RoHS(ローズ)指令とは?規制内容やREACHとの違いなどを解説!
2024.08.20更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶電子機器を製造する上で必ず名前が登場する「RoHS指令」。規制内容の詳細や、REACHなどの規制との違いなどが分からない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、RoHS指令の内容を他の規制との違いも含めて解説します。
RoHS指令とは
RoHS指令は「Restriction of Hazardous Substances Directive」の略で、2003年に制定された欧州連合(EU)の法律のことです。電子・電気機器の製造に使用される有害物質の量を制限するのがRoHS指令の主な目的であり、鉛やカドミウムなどが製品に使われるのを防いでいます。
RoHS指令は、EU圏内で販売されるAC1000V、DC1500V以下の定格電圧を持った電子機器全てに適用されるため、ほとんど全ての電子機器が規制対象になる状況です。また、RoHS指令に準拠していることを示すため、製品に「CEマーク」を取り付けることも義務化されています。
REACH規制との違い
続いて、混同しがちなREACH規制との違いについても紹介しておきましょう。RoHS指令が「電子製品に含まれる特定の有害物質の使用制限」が目的なのに対し、REACH規制は「あらゆる有害物質の総量を管理する」のを目的としているのが主な違いです。
REACH規制では、SVHC(Substances of Very High Concern)と呼ばれる「高懸念物質」に対して、1事業所あたり1t以上の製造・輸入を行う場合に、データベースへの登録が義務化されます。また、SVHCの中でも特に人の健康や環境への影響が懸念される物質は「認可対象物質」と分類され、使用する場合は認可を得る必要があります。
ちなみに、REACH規制におけるSVHCの種類は半年ごとに改訂が行われ、2007年に発効された時は10種類だった所から、2022年には223種類まで増えている状態です。今後登録される予定の化学物質は34,000種類にも及ぶと言われており、今後もSVHCの数が増加していくことが予想されるため注意が必要です。
RoHS指令で規制している物質
それでは、RoHS指令で規制される物質について詳しくお伝えします。RoHS指令は、2003年の制定時に6種類の有害物質が規定されたほか、2019年には4種類が追加されており、現在は以下の10種類の物質が規制対象となっています。
規制物質名 | 主な用途 |
---|---|
鉛(Pb) | はんだ、つや出し剤、PVCケーブルの絶縁 |
水銀(Hg) | スイッチ、リレー、蛍光灯 |
カドミウム(Cd) | 合金、プラスチック、二次電池 |
六価クロム(CrVI) | 電子塗料やステンレス鋼 |
ポリ臭化ビフェニル類(PBB) | 塗料、難燃剤 |
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) | 難燃剤 |
フタル酸ビス(DEHP) | 可塑剤 |
フタル酸ジブチル(DBP) | 可塑剤、潤滑剤 |
フタル酸ブチルベンジル(BBP) | 可塑剤 |
フタル酸ジイソブチル(DIBP) | 可塑剤、潤滑剤 |
上記の物質に対する規制内容は基本的に「重量に対して0.1%以下の含有量となる(0.1wt%以下)」となっており、カドミウムのみ「0.01%以下」となるよう規制されています。
ただし、鉛は鋼材や真鍮に使われる場合など、現状で代替不可能な用途については規制が緩和されています。過去には六価クロムなども緩和対象となっていましたが、代替製品が発明されると同時に緩和対象から外れています。鉛についても今後の技術発展により緩和対象から外れる場合もあるため、注視しておく必要があります。
RoHS指令を守らなかった時の罰則
最後に、RoHS指令を守らなかったときに課される罰則について解説します。RoHS指令を守らずにEUへの製造・輸出を行い、RAPEX(緊急警告システム)に通知された場合、製品回収を行わなければなりません。さらに罰金や販売停止の罰則が科される上、RAPEXの違反者リストに掲載されてブランドイメージの低下にも直結するなど、多岐にわたるデメリットが生じるので注意しましょう。
ちなみに、EU加盟国への輸出を行わない場合は、RoHS指令を守る必要はありません。ただし、アメリカならEWRA指令といった形で似たような規制は行われているので、国ごとに問題がないかを確認しておく必要があります。
まとめ
今回は、欧州連合(EU)の法律であるRoHS指令について、規制内容やREACH規制との違いを紹介しました。RoHS指令は電子機器に含有される有害物質の使用量を制限するために設けられた法律です。
2023年時点で10種類の物質が規制対象となっており、適合性評価を行って使用量が基準以下となることを確認した上、CEマークを製品に貼りつける必要があります。RoHS指令に準拠せずに輸出を行った場合、製品の回収だけでなく、罰金などの制裁を課せられるため注意が必要です。
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