ねたような形状をしています。トランジスタに似た機能ですが、電流の増幅機能がない反面、大電流に耐えられる等のメリットがあり、使い分けが行われています。
サイリスタの詳しい種類については「サイリスタとは?仕組みや使い方を簡単に説明します」の記事をご覧ください。
オペアンプ
オペアンプは、微弱な電気信号を増幅できる能動素子です。小規模なICの一種ですが、その汎用性の高さから非常に多くの回路に採用されています。2本の入力端子と1本の出力端子があり、回路の組み合わせによりさまざまな信号の増幅が行えるほか、ノイズ除去、コンパレーターや積分回路などの用途でも使われます。
まとめ
今回は、電子部品の代表的な種類や特徴を、受動素子と能動素子の分類別で紹介しました。電子回路は、特徴的な機能を持った電子部品を多数組み合わせて構成されています。受動素子・能動素子共に代わりのない部品ばかりなので、回路設計の際にはそれぞれの特徴を把握し、最適な部品を選定できるようにしておきましょう。
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