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電子回路設計入門|設計初心者が知っておきたい進め方・考え方を解説

                   

2026年6月26日更新

この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川
「FREE AID」編集部:長谷川

大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。

電子回路設計は、要求仕様を満たす回路を考え、部品を選定し、ノイズや熱、量産性まで考慮して製品として成立させることが求められます。本記事では、電子回路設計を始めたばかりの技術者に向けて、実務で特に意識したい設計の考え方を解説します。

電子回路設計とは

電子回路設計とは

電子回路設計とは、製品に必要な機能を回路として実現する設計業務です。家電製品や産業機器、自動車、医療機器など、電子機器のほとんどには電子回路が搭載されており、その性能や信頼性を左右する重要な役割を担っています。

回路設計では、要求仕様をもとに回路方式やICを選定し、周辺部品を決定したうえで、設計値の計算や試作評価を繰り返して仕様を満たす回路へと仕上げていきます。また、ノイズや発熱、コスト、量産性なども考慮し、製品全体として成立する設計を行うことが求められます。

なお、かつては抵抗やコンデンサなどの単一機能を持った部品を組み合わせて回路機能を作るのが一般的でした。しかし最近はICの種類や性能が増えたため、目的に合ったICをまず選定し、データシートなどを参考に回路を設計するケースが一般的になっています。

そのため、ICの特性を理解し、適切に活用することが回路設計者に求められる重要なスキルとなっています。

電子回路設計の流れ

電子回路設計の流れ

電子回路設計は、回路図を作成するだけで完了するものではありません。一般的には、次のような流れで設計を進めます。

要求仕様を整理する

電子回路設計では、まず製品に求められる機能や性能を整理します。入力電圧や消費電力、通信方式、動作温度、サイズ、コストなどの要求仕様を確認し、設計の前提条件を明確にします。

また、仕様書をもとにシステム全体の構成を検討し、電源回路や制御回路、通信回路などの機能ブロックを整理したブロック図を作成することもあります。ブロック図を作成することで、各回路に求められる役割やインターフェースが明確になり、その後の回路設計を進めやすくなります。

要求仕様が曖昧なまま設計を進めると、大幅な手戻りや性能不足につながる可能性があるため、この工程は製品開発の初期段階において非常に重要となります。

回路図を作成する

要求仕様やブロック図をもとに、各機能を実現する回路方式やICを選定し、回路図を作成します。例えば、ブロック図上では「電源」「マイコン」「センサ」「通信」などの機能として表現されていたものを、実際のICや電子部品へ置き換えながら具体的な回路へ落とし込んでいきます。この段階で、各ブロックの接続方法や電源構成、保護回路なども検討します。

また、回路図を作成した後は、データシートを参考にしながら各部品の定数や定格が適切かを確認します。例えば、電源回路では電流容量や損失、発熱の計算を行い、デジタル回路ではファンイン・ファンアウトやタイミングを確認します。

このように、電子回路設計では単に回路図を描くだけでなく、計算や検証を通じて設計の妥当性を確認しながら回路を完成させていきます。

プリント基板を設計する

回路図が完成したら、それをもとにプリント基板上の部品配置や配線パターンを設計します。プリント基板のレイアウトは、回路図上では問題のない回路であっても、ノイズや放熱、信号品質などに大きく影響するため、製品性能を左右する重要な工程です。

例えば、スイッチング電源では大電流が流れる配線をできるだけ短く配置したり、高速通信回路では配線長やインピーダンスを考慮したりする必要があります。また、発熱の大きい部品については放熱性も考慮しなければなりません。

実際のパターン設計は基板設計を専門とするエンジニアが担当することも多いですが、回路設計者もレイアウト上の要求事項を提示したり、完成した基板設計をレビューしたりします。そのため、回路設計者にも基板レイアウトに関する基礎知識が求められます。

試作・評価を行う

基板設計が完成したら基板を試作し、電圧や波形、消費電流などを測定して、要求仕様どおりに動作するか、機能・性能評価を実施します。また、温度試験やノイズ試験、EMC試験などの耐環境評価も実施し、実際の使用環境でも安定して動作するかを確認します。問題が見つかった場合は、回路や部品定数、レイアウトなどを見直し、設計を改善していきます。

この時、波形測定や動作確認は回路設計者自身が行うのが一般的ですが、環境試験やEMC試験などは専門部署や試験機関が担当することが多いです。ただし、その場合でも試験結果を分析し、不具合の原因を特定して改善策を検討するのは回路設計者の重要な役割です。

このように、電子回路設計では回路図を作成して終わりではなく、試作と評価を繰り返しながら製品の品質や信頼性を高めていき、製品として完成させます。

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電子回路設計の進め方

電子回路設計の進め方

次に、電子回路設計の工程の中で最も重要な、仕様検討と回路図作成の所でどのような設計の進め方をするか紹介します。

ICを選定する

電子回路設計では、まず要求仕様を満たせるICを選定します。電源ICやマイコン、オペアンプ、通信ICなど、製品の機能を実現する中心となる部品を決めることで、回路全体の構成がおおよそ決まります。

例えば電源回路であれば、入力電圧や出力電圧、必要電流、効率などから適切な電源ICを選定します。マイコンであれば、必要な処理性能やメモリ容量、通信機能、I/O数などを確認します。

