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  • 電解コンデンサにはなぜ寿命があるのか?設計時の注意点と合わせて解説!
  • 電解コンデンサにはなぜ寿命があるのか?設計時の注意点と合わせて解説!

    2024.08.08更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    小型でありながら、非常に静電容量が大きいことから多用されている電解コンデンサ。使いやすい反面、設計時にはさまざまな注意が必要です。中でも今回は、電解コンデンサを選定するうえで注意すべき「寿命」について解説します。その他の注意点も併せて解説するので、ぜひ参考にしてください。

    電解コンデンサの寿命が問題となる理由

    なぜ電解コンデンサは寿命についての検討が必要なのでしょうか。その理由は、電解コンデンサは誘電体に液体(電解液)を使っているため、蒸発による性能の劣化が生じやすいからです。電解液が蒸発すると静電容量が急速に低下し、内部インピーダンスが急増するため電解コンデンサとしての役割を果たさなくなります。

    例えば高温条件下で使用すると、数千時間で寿命が訪れます。この寿命は他の電子部品とくらべると圧倒的に短いので、電子回路の使用期間内に電解コンデンサが寿命を迎えないよう注意して設計しなければなりません。

    各特性による寿命の影響

    それでは、使用条件によってどのように寿命が変わるかを解説していきましょう。

    周囲温度による影響

    最も大きな影響を与えるのは周囲温度です。電解コンデンサでは、寿命の長さがアレニウスの法則(温度と化学反応速度の関係性を示した式)に従うことが分かっています。この式は、使用温度が10℃上昇すると寿命が1/2に、10℃低下すると寿命が2倍になることを示しており、「10℃2倍則」とも呼ばれます。

    アレニウスの法則は寿命に大きな影響を与えるため、電解コンデンサの寿命は、基本的にアレニウスの法則を考慮して計算しなければなりません。実際に、電解コンデンサの寿命は、データシート上で「105℃10000時間」といった形で保証値が記載されていますが、ここにアレニウスの法則を組み合わせる必要があります。

    ちなみに、低温条件下や定格温度を超えるような高温条件下では、他の要因による影響が顕在化するため、寿命はアレニウスの式から少し外れた曲線を描きます。そのため、特殊な温度環境下で使用する際は、メーカに問い合わせて詳細なデータを得るようにしてください。

    リプル電流による影響

    電解コンデンサは電流損失が比較的大きいため、周囲温度以外にも、コンデンサ内部での損失による内部発熱を考慮しなければなりません。特に、リプル電流が大きい場合は内部での発熱が無視できないほど大きくなるため、必ず検討しておきましょう。

    リプル電流とは、負荷が変動した際、コイルやコンデンサに過渡的に流れる電流のことです。発熱はリプル電流の二乗に比例して生じるため、リプル電流への対策が甘いと大電流が流れ、それに応じてコンデンサが瞬間的に発熱するため注意が必要です。

    印加電圧による影響

    電解コンデンサに高い印加電圧を与え続けても、寿命に対する悪影響が生じえます。しかし、周囲温度やリプル電流と比較すると、その影響は軽微なので、定格以内で使用する際は寿命への影響を無視してもよいでしょう。

    ちなみに、定格以上の電圧を印加すると、コンデンサの絶縁が破れてしまい故障の原因となるため注意してください。ただ、電解コンデンサでは、絶縁が破れた部分を自動で修復する「セルフヒーリング効果」を有しているため、他のコンデンサと比べると故障しにくいといった特徴もあります。

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    電解コンデンサの設計時における注意事項

    電解コンデンサは寿命に関する検討が大事ですが、他にも大きな設計上の注意点がいくつかあります。ここでは主な項目について解説します。

    電子基板上の配置が重要

    電解コンデンサを配置する上で、製品の周囲温度を低く保つことは欠かせません。しかし、周囲に電源ICなど発熱量の多い部品を配置すると、パターンや空気を介して電解コンデンサの温度も上昇してしまい、寿命に悪影響を与えるので注意が必要です。特にパターンは、物理的な距離が離れていても熱伝導しやすい配線になっていると影響が出るため、必ず熱設計を適切に行いましょう。

    極性を間違えると寿命が一気に縮まる

    電解コンデンサの設計・製造時は、極性があることにも注意しましょう。極性を逆転して付けてしまうと、電解液が電気分解されてしまい、寿命が著しく低下します。逆電圧が印加された場合も同様の現象が生じるので、ノイズやインダクタによる逆電圧が入らないことも重要です。また、当然ですが、交流信号を扱う場合も電解コンデンサは接続できないので、間違えないよう注意しましょう。

    ちなみに、電解コンデンサの極性を間違えた場合、即座にコンデンサが破損する訳ではないため、製造時に見つけるのは困難です。出荷後に一定時間が経過してから不具合が表面化するため、必ず目視等でチェックしておくのをおすすめします。

    ガス放出先を確保する

    電解コンデンサは、発熱などによって電解液が蒸発するとコンデンサ内部に気体が蓄積するため、内部圧力が上昇してしまいます。そのため、圧力弁が設置されており、発生した気体を逃がすことでコンデンサの膨張や爆発を防ぐ構造となっています。

    しかし、コンデンサ上部にヒートシンクを接着したり、樹脂で覆ってしまうと圧力弁が正しく働きません。電解コンデンサの爆発など大きな不具合につながるため、製品ごとに上部や側面など、圧力弁が設置されている場所を必ず確認し、邪魔にならないような設計を心がけましょう。

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    まとめ

    今回は、電解コンデンサの寿命についてお伝えしました。電解コンデンサは、電解液が蒸発しやすく他の電子部品より寿命が短いため、製品に悪影響を及ぼさないようしっかりと設計を行う必要があります。特にコンデンサ周囲の温度は寿命に大きな影響を与えるので、不具合を防ぐためにも必ず厳密に検討しておきましょう。

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