AEC-Q100ってどんな規格?意味や試験内容などを解説!
2024.09.09更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶自動車用のICチップを選定する際、非常に重要な規格として名前の挙がる「AEC-Q100」。どんな規格なのか、詳しい内容が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、AEC-Q100の意味や試験内容などを分かりやすく解説します。
AEC-Q100とは
AEC-Q100とは、自動車に使われるICの品質を保証するために必要な、評価・試験項目を定めた規格のことです。アメリカの3大自動車メーカーを中心に、多くの電子部品メーカーが参画して設立された「AEC(車載電子部品評議会)」によって作られたため、AECという名称が付けられています。AEC-Q100では、車載製品は15年間以上の寿命を持つことが求められており、その寿命を満たすだけの試験項目が定められています。
なお、AECは民間団体なので、国家が制定しているISO規格などと異なり、強制力のある規格ではありません。しかし、実際には自動車メーカーにおいて標準的に採用されているため、AEC-Q100に合格していないと車載用途で使えない状況となっています。
AEC規格にはいくつもの種類がある
AEC規格にはAEC-Q100のほかにも「AEC-Q101」「AEC-Q200」を始め、様々な規格が定められています。これらは全て車載向けの品質基準を示しますが、AEC-Q101はディスクリート半導体部品(トランジスタ・ダイオード等)、AEC-Q200は受動部品(抵抗・コンデンサ等)といったように、試験対象となる部品の種類が異なります。
AEC-Q100はプロセス全体の評価が必要
電子部品の試験というと、通常は完成した製品の機能や性能を確かめるイメージだと思います。しかしAEC-Q100ではより厳格に品質を担保できるよう、設計や各製造プロセスごとにも基準を設けているのが特徴です。もちろん製品自体への性能評価も通常の電子部品より厳しく行われるため、結果として他にはないような堅牢で信頼性の高い製品が作り出されます。
AEC-Q100の試験内容
AEC-Q100では、試験内容がいくつかのグループに分けられており、それぞれで試験項目が定められています。各グループの試験内容について概要をお伝えします。
試験グループA:環境ストレス試験
グループAの試験は、製品を過酷な環境下で動作させた際の信頼性をチェックする試験です。高温高湿バイアス試験や、温度サイクル試験など、温度・湿度変化に対応するかどうかを確認します。
試験グループB:加速寿命試験
グループBの試験は、加速試験を行うことで、製品の寿命をチェックする試験項目です。長時間・長期間連続で負荷をかけることで劣化を促進させるバーンイン試験や、メモリの耐久性を確認する繰り返し書き換え試験、データ保持試験などを行います。
試験グループC:パッケージアセンブリ保全試験
グループCの試験は、パッケージや端子などの信頼性をチェックする試験項目です。ワイヤーボンディングの強度やはんだ濡れ性、端子強度、デバイスの外形寸法などの試験を行います。
試験グループD:ダイレベル信頼性試験
グループDの試験は、パッケージに封入される前の半導体である「ダイ」に対する信頼性をチェックする試験項目です。シリコンウェーハから回路を作る半導体製造の前工程における、信頼性を確認する目的で行われます。ホットキャリア注入試験やマイグレーション試験などが行われます。
試験グループE:電気的特性確認
グループEの試験は、製品の電気的な特性をチェックする試験項目です。人体モデルや帯電デバイスモデルなどを用いた静電気試験や、ラッチアップ試験、LSIテスターを用いた特性評価を行います。
試験グループF:⽋陥スクリーニング試験
試験グループFの試験は、初期不良や潜在的に存在する欠陥をふるい落とすために行われるスクリーニング(選別)試験項目です。目視検査やバーンインなどの試験を行うことで欠陥を持つ部品を弾き、故障率を適切に下げることが求められます。
試験グループG:キャビティーパッケージ試験
CMOSやMEMSなどでは、従来のパッケージと異なり、半導体内部に凹部を作りこむキャビティーパッケージを用いることがあります。グループGの試験は、このようなパッケージの信頼性を確認するために行う試験項目です。振動・衝撃試験や落下試験、気密試験などの試験を行います。
AEC-Q100のグレード
AEC-Q100の試験内容は上記の通りですが、実はICチップの使われる温度範囲によってさらに細かなグレード分けも行われています。グレードは0~3までの4種類が存在し、グレード3は‐45~+85℃、グレード2は‐45~+105℃、グレード3は‐45~+125℃、グレード3は‐45~+150℃といったように、使用温度範囲が変わります。そのため、試験内容もグレードによって変化し、温度範囲での温度試験やデータ保持、動作寿命、故障率の確認を行わなければなりません。特にグレード0は150℃という非常に高温での使用が想定されているため、試験も相応に厳しくなります。
まとめ
今回は、自動車に使われるICチップが必ず通らなければならない試験「AEC-100」の試験内容について紹介しました。AEC-100はアメリカの車載電子部品評議会(AEC)によって制定された、自動車用ICチップの信頼性を担保するために行われる試験です。プロセス全体を評価する非常に厳しい試験であり、通過したICチップは非常に高い信頼性を持つことができます。車載品を扱う場合は必ず登場する規格なので、気になる方は公式ドキュメントもぜひご覧ください。
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