応力とひずみの関係とは?関係式、計算方法を理解して機械設計に活かそう!
2026年9月21日更新
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大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。
応力とひずみの関係とは?
応力とひずみは、外力を受けた部材の強度や変形を評価するために用いられる基本的な物理量です。応力は、部材内部に生じる内力を単位面積あたりの力として表したもので、ひずみは外力によって生じた変形量を変形前の寸法に対する割合で表したものです。
材料が線形弾性範囲にある場合、応力とひずみは比例関係にあり、この関係はフックの法則で表されます。一方、降伏して塑性変形が生じる場合や、ゴムなどの非線形性が強い材料では、応力とひずみは単純な比例関係にはなりません。
機械設計では、この応力とひずみの関係を把握することで、部材にどの程度の荷重が加わると変形するのか、また塑性変形や破壊に至る可能性があるのかを評価できます。
応力とひずみとは

応力とひずみの関係を理解できるよう、まずは応力、ひずみがそれぞれ何を意味しているか解説します。
応力とは
応力とは、外力を受けた部材の内部に生じる内力を、単位面積あたりの力として表した物理量です。部材に引張荷重や圧縮荷重などが作用すると、その荷重に抵抗するように部材内部に力が生じます。この力を断面積で割ったものが応力です。
応力はギリシャ文字の「σ(シグマ)」で表すのが一般的で、SI単位系ではPa(パスカル)を使用します。機械設計では、1 N/mm²=1 MPaの関係から、N/mm²やMPaがよく使用されます。
応力には、荷重の作用状態によって引張・圧縮応力やせん断応力などがあります。また、部材に曲げモーメントやねじりモーメントが作用すると、断面内に曲げによる垂直応力やねじりによるせん断応力が生じます。実際の機械部品では複数の応力が同時に作用する場合もあるため、強度評価ではそれぞれの応力状態を考慮する必要があります。
ひずみとは
ひずみとは、外力によって生じた部材の変形量を、変形前の寸法に対する割合で表した物理量です。例えば、部材を引っ張ったときに、元の長さに対してどの程度伸びたかを表すことで、荷重による変形の程度を評価できます。ひずみは長さの比率であるため単位を持たない無次元量ですが、実務では%やμε(マイクロひずみ)で表すこともあります。
引張荷重を受ける部材では、荷重が作用する方向に伸びる「縦ひずみ」が生じる一方、それと直交する方向には縮む「横ひずみ」が生じます。このような縦方向と横方向のひずみの関係は、後述するポアソン比によって表されます。
応力の求め方

応力は、部材に作用する荷重やモーメントによって、引張・圧縮、せん断、曲げ、ねじりなどさまざまな状態で発生します。ここでは、機械設計で基本となる引張・圧縮応力、せん断応力、曲げによる垂直応力について、基本的な求め方を解説します。
引張・圧縮応力の求め方
引張・圧縮応力は、部材の断面に垂直な方向へ軸力が作用したときに生じる応力です。断面内で応力が一様に分布すると仮定した場合、軸力を断面積で割ることで平均的な応力を求められます。
引張・圧縮応力の公式
| σ = N/A [N/mm^2] |
せん断応力の求め方
「せん断」とは、ある部材を「はさみ切る」ように作用する現象のことです。物体の断面に対して平行に、互いに反対向きの一対の力を作用させると物体はその面に沿って滑り切られる力を受けますが、これが「せん断力」です。文具の「ハサミ」も、この「せん断力:Q」を使ってモノを切断しています。せん断力により物体の断面に生じる応力が「せん断応力:τ」です。せん断応力の公式は、以下の関係式で表されます。
せん断応力の公式
| τ = Q/A [N/mm^2] |
曲げ応力の求め方
曲げ応力は、細長い棒状の構造物(はり)に、断面に垂直な横荷重が作用することで、はりが曲げられる際に発生する応力です。横荷重が作用すると断面には「曲げモーメント:M」と「せん断力:Q」が発生し、それぞれ「曲げ応力:σ」と「せん断応力:τ」となります。ただし、それぞれの応力の方向が異なることに加え、せん断応力よりも曲げ応力の方が支配的となるため、曲げ応力のみが考慮される場合が多いです。
また、曲げ応力は断面の位置によって値が異なります。上端と下端部で最大または最小値となり、中間では上端と下端部から線形で推移します(上下対称の断面では中心で0となる)。曲げ応力の公式は、以下の関係式で表されます(以下の式は最大値を示す)。関係式における断面係数は、断面の形状によって決まる値ですが、本記事では説明を省略します。
曲げ応力の公式
| σ = M/Z [N/m^2] Z:断面係数 [mm^3] M:曲げモーメント [N・mm] |
応力-ひずみ曲線とは

応力とひずみには物質ごとで関係性が異なり、一般的な関係式として示せないため、実験的に得られる「応力-ひずみ曲線」により示されるのが一般的です。応力-ひずみ曲線は、引張試験機を用いて計測したい材料で作られた試験片を引っ張る「引張試験」によって求められます。試験片の形状は、日本工業規格(JIS)で定められています。
また、ひずみには変形前の長さに対するひずみ値である「公称ひずみ」と、変形後の長さを変形前の長さで割って自然対数を取る「真ひずみ」があります。材料力学などの計算で考慮する「微小変形問題」を計算する場合は公称ひずみを用い、変形を無視できない「大変形問題」を計算する場合には、真ひずみを用います。
鋼材の場合
鋼材における応力-ひずみ曲線
以下に、代表的な鋼材の応力-ひずみ曲線を示します。ここでは、縦軸に公称応力、横軸に公称ひずみをとっています。応力-ひずみ曲線から、材料が弾性変形する範囲や降伏、塑性変形の進行、引張強さなど、材料の力学的特性を読み取ることができます。

