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機械設計に欠かせないCAE解析って?シミュレーションで製品作りを高品質・効率的に

2022.01.05更新

CAE解析は、機械設計においてプロセスの効率化やコスト削減に繋がるため、あらゆる現場で需要がある技術です。今回は、そんなCAEの概要とそのメリットを紹介します。CAEをこれから利用しようと考えている設計初心者の方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

CAE解析とは

CAE解析は「Computer Aided Engineering」の略で、機械設計の事前検討をコンピューターによるシミュレーションで支援する、エンジニアリング作業のことです。CAE解析が製品開発に取り入れられる以前は、製品に求められる強度、振動、音響、熱伝導、流体などの特性を、手計算による簡易計算と、試作品で試験を何度も繰り返すことで評価していました。

しかし、何度も試作品を作るにはコストも時間もかかるため非効率です。そこで、CAE解析を用いてあらかじめ製品の性能をシミュレーションすることで、モノを作る前に設計上の問題点を洗い出すことが可能となりました。現代の多くの製品開発現場では、新製品の開発周期が早まっているため、CAE解析による高品質・高効率な設計プロセスは必要不可欠となっています。

CAE解析の種類

CAE解析ができる評価内容には、さまざまな種類があります。製品に要求される機能・性能によって検討する項目は違いますが、その一部を以下にまとめました。CAE解析初心者の方は、自分が担当する製品について、どの項目を評価する必要があるのか考えてみましょう。

CAE解析の種類

解析 概要
応力解析 製品に発生する応力を計算する
音響解析 音響空間に発生する音を計算する
振動解析 製品に伝わる振動を計算する
熱伝導解析 製品に伝わる熱を計算する
流体解析 流体の速度や圧力を計算する
機構解析 部品の動きや接触を計算する
衝突解析 衝突時、製品に発生する応力や破壊現象を計算する

製品開発におけるCAE解析

製品開発のプロセスは、「コンセプトの決定」「設計」「試作」「実験」「製造」となります。CAE解析を用いない場合、設計する前の評価は手計算でしかできませんでした。手計算は、計算の簡略化のためにさまざまな前提を置いた簡易計算なので、実際にモノを作り、試作・実験をしてから分かる不具合も多く、手戻りが多い開発プロセスでした。

しかし、CAE解析を用いることでモノが無くても詳細な検討や評価が可能となり、開発プロセスにおける「設計」「試作」の前段階で製品の要求性能の評価ができます。CAE解析にも精度の課題があるため、「試作」や「実験」のプロセスを完全に無くすことは出来ませんが、CAE解析を使わない場合よりも、高品質・高効率な製品開発ができるようになっています。

製品開発プロセス

CAE解析を使わない製品開発プロセス CAE解析を使う製品開発プロセス
(1)コンセプトの決定

(2)手計算

(3)設計

(4)試作

(5)実験(性能が不十分なら(3)に戻る)

(6)製造

(1)コンセプトの決定

(2)CAE解析(形状決定前)

(3)設計

(4)CAE解析(形状決定後)

(5)試作

(6)実験(性能が不十分なら(3)に戻る)

(7)製造

CAE解析で可能な評価例

応力解析

応力解析は、構造に「荷重」が加わったときに発生する「応力:単位面積当たりの荷重」や「変形量」を算出するCAE解析です。

製品の静強度や疲労強度を、シミュレーションで評価できます。応力解析を用いることで、製品に発生する応力の集中箇所が分かるため、製品の強度が不足している際に、より小規模で適切な補強が可能です。

音響解析

音響解析は、ある音源を設定した際に周囲の音場の状態を計算するCAE解析です。

車の車室内や排気マフラーなどの音を、シミュレーションで評価する際に利用されます。また、音響解析は音響解析単体だけでなく、振動解析と「連成」して解析されることがあります。例えば、車のモデルにおいて、タイヤの接地面に周波数ごとの振動を与えることで、車室内の音を評価できます。

振動解析

振動解析は、物体を振動させたときの「変形」や「伝播する振動の大きさ」を計算するCAE解析です。

車やモーターなどの、動的な機構のシミュレーションに用いられます。また、製品に共振現象を発生させないように、共振が起きる周波数を把握することも、振動解析の目的の一つです。

熱伝導解析

熱伝導解析は、発生する熱源や周囲へ伝わる熱伝導などを定義した際の、構造の温度分布を計算するCAE解析です。

エンジンなどの構造物や、電子製品の熱検証などに用いられます。熱伝導解析で算出された温度分布は、発生する熱応力の算出などに利用されますが、最近のCAEソフトでは熱伝導と応力解析を同時に行うことが可能です。

CAE解析のメリット

コストダウンができる

CAE解析は、製品開発プロセスに活用することで、試作品の製作コストや実験するコストを大幅に減らせるため、開発にかかる工数や人件費といったコストを大幅に抑えられるメリットがあります。

例えば開発段階で、ある機械部品の強度不足が問題となった際に、CAEが無い場合は「設計」「試作」「実験」といったプロセスの検証が必要だったため、設計変更に膨大な時間がかかっていました。

しかし、CAEではモノが無くてもシミュレーションが可能であるため、手戻りが発生した際に最低限の時間で要因分析や対策が可能です。また、CAE解析では、部品が入り組んだ箇所の計算や、超高温な炉内などの実験が難しい箇所のデータも取れるため、実験のコストが抑えられるメリットもあります。

開発時間の短縮

CAE解析を開発プロセスに適用することで、試作品を作る前に製品の機能評価が可能(フロントローディング)となるため、開発時間の大幅な短縮ができます。ただし、CAE解析に必要な「CAEモデル」を作るのにも、それなりの時間が必要です。車などの大規模解析モデルは作成に数週間かかることもあるため、ある程度の開発時間を確保する必要があります。

