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セラミックコンデンサとは?特徴や役割、注意点をわかりやすく紹介!

2023.10.11更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

電子回路を扱う上で、セラミックコンデンサは必ず登場する重要な部品です。ただ、当たり前に使っているものの、他のコンデンサとの違いや、選定時に注意すべき点などを知らない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、セラミックコンデンサの特徴や注意点などを解説します。

セラミックコンデンサとは

セラミックコンデンサとは、セラミックを誘電体として作られるコンデンサのことです。酸化チタンなどをセラミック材料として使い、間に何層もの電極を挟むことで、高い静電容量を実現しています。サイズに対する性能の高さはコンデンサの中でも群を抜いており、今ではコンデンサの主流としてほぼすべての電子回路に使われています。しかし、1990年以前は静電容量が低く、他のコンデンサほどの性能はありませんでした。

セラミックコンデンサの普及が進んだのは、高性能な電極・誘電体が開発されたこと、製造プロセス面の進化が始まったことがきっかけです。特にプロセス面では、コンデンサの内部構造の微細化が進み、ムーアの法則に匹敵する速度で小型化が進んでいます。

セラミックコンデンサの特徴

それでは、セラミックコンデンサならではの特徴を詳しく解説しましょう。

小型で大容量

セラミックコンデンサの最も大きな特徴は、小型で静電容量の大きい製品が作れることです。セラミックコンデンサはセラミックや電極を成形した後で焼結して製造されるため、微細構造が作りやすいという特徴を持ちます。他のコンデンサよりも電極の積層数を圧倒的に増やせるので、サイズごとの容量を増やしやすいのです。

セラミックコンデンサは、この特徴を活かして成形工程の工夫が数多く行われており、今では目で見えないほど極小の部品を作るのに成功しています。また、100層以上の電極を持つ積層セラミックコンデンサも一般的になりつつあり、部品の静電容量もより大きくなっています。

これらの特徴から、電子回路におけるセラミックコンデンサの優位性は年々高まっており、今では全コンデンサの8割にセラミックコンデンサが使われていると言われています。また、最近では技術の発展に伴い、電解コンデンサやタンタルコンデンサに匹敵する静電容量も実現し始めており、これらのコンデンサを置き換えることも可能です。

高周波特性が良い

コンデンサは純粋なリアクタンス成分だけでなく、抵抗やインダクタンス成分によるインピーダンスも持っています。そのため、高周波信号を入力するとインダクタンス成分による信号の減衰が大きくなり、信号が減衰してしまいます(これをESR特性と呼びます)。

特に電解コンデンサなどで問題となりがちであり、高周波信号を扱う際は注意しなければなりません。しかし、セラミックコンデンサはインダクタンス成分が小さいため、高周波信号を入力した際の影響が小さいです。そのため、高周波信号においても使いやすいといえるでしょう。

耐熱性が良い

セラミックコンデンサはセラミック製なので耐熱性が高く、高温条件下で使用しても故障しにくいのもメリットです。高性能なものでは200℃での使用にも耐えるため、厳しい温度条件でも問題なく使えるでしょう。

セラミックコンデンサを使う際の注意点

高性能で使いやすいセラミックコンデンサですが、短所も複数あるため使用する上では注意が必要です。特に気をつけるべき注意点をお伝えします。

クラックが生じやすい

セラミックは硬くて脆いので、曲げや変形に対する柔軟性は持っていません。そのため、基板が曲がったり衝撃が加わったりした際に、セラミックコンデンサにクラック(ひび)が入って壊れやすいという問題があります。機械的なストレスだけでなく、熱による基板の反りもクラックにつながる可能性があるため、特に信頼性を重視する用途では、基板が反らないための設計が欠かせません。

ちなみに、クラックが発生した際は基本的にはオープン(開放)状態になります。ただ、クラックに湿気が入るとショートすることもあり、大規模な不具合や発火に繋がる可能性もあるため、設計時には注意が必要です。

DCバイアス特性が悪い

「DCバイアス特性」とは、コンデンサに直流電源を印加した際、静電容量がどのように変化するかを示した特性です。セラミックコンデンサは、このDCバイアス特性が他のコンデンサと比べて非常に悪いという欠点を持っています。

5V程度の直流電圧で静電容量が半分以下になるなど、大きな影響があるので、直流電源を扱っている場合は注意しましょう。データシートを参照し、DCバイアス特性を考慮して十分大きな静電容量を持つ部品を選定してください。

温度特性が悪い

温度によって静電容量が変化することを「コンデンサの温度特性」と呼びますが、セラミックコンデンサはこの温度特性が悪いという短所を持っています。使用温度範囲内でも静電容量の変化が±15%ほどあるのが一般的で、製品によっては−80%まで許容している場合もあります。

そのため、高温・低温条件で使う製品に対しては、静電容量の変化を考慮した設計が必須です。ちなみに、セラミックコンデンサの中でも温度補償用の製品では、温度特性がほとんど変化しません。静電容量は小さいため利用の幅は限られますが、温度特性を重視したい場合は採用を検討してください。

高周波で音鳴きが発生する

可聴域の信号をセラミックコンデンサに入力すると「音鳴き」が発生するのも問題の一つです。この現象は、セラミックの誘電体が印加された電圧に比例して歪むことで生じます。ただ、コンデンサの歪み自体はナノメートル単位と小さいため、コンデンサ単体だけで音鳴きにつながることはありません。基板などの周囲部品に振動が伝わり、増幅されることで音として聞こえているため、基板の固定方法などを見直すことで音鳴きを解消できます。

まとめ

今回は、セラミックコンデンサの特徴や使用上の注意点についてお伝えしました。セラミックコンデンサは小型・大容量という特徴を持ち、使いやすいことから、コンデンサの中でも最も多く使われています。ただ、クラックや音鳴きといった問題や、DCバイアス特性、温度特性など使用する際の注意点もあるため、安易に使っていると不具合の原因にもなりかねません。設計時は、特性を理解した上で選定するようにしてください。

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