静電気が発生する原因とは?仕組みや除去方法を知って防止しよう
2024.08.07更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶静電気が発生する理由についてご存知でしょうか?身近な所でも生じる静電気ですが、電子機器の故障につながるので、特に電子回路を扱う場合は注意が必要です。そこで今回は、静電気がどのように発生するかという理由や、主な除去方法について解説します。
静電気が発生する仕組み
まずは、静電気が発生する仕組みについて解説します。静電気は、物体の電子が移動することで生じる電気のことです。人の体や衣類を始め、あらゆる物は原子で構成されており、原子は原子核と電子で成り立っています。原子核はプラスの、電子はマイナスの電荷をもっていますが、通常は原子核と電子によってバランスが取れているため、電圧は発生しません。
しかし、他の物体と接触するなどが原因で、物体の電子が別の物体に移動してしまうことがあります。物体における電荷のバランスが崩れるため、プラスやマイナスに帯電した状態となるのです。物体が帯電すると、電荷の量に比例して電圧が発生するため、絶縁破壊による静電気が発生することとなります。
代表的な帯電の種類
物体の帯電はさまざまな要因によって生じます。代表的な帯電の種類を以下に紹介します。
接触帯電
物体が接触した際に電荷が移動し、帯電する現象のことです。電荷はより居心地のいい方に移動するため、接触した瞬間に片方からもう片方に電荷が移動し、結果的に双方の物体が帯電します。最も頻繁に生じる帯電の種類ですが、ただ接触しただけでは電荷の移動量は少ないため、物体への影響も小さいです。
摩擦帯電
静電気について多くの人がイメージする、最も一般的な帯電の種類です。実は摩擦帯電は接触帯電の一つであり、摩擦自体が帯電の原因となるわけではありません。ただ、摩擦が起きると物体同士が何度も接触するため、非常に多くの電荷が移動することとなるため、物体は大きく帯電します。帯電量が大きいため静電気にもつながりやすく、影響が大きいです。
ちなみに、物体が圧電効果を持つ場合は、摩擦による圧力の変化で電荷が発生するため、帯電量がさらに大きくなる可能性があります。
剥離帯電
剥離帯電は、ガムテープやフィルムなどを剥がすときに発生する帯電現象のことです。接着している際の密着度や接着強度によって帯電量が変わり、剥離する際の速度が速いほど帯電量が大きくなります。摩擦帯電と比べると発生する電荷は少ないですが、半導体などを破壊するには十分なので、特に電子機器などの製造工程では注意する必要があります。
誘導帯電
帯電した物体が近くにあることで、物体の電荷が誘引、もしくは反発して生じる帯電現象です。接触はしていないため物体全体では帯電していませんが、物体の場所によってプラス・マイナスの偏りが生じるため、想定外の所で静電気が発生する要因となります。
誘導帯電はさまざまな機器や作業者が原因となる上、帯電した物体が遠ざかると誘導体電も無くなるので、原因を見つけにくいです。そのため、アース接続を徹底するなど、普段からの対策が重要となります。
粉体帯電
粉体が壁などの物質と衝突して生じる帯電現象のことです。粉体は、その大きさに対して表面積が非常に広いため、他の物体との接触により容易に帯電します。特に粉体の搬送時や投入時には、大量の粉体がホッパーなどの装置と接触します。すると装置の帯電量は非常に大きくなるため、静電気による災害が頻発しています。
火災や粉じん爆発の発生につながるなど影響が大きいので、粉体を扱う場合は念入りな対策が欠かせません。一方、電気集塵機や静電選別など、粉体が帯電しやすいという特徴を活用して、粉体を適切に扱っている場合もあります。
噴出帯電
ノズルから液体や粉体を噴出させる際、ノズルが負、噴出物が正に帯電する現象のことです。高速でノズルに接触した際に電荷のやりとりが行われるため、通常は帯電しにくい液体でも帯電しやすい特徴を持っています。
液体や粉体が可燃性の場合、爆発につながる可能性があるため非常に危険です。ノズル形状や噴霧条件によっても影響度が変わるため、都度対策を行わなければなりません。
静電気を防止・除去する方法
このように、静電気が発生する原因は多岐に渡るので、細かく静電気対策を行っておく必要があります。主な静電気防止・除去方法を解説します。
湿度を上げる
水蒸気は導電性が高いため、静電気を逃がす働きをします。湿度を上げると、物体の表面に水分子が付着して電荷を空気中に逃がしてくれるので、静電気の発生率を大きく下げられるでしょう。人からの静電気が問題となる場合、手などを保湿するだけでも帯電量は減らすことが可能です。ただ、あくまで帯電した電荷を減らすだけなので、静電気を完全になくすことはできません。湿度を上げすぎると錆が発生するなどの問題も生じるため、他の対策と並行して行うのが大切です。
イオナイザーを使う
製造現場において電子回路などの製品が帯電しており、静電気による破損やホコリの付着が生じる場合は、イオナイザーで除去することが可能です。イオナイザーは、対象が帯電しているかどうかをチェックし、逆電位のイオンを放出することで、静電気を中和します。イオンの放出時にホコリが付着するため定期的なメンテナンスこそ必要ですが、自動で帯電を除去してくれるため非常に便利です。
帯電防止用のグッズを使う
人による静電気が発生する場合、帯電を防止する製品があるため活用しましょう。電荷を逃がすアース付きのリストバンドや静電靴、静電気防止床、衣類の帯電を防ぐ静電気スプレーなどが挙げられます。また、時々アースに触れて電荷を逃がすだけでも大きな効果が見込めます。
アース接続を徹底する
静電気を発生させないためには、貯まった電荷を都度逃がすことが重要です。装置にアース接続を行っておけば、高い確率で静電気の放電現象を防げるため、徹底して設置を行いましょう。予想外の場所が帯電していることで、誘導体電が生じる可能性もあるため、周囲の装置もしっかりアース接続しておくことが重要です。
まとめ
今回は、静電気が発生する要因と、主な対策方法について解説しました。静電気は、物体の接触などが原因で、電荷が偏り電圧が生じることで発生します。対策方法は多岐に渡りますが、物体同士の接触を防ぎ、貯まった電荷を逃がすことが重要です。さまざまな静電気対策ツールが販売されているので、抜け漏れなく静電気対策を行い、静電気による悪影響を防ぐようにしましょう。
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