パルス幅変調とは?代表的な回路やメリットなどを分かりやすく解説!

2025年4月9日更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶信号を変調する方式の1つである「パルス幅変調」をご存知でしょうか。身の回りの様々な機器で使用されているにも関わらず、あまり聞いたことがない人も多いはず。そこで今回はパルス幅変調について、具体的な内容や代表的な回路など、重要なポイントを解説します。
パルス幅変調とは?
パルス幅変調とは、方形波パルス信号のパルス幅に情報を載せる変調方式のことです。PWM(Pulse Wide Modulation)変調とも呼ばれ、周期中に信号がオンとなる時間の割合、すなわちデューティ比をスイッチングによって変えることで、出力信号の平均電圧や周波数を変えるのに役立ちます。スイッチ素子の動作を制御するスイッチングレギュレータ回路に使用されることが多く、代表的な用途として、LEDライトの調光やモータの回転数制御、携帯ゲーム機用の電子音源製作などが挙げられます。
パルス幅変調を行う仕組み
パルス幅変調された信号波形は、ノコギリ波と基本波をコンパレータ(比較器)へ入力して作られます。ノコギリ波の電圧が基本波電圧を上回る間はコンパレータがハイレベル出力を出し、ノコギリ波の電圧が基本波電圧を下回る間はコンパレータがローレベル出力を出すことで、パルス幅に情報が載ったPWM信号が得られます。基本波が直流電圧であれば、電圧値を変えるだけでPWM信号のパルス幅を変えられる上、正弦波交流信号を基本波として採用すれば、パルス幅が時間的に変化するPWM信号を得ることも可能です。
類似する変調方式とは
情報を信号波形に対応させる変調方法には、パルス幅変調以外にも様々な種類が存在します。比較的有名なAM変調は信号波形の振幅に情報を載せる変調方式で、ラジオ放送や航空無線などに使用されています。また同じくラジオ放送で採用されているFM変調とは、周波数の変化に情報を載せる変調方式であり、AM変調より周波数帯域幅が広い特徴があります。
さらにパルス幅変調と類似した変調方式として、情報をパルス信号の周波数に対応させるパルス周波数変調(PFM)もあります。パルス幅変調と同様にスイッチングレギュレータ回路に使用される変調方式で、軽負荷時でも高効率であるもののノイズ対策が困難なため、パルス幅変調方式の方が扱いやすいと言われています。
直流回路における応用例(チョッパ回路)
続いて、チョッパ回路の応用例についても紹介します。まずは、直流信号の電圧変換を行うチョッパ回路を、降圧・昇圧・昇降圧それぞれの回路で分けて解説します。なお、チョッパ回路の語源は英単語のチョッパ(chopper)からであり、電圧波形を切り刻むように変調する回路のことを指します。
降圧チョッパ回路
降圧チョッパ回路では、スイッチがオンになっている間、電源からインダクタへ電磁エネルギーが蓄えられるとともに、負荷回路とコンデンサにも電圧が印加されます。スイッチがオフになると電源からインダクタへ流れる電流が遮断されるため、インダクタが電源代わりとなって逆起電力を発生させ、還流ダイオードを経由するルートで負荷回路へ電圧が印加されます。
このとき、インダクタが発生させる逆起電力は電源電圧を超えることはないため、結果的に降圧チョッパ回路では電源電圧を下回る電圧しか出力できません。実際の出力電圧値は電源電圧とデューティ比の積で表され、デューティ比が50%のチョッパ回路であれば、出力電圧も電源電圧の50%となります。
昇圧チョッパ回路
昇圧チョッパ回路では、スイッチがオンになっている間、電源とインダクタだけが直列接続された閉ループが構築されることで、インダクタに電源のエネルギーが蓄えられます。スイッチがオフになると、電源とインダクタが負荷回路と直列に接続されるため、電源電圧とインダクタが発する逆起電力の両方が負荷回路に印加されつつ、負荷回路と並列接続されたコンデンサにもエネルギーが蓄えられます。
そしてコンデンサに蓄えられたエネルギーは、スイッチがオンになっている間に電源代わりとなって負荷回路へと印加されます。昇圧チョッパ回路では、スイッチの状態に関係なく負荷回路に電源電圧以上の電圧が印加されるため、結果的に昇圧動作が可能となります。
昇降圧チョッパ回路
昇降圧チョッパ回路はデューティ比に応じて降圧動作と昇圧動作の両方を選択できる回路です。具体的な動作として、スイッチがオンの間は昇圧チョッパ回路と同様、インダクタがエネルギーを蓄える一方で、コンデンサが蓄えたエネルギーが負荷回路へと印加されます。またスイッチがオフになると、降圧チョッパと同様にインダクタが電源代わりとなることで、負荷回路とコンデンサに電圧が印加されます。
