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ヒューズ・ヒューズ抵抗とは?仕組みや種類、選定時の注意点を教えます!

2023.10.11更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

ヒューズやヒューズ抵抗は、回路に入れるだけで簡単に部品の保護ができる便利な電子部品です。今回は、そんなヒューズの仕組みや種類などを知りたい設計者に向けて、基本的な情報をお伝えします。

ヒューズとは

ヒューズは端子間を細い金属エレメントで繋ぎ、一定以上の電流が流れるとエレメントを溶断させて回路を遮断する部品のことです。エレメントは鉛や錫などの融点の低い金属を使って作られており、電流自体ではなく電流により生じる発熱によって溶ける仕組みとなっています。

エレメントの材質や太さ、形状などにより溶断する条件を自由に変えられるため、あらゆる電子機器において、回路の短絡や電流サージによる故障・発火などを防げます。

ヒューズ抵抗とは

ヒューズ抵抗とは、ヒューズとしての機能が付随された抵抗のことです。抵抗体に溶断しやすいような材料を使っており、一定以上の電流が流れると抵抗体が溶けて開放状態になります。2つの機能を有するため、ヒューズを入れるスペースがない回路に使うのに適しています。ただ、ヒューズと比べると誤差が大きくなりやすく、溶断までにある程度時間がかかるといった欠点もあります。

ヒューズの種類

ヒューズは、電流を遮断したいタイミングに合わせて速断型・タイムラグ型といったように分類が行われています。その違いを紹介します。

速断ヒューズ(ファストブロー)

速断ヒューズは、定格電流を超えた瞬間に溶断するヒューズのことです。通常のヒューズと比べると、一部のエレメントが意図的に細く設計されているのが特徴です。速断ヒューズは少しでも過電流を印加させたくない、繊細な回路を保護する目的で使われます。通常のヒューズと外観の差はほとんどありませんが、定格電流の前に「F」という表記があれば速断ヒューズだと見分けられます。

タイムラグヒューズ(スローブロー)

タイムラグヒューズは、定格以上の電流が流れても、一定時間は溶断しないヒューズのことです。起動時に突入電流が入る回路など、状況に応じて過電流を流したい用途で使われます。タイムラグヒューズのエレメントはスパイラル状になっているのが特徴で、発熱量を分散させて瞬間的な発熱からの耐量を上げています。また、製品の表示において、定格電流の前に「T」が入っていることでも見分けられます。

普通ヒューズ(ノーマルブロー)

普通ヒューズは、速断ヒューズとタイムラグヒューズの中間の性能を持ったヒューズのことです。一般的に販売されているのはほとんど普通ヒューズであり、構造がシンプルなので価格も最も安いです。特に溶断のタイミングを気にしない場合はこちらを選定すると良いでしょう。

ヒューズ選定時の注意点

最後に、ヒューズを選定する際に忘れがちな注意点について解説します。

周囲温度に注意

ヒューズは電流自体ではなく、電流により発生するジュール熱によって溶断し、保護回路としての機能を果たします。そのため、周囲温度が上がるほど少ない電流でも溶断しやすくなることに注意しなければなりません。ヒューズのデータシートにある「温度変化率」というグラフから、周囲温度と定格電流の関係が読み取れるので、必ず確認の上選定してください。

金属疲労による劣化を考慮する

ヒューズは定格内の電流を安定して流せる特徴を持っていますが、長期間ヒューズを使い続けると、金属疲労を起こしてエレメントが劣化し、溶断が生じやすくなります。これは、電流が何度も流れて発熱することにより、エレメントが膨張・収縮をくりかえすのが原因です。

特に、定格電流に近い電流をくりかえし流すような条件では寿命が短くなるため、ある程度マージンを見込んだ設計を行いましょう。

遮断電流を超えないよう注意

遮断電流とは、ヒューズが破壊されず、安全に回路を切り離せる限界値のことです。瞬間的にであっても、遮断電流を超える電流が流れた場合はエレメント以外にも影響が生じ、最悪の場合ヒューズが破壊されるので注意しましょう。想定される電流の最大値が遮断電流と定常電流との間に収まるように設計するのが重要です。

まとめ

今回は、ヒューズやヒューズ抵抗の仕組みや種類、選定時の注意点について解説しました。ヒューズは、一定の電流が流れると断線状態となることで、電子回路を短絡やサージから守る部品です。速断型やタイムラグ型など、断線させたいタイミングによって種類が分けられており、さまざまな回路の保護を実現します。周囲温度によって定格電流が変わるほか、遮断電流を超えるとヒューズ自体が破損する可能性もあるため、設計者は細かな特性を理解した上で選定するようにして下さい。

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