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回生ブレーキって何?仕組みや特徴について徹底解説!

2023.10.10更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

ハイブリッド車や電気自動車において、燃費向上に大きな役割を果たしている「回生ブレーキ」。ブレーキ時に作動するのは知っていても、その原理については少しイメージしにくいのではないでしょうか。そこで今回は、回生ブレーキがどんなブレーキなのかを詳しく解説していきます。

回生ブレーキとは?

回生ブレーキとは、ハイブリッド車や電気自動車で使用されているブレーキのことです。「生き返る、蘇る」という意味の通り、車輪が持つ運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、再利用できる特徴を持っています。通常のブレーキは、ブレーキパッドでディスクローターを挟み込み、摩擦の力で車を減速させるのが主な仕組みです。ただ、減速時は車を動かしている運動エネルギーが熱として消費されるため、ブレーキ時は運動エネルギーを全て捨てていることとなります。

一方、回生ブレーキを使えば、これまで捨てていたエネルギーを電気に変換し、バッテリーに充電できます。捨てていたエネルギーが再利用できるので、燃費の改善につながるのです。

回生ブレーキのメカニズム

では、回生ブレーキはどのようにして運動エネルギーを再利用しているのでしょうか。そのメカニズムを詳しくお伝えします。

ブレーキの代わりに発電機を使う

まず、回生ブレーキ時は通常のブレーキを作動させる代わりに、オルタネーター(発電機)を作動させます。オルタネーターは磁石とコイルを組み合わせ、回転エネルギーを電気エネルギーに変換できる機器のことです。シャフトの力を受けて回転する「ローター」に磁石(電磁石)を、その周囲で固定された「ステーター」にコイルを設置することで、電磁誘導を発生させて発電します。

発電が行われると回転エネルギーは電気に変換されて減少するので、結果的に摩擦ブレーキと同様の減速効果をもたらします。ただ、オルタネーターの発電量にはさまざまな形で制約があるため、回生ブレーキは万能というわけではありません。そのため、ブレーキの状況に合わせて摩擦ブレーキを同時に作動させ、適切なブレーキ制御を実現しています。

ちなみに、車の発電機としてはダイナモも存在しますが、発電効率の違いから、現在は基本的に使われていません。オルタネーターの詳しい構造や、ダイナモとの違いについて知りたい方は「オルタネーターとは?ダイナモとの違いや仕組みをわかりやすく解説!」をご覧ください。

発電した電気をバッテリーに充電

オルタネーターにより生み出された電気は、バッテリーに充電することで再利用できるようになります。オルタネーターの出力は交流なので、後段にインバーターを入れて直流に変換し、充電するのが一般的です。

充電を行う際、バッテリーがフル充電されている場合は、過充電となりバッテリーを劣化させる原因となります。そのため、ブレーキごとにECUが制御を行い、充電状況を見極めることで回生ブレーキの出力を調整しています。充電された電気は、電気自動車の場合はそのまま動力として、ハイブリッド車の場合は低速時の動力や電装品の電源として使われます。

回生ブレーキのメリット

続いて、回生ブレーキを使うことで得られるメリットを詳しく紹介しましょう。

航続距離が伸び燃費が向上する

まず、回生ブレーキを活用し浪費していたエネルギーを再利用することは、航続距離と燃費の向上に大きな効果をもたらします。ブレーキにより消費されるエネルギーは、消費エネルギーの25%を占めるとも言われており、特に下り坂などブレーキ操作が多くなる場所では損失が高くなります。

一方、回生ブレーキを使えば、ブレーキ時に消費されていたエネルギーの数十%が再利用可能です。このように、非常に大きなエネルギー節約効果が見込まれるため、航続距離と燃費の向上が期待できます。

ブレーキパッドの消耗が減る

今まではブレーキパッドをディスクローターに押し付けることで、摩擦の力を利用してタイヤの回転を抑えこんで車を停止させていました。しかし、回生ブレーキの作動中はブレーキパッドを使わなくてよいため、ブレーキパッドの摩耗を抑えることができます。ブレーキパッドが長持ちすれば、メンテナンス費用を抑えられるので経済的だといえるでしょう。

回生ブレーキのデメリット

それでは、回生ブレーキを導入することでデメリットは生まれるのでしょうか。結論から言うと、捨てていたエネルギーを再利用するだけなので、基本的にデメリットはありません。回生ブレーキを使うにはオルタネーターなどの機構が必要となりますが、電気自動車やハイブリッド車に搭載されているモーターがそのまま転用できるため、追加の部品も不要です。

唯一ブレーキの使用感については、回生ブレーキと摩擦ブレーキでは減速の仕方が異なるため、慣れていない人には違和感を感じる可能性があります。各メーカーでも対策は行っているため大きな問題にはなりませんが、初めてハイブリッド車などに乗る際は注意しましょう。

ちなみに、デメリットではありませんが、バッテリーがフル充電されているときは回生ブレーキが使えません。また、急ブレーキ時には摩擦ブレーキが主体となるため、回生ブレーキの効果を高めるためには、緩やかにブレーキを掛けることが重要です。

まとめ

今回は、ハイブリッド車や電気自動車で使われる「回生ブレーキ」について解説しました。回生ブレーキは、運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで、ブレーキ時のエネルギーを再利用できる機構のことです。大きなデメリットもなく、これまで捨てていたエネルギーを再利用できるため、航続距離や燃費の向上を実現する機能として幅広く採用されています。再利用効率はブレーキの仕方によって変わるため、利用する際にはゆっくりブレーキを踏むなど、効果を高める使い方を意識しましょう。

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