組み込みソフトウェアとは?用途・必要スキル・開発の流れを徹底解説!
2024.08.23更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶家電や産業用機械などに使用される組み込みソフトウェア。一般的なソフトウェアとは違って直接目にする機会が少ない反面、安定した機械の動作には欠かせないものです。そこで今回は組み込みソフトウェアについて、具体的な特徴や用途、開発の流れ、必要スキルなどを網羅的に解説していきます。これからソフトウェア開発に携わろうと考えている方にはうってつけの内容ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。
組み込みソフトウェアとは
組み込みソフトウェアとは、特定の用途に特化すべく家電や工場の機械などに組み込まれた専用ソフトウェアのことです。電源を入れて動作させる家電や機械であれば組み込みソフトウェアが搭載されていると言っても過言ではないほど、身の回りに数多く利用されています。一般的なソフトウェアが様々な動作環境で安定的に動作する汎用性の高さや、ユーザーが欲しがる多くの機能を搭載しているのに対し、組み込みソフトウェアは特定のシステムや機械でしか動作保証されていない上、必要最低限の機能しか搭載されていないのが一般的です。
組み込みソフトウェアの特徴
続いて、組み込みソフトウェアが持つ主な特徴を解説します。
高い信頼性や高速性が要求される
組み込みソフトウェアの特徴として、汎用ソフトウェアよりも高い信頼性と高速な動作が要求されます。例えばパソコン上で動作するソフトウェアの場合、多くのソフトを同時に実行しようとすると処理に時間が掛かったり、処理落ちしてしまう可能性があります。
また、OSが古いなど外部要因によってソフトウェアの挙動がおかしかったり、そもそも動作しないということも少なくありません。しかし産業用機械など組み込みソフトウェアが搭載される機械では、処理落ちや動作の遅延、急停止は製品品質の低下や工程の遅延、事故に繋がる恐れがあるため、常に安定して動作する信頼性の高さと他のシステムに悪影響を及ぼさない高速性が求められるのです。
開発環境と動作環境が異なる
組み込みソフトウェアは通常の汎用ソフトウェアと違って動作環境と開発環境が異なることが多いのも特徴の一つです。組み込みソフトウェアが搭載される機械は基本的に動作に必要な最低限の機能しか持っておらず、ソフト開発できるほどの性能やインターフェースを持っていないので、開発した後にプログラムを転送して実装するのが一般的です。そのため環境の違いによる思わぬ動作不良が起きる可能性も少なくなく、汎用ソフトウェアと比べてとっつきにくさを感じるポイントの1つと言えるでしょう。
組み込みソフトウェアが搭載された機器の例
実際に組み込みソフトウェアが搭載されている機器の例を挙げると、テレビ、洗濯機、エアコン、カメラ、カーナビ、炊飯器、冷蔵庫、プリンタなどがあるでしょう。例えばテレビであれば、リモコンから入力された信号を元にチャンネルを切り替えたり、ボリュームを上げ下げしたり、設定に応じてモニターの明るさやコントラストを変えるなどの機能に特化したソフトウェアが搭載されています。
また洗濯機であれば、ボタンや液晶モニタ上での操作に応じて、洗濯槽の回転速度や時間、使用する水量の制御など、洗濯機能として必要なプログラムが組み込まれています。他の家電についても基本的にその機能を発揮する上で必要な機能のみが搭載されていると考えておきましょう。
組み込みソフトウェア開発で求められる知識やスキル
続いて組み込みソフトウェア開発で求められる知識やスキルについて触れておきます。汎用ソフトウェア開発とは違った知識も必要になるため、興味のある方は積極的に学んでみることをオススメします。
プログラミングスキル
まず必要なスキルの1つ目はプログラミングスキルです。組み込みソフトウェアは汎用ソフトウェア開発と違いがあるとはいえ、プログラミングスキルを欠かすことはできません。主に使用される言語にはC言語やC++、Javaなどがあり、中でもC言語は動作が高速な上にCPUやメモリといった根幹部分の制御も容易に行えるため、組み込みソフトウェア開発では主流の言語として使われています。昨今主流の言語に比べると機械語に近い言語でとっつきにくく、難しいと感じる方も多いと思いますが、一度理解すれば長く活躍できるので、興味があるならしっかりと学んでいくと良いでしょう。
電子回路設計の知識