弾性変形と塑性変形
応力を加えたとき、材料が変形しても荷重を取り除けば元の形状に戻る変形を「弾性変形」といいます。これに対して、荷重を取り除いても変形が残ることを「塑性変形」といいます。
応力-ひずみ曲線では、材料が弾性変形する範囲を「弾性域」、塑性変形する範囲を「塑性域」と呼びます。弾性域のうち、応力とひずみが比例する範囲ではフックの法則が成立します。弾性域を超えて塑性域に入ると、荷重を取り除いても永久ひずみが残ります。
降伏点と引張強さ
鋼材の中には、弾性域を超えると応力がほとんど増加しないままひずみが大きくなる「降伏現象」を示すものがあります。このときに現れる特徴的な応力を降伏点といい、上降伏点と下降伏点が現れる場合があります。降伏点を超えると塑性変形が進み、荷重を取り除いても永久ひずみが残ります。
一方、塑性変形が進むと応力は再び増加し、応力が最大となる点に達します。このときの最大の公称応力を「引張強さ」といいます。引張強さは材料の引張強度を示す代表的な指標の一つです。
機械設計では、部材に塑性変形を生じさせないことを目的とする場合、降伏点や降伏応力、0.2%耐力などを強度評価の基準として用います。ただし、実際の設計で使用する許容応力は、これらの材料強度に安全率や荷重条件、規格などを考慮して設定します。
鋼材以外の延性材料の場合
鋼材以外の延性材料における応力-ひずみ曲線
アルミニウム合金や銅合金などの延性金属では、鋼材のように明確な降伏点を示さず、応力-ひずみ曲線が緩やかに塑性域へ移行するものがあります。このような材料では、明確な降伏点の代わりに、規定された永久ひずみに対応する「耐力」を用いて降伏に相当する強度を評価します。
一方、ガラスやコンクリートなどの脆性材料は、一般に破壊までに大きな塑性変形を伴わないという特徴があります。したがって、材料の種類によって応力-ひずみ曲線の形状や強度評価の方法が異なります。

耐力
アルミニウム合金など、明確な降伏点を示さない材料では、降伏点の代わりに「耐力」を用いて塑性変形に対する強度を評価します。代表的なものが「0.2%耐力」です。0.2%耐力は、材料を除荷したときに0.2%の永久ひずみが残る応力として定義されます。例えば、元の標点間距離が100 mmの試験片であれば、除荷後に0.2 mmの永久伸びが残ることに対応します。
応力-ひずみ曲線上では、ひずみ0.2%の位置から弾性域の直線部分と平行な線を引き、その線と応力-ひずみ曲線が交わる点の応力を0.2%耐力とします。明確な降伏点を示さない材料では、この値を降伏に相当する強度として強度評価に用います。
応力とひずみの関係式

物質の全体的な特性は「応力-ひずみ曲線」で示されますが、特定の条件における応力とひずみの関係性は、フックの法則やヤング率、ポアソン比などの関係式でも示されます。これらの関係式の意味を解説します。
フックの法則とヤング率
材料力学において、弾性域で応力とひずみが比例関係となることを「フックの法則」といいます。また弾性域において、応力-ひずみ曲線の傾きが「ヤング率:E」です。応力-ひずみ曲線から、弾性域の傾きが大きくなる(ヤング率が大きくなる)とひずみ(変形)に対する応力値(力)が大きくなります。
つまり、ヤング率が大きくなると変形しづらくなります。ヤング率は材料 の変形のしにくさである「剛性」を示す指標であり、材料固有の値です。フックの法則が成立する弾性域において、応力とひずみ、ヤング率はそれぞれ以下の関係式で表されます。
フックの法則における応力とひずみの関係式
| σ = E × ε [N/mm^2] σ:応力 [N/mm^2] E:ヤング率 [N/mm^2] ε:ひずみ [%] |
ポアソン比
ポアソン比(ν)は、材料に引張や圧縮の荷重を加えたときに生じる、荷重方向のひずみと、それに垂直な方向のひずみの比を表す材料定数です。
例えば、棒状の部材を長手方向に引っ張ると、長手方向には伸びる「縦ひずみ」が生じる一方、長手方向と直交する方向には縮む「横ひずみ」が生じます。引張方向をx方向、横方向をy方向とすると、ポアソン比は次の式で表されます。
ポアソン比とフックの法則
| ν = – εx/εy εx = σx/E εy = – ν × σx/E (いずれも無次元量) |
応力とひずみの関係を把握して機械設計に役立てよう
機械設計における強度評価をするうえで、応力とひずみの関係はもっとも初歩的かつ避けては通れない概念です。昨今の機械設計プロセスではCAEを取り入れることが増えていますが、CAEの応力評価に用いられるFEMでは、弾性域におけるフックの法則から、材料の応力や変形量を計算します。
強度評価以外でも機構解析における部材の微小弾性変形の計算などでも、応力とひずみの関係は使われています。これから機械設計におけるCAEやFEMの技術を習得しようとしている設計初心者の方は、ぜひ本記事の内容を学習し、機械設計業務に役立てましょう。
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