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  • 鉛蓄電池ってどんな電池?反応式なども交えて紹介!
  • 鉛蓄電池ってどんな電池?反応式なども交えて紹介!

    2023.10.09更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    自動車のバッテリーなどで古くから私達の生活を支えている鉛蓄電池。今回は、どのような電池か改めて知りたい方に向けて、仕組みや特徴などを紹介します。構造や種類なども合わせて解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

    鉛蓄電池とは

    鉛蓄電池はその名の通り、鉛を電極として使用する蓄電池です。正極に酸化鉛(PbO2)、負極に鉛(Pb)を用い、電解液として希硫酸(H2SO4)を満たした構造をしており、鉛と硫酸の化学反応によって電気を生み出します。

    充電して何度でも使える「二次電池」として初めて発明された電池ですが、セル単位の発電電圧の高さや安定性、材料の安さなどから世界中で使われるようになり、今も多くの用途で活用されています。

    鉛蓄電池の反応式

    続いて、鉛蓄電池の正極と負極の反応式について解説します。

    放電時

    ◯負極:Pb + SO42- → PbSO4 + 2e-
    ◯正極:PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- → PbSO4 +2H2O

    鉛蓄電池の放電は、鉛(負極材)が硫酸(電解液)と反応することで発生します。反応後は硫酸鉛と電子が生成されるため、電子が電極を通って移動し、電流となります。

    移動した電子は正極に到達し、酸化鉛(正極材)、電解液中の水素イオンと反応して消費されます。反応後は硫酸鉛と水ができるので、放電によって正極・負極材・電解液が減少し、代わりに両電極に硫酸鉛が生成されることが分かります。

    充電時

    ◯負極:PbSO4 + 2e- → Pb + SO42-
    ◯正極:PbSO4 + 2H2O → PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e-

    充電時は、放電時と逆の反応が生じます。充電により正極から負極に電子が移動するため、正極では硫酸鉛から電子が取り出され、酸化鉛に戻ります。

    一方、負極側は充電により得られた電子と硫酸鉛が反応して鉛が戻ります。両方に付着した硫酸鉛が消費され、正極・負極材と電解液が生成されます。

    鉛蓄電池の特徴

    それでは、鉛蓄電池の特徴を紹介しましょう。主なメリット・デメリットは以下の表のとおりです。

    長所 短所
    ・セル当たりの電圧が高い(約2.0V)
    ・材料が安価で手に入りやすい
    ・特性が安定している
    ・メモリー効果が発生しない
    ・大型で重い
    ・硫酸の漏洩リスクがある
    ・廃棄が面倒
    ・極低温では電解液が凍結する

     

    鉛蓄電池は安価で性能が安定しているなど、使いやすい特徴をいくつも持っているのがメリットです。また、セル当たりの電圧が高いうえ複数のセルを直列接続することも可能なので、高電圧を含む幅広い電圧に対して使える強みもあります。

    一方、鉛蓄電池はエネルギー密度が低く、大型で重くなりやすいというデメリットがあります。また、硫酸が液漏れすると危険なこともあり、持ち運ぶ用途には適していません。

    鉛蓄電池の種類

    鉛蓄電池は、充放電の過程で発生するガスの処理方法の違いから、ベント形とシール形の2種類に分類されます。それぞれで扱い方が変わるので、違いを理解しておきましょう。

    ベント形

    ベント形は、液状の電解液に電極を浸した、昔ながらの形状の鉛蓄電池です。

    鉛蓄電池を充電すると電気分解によって水素や酸素のガスが発生するため、ベント形ではこれらのガスを通気孔を通して外部へ逃がしています。

    また、ガスが発生した分の水が減っていくため、定期的な補水が必要なのもベント形の特徴です。

    シール形

    液状の電解液に電極を浸したベント形の蓄電池に対し、電解液をガラス繊維マットに染み込ませたりジェル状にすることで液漏れの心配を無くしたのがシール形の鉛蓄電池です。流動する液体がないため「ドライバッテリー」とも呼ばれます。

    電気分解で生じるガスを水に戻すことで水分の減少を抑えているため、メンテナンスフリーで長期間使えるのも特徴です。ただ、過剰に充電すると大量のガスが発生する可能性があるため、ガスを逃すための安全弁が設置されています。

    鉛蓄電池の劣化と対策

    鉛蓄電池においては、サルフェーションと呼ばれる劣化現象により、バッテリーの寿命が非常に短くなるといった問題がよく生じます。この現象は、鉛蓄電池を使用する上では避けて通れない問題のため、原因と対策を詳しく紹介します。

    サルフェーションの仕組みと原因

    サルフェーションとは、鉛蓄電池の放電時に、硫酸鉛が負極にこびりついて取れなくなる現象のことを指します。通常、発電で発生したばかりの硫酸鉛は柔らかく、短期間で充電すれば元の電極材や電解液へ戻ります。しかし、電池を長期間充電せずに放置したり何度も充放電を繰り返したりすると、硫酸鉛が徐々に硬くなっていき、充電しても分解されなくなるのです。

    サルフェーションが生じると、電解液の濃度が下がるほか、硫酸鉛が電極を覆うことで充放電反応が起こりにくくなるため、電池の発電出力や蓄電量が減り、電池としての性能が劣化します。

    サルフェーションへの対策

    それでは、どうすればサルフェーションを防げるのでしょうか。最も効果的なのは放電後にすぐ充電を行い、常に満充電状態を保つ方法です。サルフェーションは硫酸鉛を長期間放置した際に生じやすいので、硫酸鉛が無い状態を作ることで防げます。蓄電池には使用せずとも自然に発電する特性があるため、長期間使わない場合でも時々充電するのが重要です。

    また、既にサルフェーションが発生している場合、電極に高電圧パルス波を流してサルフェーションを除去することも可能です。ただ、この方法では高電圧によって電極間の絶縁を破壊し、雷のような電流を流すことでサルフェーションを剥がすため、電極にもダメージを与えてしまいます。何度も繰り返すと電極の劣化を招くので、そもそもサルフェーションが起きにくいような使い方が重要です。

    まとめ

    今回は最も歴史のある二次電池、鉛蓄電池について解説しました。取り扱いに注意は必要なものの、安価で安定した性能を持つことから、自動車のバッテリーや設備用の蓄電池として、今でも世界中で使われています。

    鉛蓄電池を使う際の注意点としては、サルフェーションを防止することがポイントです。こまめに充電して長く鉛蓄電池を活用しましょう。

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