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ソーラーカーは実現できる?メリットや開発状況も含めて解説!

2023.10.09更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

太陽のエネルギーを動力に変換し、走るソーラーカー。エコな自動車の代表例であり、技術的には製造可能なのにも関わらず、なぜ一般に販売されていないのでしょうか。今回は、業界の開発状況や販売されていない理由、この技術がもたらす社会経済的な影響まで、ソーラーカー業界の現実を概説します。

ソーラーカーの概要と歴史

ソーラーカーは太陽電池を車の屋根に取り付け、太陽光を電気に変換して走るクルマのことです。クルマの構造は電気自動車とほぼ一緒で、発電した電力をバッテリーに蓄え、モーターを駆動させて走行します。

ソーラーカーは19世紀から構想が練られており、1950年頃にはゼネラルモーターズ社によって車体開発と実走行が行われるなど、開発の歴史は意外と古いです。また、1987年にソーラーカーのレース「ワールド・ソーラー・チャレンジ」が開催されたのを皮切りに、各国でソーラーカーの開発やレース開催が行われたことで、ソーラーカーの開発は1990年代に最盛期を迎えています。

しかしその後、ソーラーカーの開発は徐々に下火となっていき、現在ではレースの開催もほとんど行われなくなっています。その背景には様々な理由がありますが、乗用車としての実現が難しいことから、電気自動車や燃料電池車などへの開発に移ってしまったことが挙げられます。

ソーラーカーの実現が難しい理由

それでは、なぜソーラーカーの乗用車を作るのが難しいのかを解説します。最も大きな理由は、ソーラーカー用のソーラーパネルの価格が高いのでコスト面で既存の自動車に太刀打ちできない、ということです。

まず、太陽光発電などで使われている一般的な太陽電池では、発電効率が低すぎてまともにクルマを動かすことができません。そのため、実際に開発されたソーラーカーでは30%以上の発電効率を持つ、特別な化合物半導体を使っています。

ただ、この太陽電池は製造コストが圧倒的に高く、パネルだけで1000万円以上かかってしまうという問題があります。もちろん、高効率かつ低価格な太陽電池の研究も常に行われてはいますが、材料費や製造プロセスなどの面で非常にハードルが高いので、低コストなソーラーカーを実現するにはかなりの時間がかかると予想されます。

さらに、ソーラーカーには蓄電用のバッテリーが必要ですが、バッテリーは非常に重いので、走行効率が下がってしまい航続距離が短くなってしまうのも問題です。このことから、ソーラーカーを既存のクルマと同様な性能・価格で作るには、さまざまな技術の革新を待つ必要があるといえるでしょう。

太陽電池を搭載した電気自動車の開発状況

このように、太陽電池のみで動くソーラーカーを作るのは難しい状況ですが、実は太陽電池を取り付けた電気自動車の開発は進んでおり、実際に販売も開始されています。今回は、特に開発や量産が進んでいる事例を2つ紹介します。

Lightyear 0

まず、オランダのスタートアップ企業「Lightyear」では、2022年に電気自動車にソーラーパネルを取り付けた「Lightyear 0」というクルマを発売しています。販売価格が25万ユーロと非常にハイエンドなモデルですが、1日で最大70km走行できる程度のエネルギーを太陽電池によって得られると言われています。

また、後継機である「Lightyear 2」では、価格が4万ユーロ程度に抑えられるほか、全体的な性能も向上するとの公表が行われています。具体的な仕様や価格は決まっておらず、2025年以降の生産にはなりますが、どの程度の性能が得られるのか注目です。

Sion

ドイツのスタートアップ企業「Sono Motors」では、大衆車としてソーラーパネルを取り付けた電気自動車「Sion」を発表しています。太陽電池の発電により、1週間で最大245kmの充電が行える上、約300万円程度と、電気自動車とほぼ変わらない価格を実現しているのが特徴です。

2022年に量産モデルが公表されており、丸みを帯びた車体ボディの全面に太陽電池が取り付けられていることから注目を浴びています。販売は2023年後半以降に開始される予定ですが、約2万台の事前予約が既に行われているとのことです。

まとめ

今回は、ソーラーカーの実用化が難しい理由や、開発状況、将来性などについて解説しました。ソーラーカーは長年注目を浴びている技術であるものの、高効率で低価格な太陽電池を作るのが難しいことから、実現は難しいのが現状です。一方で、電気自動車への太陽電池の搭載は順調に開発が進んでいるため、電気自動車の補助用として太陽光が活用されるのが主流になると思われます。

太陽光発電は脱炭素社会に向け、環境に配慮した発電手段として重要な存在なので、今後もさまざまな形でクルマ社会に登場するでしょう。今後の技術革新によっては大きく動向が変わる可能性もあるので、ぜひ今後の変化に注目しておいてください。

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