最近の開発現場では、3D CAD(Computer Aided Design)にCAEが組みこまれたシステムを利用しており、CAE解析で部品ごとの機械性能を評価しながら製品開発が可能です。機械設計者の設計検証業務は今後さらに効率化されることが予想されるため、機械設計者にとってCAEの習得は必須の技術となっています。

複雑な形状の検討ができる

CAE解析には、複雑な材料形状をより精密に解析できるメリットがあります。CAE解析が普及する前の応力の評価は、形状の簡略化、応力集中は発生しない、端部の拘束は自由端/固定端、などといったさまざまな前提を置くため、実現象の精密なシミュレーションは不可能でした。また、実績(過去の形状)を無視できないため、大幅な部品形状の変更もできませんでした。

しかし、CAE解析を用いることで、今まで考慮していたさまざまな前提をまとめて詳細に計算できるようになったため、より正確な部品の評価が可能となりました。さらに、部品に必要な強度を設定することで形状を逆算する「最適化計算」などを利用することで、過去形状にとらわれない部品設計ができるようになっています。

初心者が陥りやすいCAE解析の落とし穴と注意点

シミュレーションの誤差を把握する

CAE解析は、あくまで「ある仮定をもとに、実現象の一部を再現している数値計算」でしかありません。したがって、解析結果には必ず誤差(実現象との差)が含まれます。そのため、設計者はCAE解析の結果がどの程度信用できるかを把握する必要があります。

CAE解析で発生する誤差には、大きく分けて以下の4種類があります。

CAE解析の誤差要因

誤差要因 概要
計算の誤差 丸め誤差や桁落ちなどの、数値計算による誤差
メッシュの誤差 メッシュサイズの大小で発生する誤差
境界条件による誤差 境界条件によって発生する誤差
後処理の誤差 ポスト処理による結果の違い

計算の誤差は、CAE解析では避けては通れない誤差です。非常に小さい値でも、何度も繰り返し計算をするうちに無視できない誤差となります。メッシュの大きさは解析精度と関係があり、一般的にメッシュサイズは小さいほうが高精度とされます。

ただし、メッシュサイズを小さくすると、応力集中が過大になる場合や、計算時間が膨大となる問題が生じるため、解析の目的によって適切なメッシュサイズの設定が必要です。境界条件は、CAE解析における負荷荷重や拘束条件といった解析条件のことです。これらが適切に設定されていないと、実現象と全く異なる結果が計算されるため、注意が必要です。

後処理の誤差は、解析結果を処理する際に発生する誤差です。例えば、振動解析において時系列データを周波数データに変換する場合に「フーリエ変換」を行うと、時系列範囲や窓関数によって周波数データの波形が変わってしまいます。

適切な境界条件を設定する

適切な境界条件の設定は、CAE解析者にとって最も重要な作業の一つです。境界条件には、モデルの動きを拘束する「拘束条件」と、負荷される荷重の条件を示す「荷重条件」の2つがあります。

CAE解析の拘束条件には、全く動かなくするか、自由に動くようにする2種類しかありませんが、実現象において、ある部品が完全に動かなくなることはないため、より実現象に近い条件を設定する必要があります。

また、荷重条件についても同様です。例えば、荷重が負荷される部分のメッシュが細かすぎると、1つの要素だけに集中的な荷重が加わり、実現象よりも荷重負荷部の変形が過大となってしまう場合があります。このような場合、1つの要素に荷重を負荷する「集中荷重」でなく、荷重を負荷する範囲を持った「分布荷重」を設定する必要があります。

非線形現象に注意する

「線形」とは、ある値とある値が「比例関係」となることを示し、弾性域のひずみと応力の関係などが該当します。対して、非線形はある値とある値が「比例関係にならない」関係のことで、塑性域のひずみと応力の関係が該当します。多くのCAE解析では、解析コスト面で有利な「線形解析」で行いますが、なかには無視できない非線形現象があるため、注意が必要です。

解析条件の非線形問題は大きく分けて、材料非線形、幾何学的非線形、境界非線形の3種類に分類できます。

非線形問題の大別

非線形問題 考慮する解析
材料非線形 塑性変形、ゴムの解析など
幾何学的非線形 大変形解析など
境界非線形 接触解析など

計算ミスに注意する

CAE解析初心者が最も注意しなければならないことが、「計算ミス」です。CAE解析は、計算条件にミスが無ければ、良くも悪くもなにかしらの値が計算されてしまいます。しかし、解析初心者がその値の妥当性を判断できないまま設計をしてしまうと、後工程の実験の段階で部品の性能不足が判明し、開発日程の大幅な遅延などにもつながってしまいます。

CAE解析者は、手計算などを使って自分が解析した計算結果の妥当性を判断することが必要です。ただし、解析初心者でその技術を持っていない方は、上位者に解析結果の妥当性をチェックしてもらうようにしましょう。

CAE解析を用いて高効率な開発プロセスを達成しよう

従来の設計現場では、3D CADで図面を描く担当者とCAE解析の担当者が別でしたが、最近ではその垣根が無くなってきています。

設計者が解析業務を行うことも増えてきているので、CAE解析のスキルはより需要が高まっていると言えるでしょう。これから設計者を目指す方は、ぜひ今回紹介したCAE解析の基礎を踏まえ、高効率な開発プロセスの達成に役立ててください。 

また、CAE解析のスキルを活かす仕事がしたいという方は、FREE AIDの求人情報をチェックしてみましょう。条件面も確認できるので、今後のキャリア形成の参考にするのもおすすめです。

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