また、性能だけでなくコストや供給状況、将来的な入手性も重要な判断材料です。特に量産製品では、仕様を満たすことに加えて長期供給が見込める部品を選定することも求められます。

データシートをもとに回路を設計する

ICが決まったら、データシートを参考に回路を設計します。データシートには推奨回路や各端子の役割、部品定数、電気特性、レイアウト上の注意点など、設計に必要な情報が記載されています。

まずは推奨回路を理解し、使用条件に応じて周辺回路や部品定数を調整しながら、目的に合った回路を構成していきます。例えば、電源ICであれば出力電圧を決める抵抗値や入出力コンデンサの容量を決定し、マイコンであればクロック回路やリセット回路、電源回路などを設計します。

また、データシートだけでなく、アプリケーションノートや評価ボードの回路図を参考にすることも少なくありません。実績のある回路例を活用することで、設計品質や開発効率を高めることができます。

設計値を検証する

回路図を作成した後は、各部品や回路が要求仕様を満たしているかを確認します。例えば、デジタル回路ではファンイン・ファンアウトや信号タイミングを確認し、アナログ回路ではゲインや周波数特性を検討します。また、電源回路では電流容量や電力損失、発熱などを計算し、部品定格に十分な余裕があるかを確認します。

実務では、このような計算結果を設計計算書としてまとめることもあります。計算書を作成することで設計根拠を明確にできるため、設計レビューや不具合解析の際にも役立ちます。

さらに、部品の許容差や温度変化、入力電圧の変動なども考慮し、最悪条件でも正常に動作することを確認します。このように、電子回路設計では回路図を作成するだけではなく、計算や検証を通じて設計の妥当性を確認することが重要です。

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電子回路設計の実務で意識したい設計の考え方

電子回路設計の実務で意識したい設計の考え方

最後に、回路設計を行う上で特に意識しておくべきポイントを紹介します。

回路の特性を理解する

電子回路は、アナログ回路、デジタル回路、電源回路、通信回路などで構成されますが、それぞれ設計で重視するポイントが異なります。そのため、回路の種類ごとの特性を理解し、適切な設計手法を選択することが重要です。

例えば、アナログ回路では微小な電圧や電流を扱うことが多く、ノイズやオフセット電圧、周波数特性などが性能に大きく影響します。一方、デジタル回路では信号の「0」と「1」を正しく伝送できることが重要であり、ファンイン・ファンアウトや信号タイミング、信号品質などを確認する必要があります。

また、電源回路では必要な電圧や電流を安定して供給することが求められるため、変換効率や発熱、リップル電圧、突入電流などが重要な設計項目になります。通信回路では通信速度やインピーダンス整合、ノイズ耐性などが通信品質に直結します。

このように、回路の種類によって設計時に確認すべき項目や評価方法は大きく異なります。まずは設計対象となる回路が何を重視する回路なのかを理解することが重要です。

最悪条件で設計する

電子回路は、試作品が一度動作しただけで設計完了とはなりません。実際の製品では、部品のばらつきや周囲温度、入力電圧の変動など、さまざまな条件下で安定して動作することが求められます。

例えば、抵抗やコンデンサには許容差があり、同じ型番でも実際の値にはばらつきがあります。また、半導体部品の特性は温度によって変化し、高温環境では発熱が増加したり、許容電流が低下したりすることがあります。

そのため設計では、代表値だけで判断するのではなく、部品の許容差や温度変化、入力電圧の変動などを考慮した最悪条件でも正常に動作するかを確認します。電圧や電流、発熱、部品定格などに十分な余裕を持たせることで、量産時や実使用環境での不具合を防ぎやすくなります。

設計マージンを確保し、最悪条件でも成立する回路を作ることは、電子回路設計における重要な考え方の一つです。

要求仕様の優先順位を考える

電子回路設計では、すべての性能を同時に最大化できることはほとんどありません。そのため、要求仕様の中で何を優先するのかを明確にすることが重要です。

例えば、高効率な電源はノイズが増えやすく、低ノイズな回路は消費電力やコストが高くなることがあります。また、小型化を優先すると放熱が難しくなり、高性能な部品を採用するとコストが増加する場合もあります。

さらに、量産製品では性能だけでなく部品コストや入手性も重要になります。一方で、産業機器や医療機器ではコストよりも信頼性や長期供給性が優先されることもあります。

このように、回路設計は単純に性能を追求する仕事ではなく、性能・コスト・サイズ・消費電力・信頼性などのバランスを取りながら最適解を探す仕事です。要求仕様の優先順位を理解し、それに合わせて設計判断を行うことが、実務において非常に重要になります。

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まとめ

電子回路設計は、単に回路図を作成する仕事ではなく、要求仕様を満たすために最適な回路方式や部品を選定し、設計値を検証しながら製品として成立させる仕事です。また、アナログ回路やデジタル回路、電源回路では重視すべきポイントが異なり、設計マージンや性能・コストのバランスを考慮することも欠かせません。これらの基本的な考え方を身につけることで、より実践的な電子回路設計が行えるため、初級エンジニアの人はぜひ意識して設計に臨むようにしてください。。

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