汎用ソフトウェア開発と異なり、組み込みソフトウェアの設計では電子回路設計の知識も必要です。組み込みソフトウェアは完全にソフト領域で動作することは少なく、物理的なボタンやランプ、スピーカーなどと組み合わせたり、IC回路とデータをやり取りする場面が多く、ソフトとハードの取合部の知識がなければ、より良い開発ができないからです。
特に少しでも小型化や軽量化が求められる機器のソフトウェア開発であれば、限られたスペースで如何に仕様を満足するかが鍵を握るため、電子回路設計の知識も併せ持つことでシステムとして最適な設計ができることでしょう。
プロジェクトマネジメントスキル
組み込みソフトウェア開発ではプロジェクトマネジメントスキルもあると良いでしょう。繰り返しですが、組み込みソフトウェアは特定のハードウェア機器と組み合わさって初めて意味をなすため、その開発遅延はシステムの開発工程全体に影響を及ぼす恐れがあります。
また、単体でサービスを提供する汎用ソフトウェアとは違い、組み込みソフトウェア単体で商品になることはないので、開発リソースも限られていることの方が多いです。プロジェクトマネジメントスキルがあれば、仕様実装に必要な工数の算出や外注を含めたリソース管理ができ、要求仕様を限られたリソースで実現するのに役立ちます。
組み込みソフトウェアを開発する流れ
最後に組み込みソフトウェア開発の具体的な流れについて解説していきます。汎用ソフトウェアの開発と大筋は同じですが、労力がかかるポイントが異なるので、違いに注目しながら理解しましょう。
仕様の洗い出しと要件定義
まずは組み込むシステムの仕様や要求事項を整理し、具体的な要件定義を行っていきます。システムのOSは何か、どの程度のメモリやCPUが搭載されるのか、システムにはどういうデータが入出力されるのか、どういう動作が必要になるか、ユーザーが操作するインターフェース部はあるか、などの情報を整理し、システム全体としての要件定義を明確にしていきましょう。
特に複数の人や部署が関わる大規模な開発の場合、最初の要件定義が不明確だと認識違いによる不具合に繋がるため、このプロセスにしっかりと時間と労力を掛けることが大切です。
ソフトウェアの開発
全体的な構想が固まったら、いよいよ実際のプログラム開発の始まりです。汎用ソフトウェア開発でも同じですが、いきなりソースコードを書き始めたりせず、要求されている機能を一つ一つのプロセスに分解し、個々のプロセスを達成するためのアルゴリズムを明確にしてからソースコードを書き始めると効率的に進められるでしょう。
このプロセスは外注する可能性も高いため、各プロセスにおける制約や条件、目的、仕様などを明確なアルゴリズムに落とし込んでおき、誰が見ても同じ動作になるよう心がけるのが大切です。
動作テストとプログラム修正
ある程度ソフトウェアが組み上がったら、実際の動作環境にソフトウェアを送信してテストを行い、バグがあれば適宜プログラムを修正しましょう。単純なプログラムの誤りであれば、開発環境でのデバッグである程度潰せるものの、動作環境に起因する不具合であれば、実際の動作環境に移すことで発覚するケースも少なくありません。
汎用ソフトウェアと違って組み込みソフトウェアは一度販売すると、後からパッチを当ててバグ修正するのは困難です。納期が許す限り様々な環境でのテストを行い、可能な限りバグを潰しておきましょう。
実装
ソフトウェアが完了したらシステムにソフトウェアを実装して顧客に納品します。開発者による基本的な動作テストは完了しているものの、顧客立ち会いのもと実施する完成検査など微細な修正や思わぬ仕様漏れが発覚する可能性も考えられるため、最後まで気を抜いてはいけません。
また、例えシステムの完成検査に合格して納品が完了したとしても、長期間に亘る使用の中で挙がった使用感に対する意見や、思わぬセキュリティ上の不具合などが後に発覚する可能性もあります。次の商品開発にノウハウを活かせるよう、納品後の調査にも力を入れておくと良いでしょう。
まとめ
今回は家電や産業用機械などの動作を司る組み込みソフトウェアについて解説してきました。ソフトウェアと聞くとパソコンやスマホなどで動作するアプリケーションを思い浮かべがちですが、身の回りのちょっとした機械にも組み込まれていることを知って驚いた方も多いのではないでしょうか。興味のある方はぜひプログラミング言語の勉強から始めてみることをオススメします。
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