昇降圧チョッパ回路において負荷回路へ電圧を印加するのはインダクタかコンデンサのどちらか一方であり、その電圧はインダクタが蓄えるエネルギーの大きさに依存するため、デューティ比が50%より大きい時は昇圧動作を、デューティ比が50%を下回る時は降圧動作を行うようになります。ちなみに昇降圧チョッパでは出力信号が入力と反転する特徴があるので、併せて覚えておきましょう。
交流回路における応用例(インバータ)
インバータとは、PWM信号を利用して任意の周波数や電圧を持った交流信号を作り出す機器です。具体的な回路構成は交流信号を直流信号へ変換する整流回路部とコンデンサ、そして直流信号を交流信号へ変換するインバータ回路部に分かれており、パルス幅変調はインバータ回路部の要となります。
インバータを使用することで直流信号を交流信号に変換したり、交流信号の周波数や電圧を変えることができるため、モータの回転数制御や電子レンジにおける高周波電力の発生、無停電電源装置における商用電力の生成など、様々な用途で活躍しています。
パルス幅変調のメリット
パルス幅変調回路はスイッチングによってPWM信号を作り出す回路であり、スイッチがオフになっている間は電源電流によるエネルギー消費が生まれないため、結果的に効率的な変調回路であると言えます。特にパルス幅変調を応用した回路を用いて機器を制御すれば、負荷の変化に応じて素早くきめ細かに制御ができるため、システムの応答性や制御性を高めつつシステム全体の効率を高めるのにも役立ちます。
またパルス幅変調によって得られるPWM信号は搬送波と同じ周波数を持つため、発生するノイズを予想しやすくフィルタによる対策もしやすいです。さらに同じくスイッチングレギュレータ回路に使用されるパルス周波数変調と比較すると、リップル電圧が低く抑えられるメリットもあります。
軽負荷時におけるパルス幅変調は効率が悪い
機器を効率的に使用できるパルス幅変調ですが、軽負荷時の効率はあまり良くありません。というのもパルス幅変調回路におけるスイッチングデバイスの動作回数は、搬送波の周波数に依存し、負荷によらず一定であることから、軽負荷時にはスイッチングデバイスにおける電力消費が支配的となってしまうからです。類似のパルス周波数制御では、負荷の大小に比例してスイッチング回数も変動するため、軽負荷時の効率に関してはパルス周波数制御に軍配が上がります。
まとめ
今回はインバータやチョッパ回路など、様々な機器の制御回路に欠かせないパルス幅変調について、基本的な内容を解説してきました。身の回りでも多く採用されている機器であるため、気になる人は詳しく調べてみることをオススメします。
当サイトFREE AIDは、機電系を始めとしたエンジニアのフリーランス専門求人を扱っています。
→機電系フリーランスエンジニア求人はこちら
また、フリーランスエンジニアとして働きたい方に合った案件探しや専門アドバイザーの活動サポートも無料で行っています。
→フリーランス無料支援に興味がある方はこちら
フリーランス×機電系エンジニア!高単価求人はこちら ▶
機電系求人はこちら
-
設計技術者(樹脂、金属部品)
-
- 単価
-
40~50万円
-
- 職種
- 機械設計
-
詳細を見る
-
-
FPGAの設計開発:電気電子設計
-
- 単価
-
70~80万円
-
- 職種
- 電気電子設計
- スキル
- ・FPGA論理設計、RTLコーディング、論理検証環境構築、論理検証・RTLコード:VHDL・論理検証ツール:Siemens製Questa/ModelSIM
- 地域
- 東京
- ポイント
- #高単価
-
詳細を見る
-
-
UI画面の設計業務:電気電子設計
-
- 単価
-
64〜万円
-
- 職種
- 開発
- 電気電子設計
- スキル
- 必要スキル: ・電源回路は複数回経験し、設計動作確認など、一人でもある程度やるべきことが分かる。 ・数十頁のデータシートを読み、要求仕様(タイミング/電圧など)が理解できる ・その他左記の回路の種類の中で、回路設計の実務経験が1回以上ある。 ・回路修正ができる(半田付け、ジャンパー処理)
- 地域
- 関西
- ポイント
- #業務委託#駅近
-
詳細を見る
-
-
【急募】工作機械メーカーにおける自社製品の制御設計
-
- 単価
-
40~50万円
-
- 職種
- 電気電子設計
- スキル
- 基本的なPCスキル産業用機械・装置の電気設計経験
- 地域
- 山梨県
- ポイント
- #業務委託
-
詳細を見る
-