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  • シャントレギュレータとは?役割・原理・用途などを解説!
  • シャントレギュレータとは?役割・原理・用途などを解説!

    2024.08.23更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    電圧を安定化させる素子の1つであるシャントレギュレータをご存知でしょうか。電子回路設計に携わっている方であればまだしも、あまり詳しくない方であれば初めて聞いた方も多いはず。そこで今回はシャントレギュレータについて、具体的な役割や動作原理、用途、メリットやデメリットなどを網羅的に解説していきます。回路設計の知識が少なくても理解できる内容ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。

    シャントレギュレータはリニアレギュレータの一種

    シャントレギュレータとはリニアレギュレータと呼ばれる電圧安定化回路の1つです。そもそもリニアレギュレータとは不安定な電源電圧から安定した電圧を取り出すのに使われる回路のことで、抵抗やトランジスタなどの素子を用いて設計されます。

    リニアレギュレータにはシャントレギュレータとシリーズレギュレータの2種類が存在し、制御素子が負荷と直列(シリーズ)に接続されているのがシリーズレギュレータ、制御素子が負荷と並列に接続され信号の流れを分岐(shunt=シャント)するのがシャントレギュレータとなります。

    シャントレギュレータの基本的な動作原理

    最も単純なシャントレギュレータは抵抗素子とツェナーダイオードの組み合わせで作られます。ツェナーダイオードとは定電圧ダイオードとも呼ばれる素子で、通常のダイオードと同様に基本的には逆方向に電流を流さないものの、一定値以上の逆方向電圧(降伏電圧)が印加されると急激に逆方向電流を流し始める素子です。

    これを負荷と並列に接続しておき、降伏電圧以上の電圧に対し実質的な短絡を作り出して抵抗素子の電圧降下を促すことで、最終的に負荷へ印加される電圧を一定に保つのがシャントレギュレータの考え方です。

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    オペアンプとトランジスタを組み合わせるのが主流

    ツェナーダイオードの降伏電圧は周囲温度や圧力によって変動するため、一般的なシャントレギュレータはオペアンプとトランジスタを組み合わせた回路が主流です。このタイプのシャントレギュレータはアノード、カソード、リファレンスの3端子で構成され、カソードに入力電圧、アノードに接地、リファレンスに出力電圧がそれぞれ接続されます。

    この回路のオペアンプは誤差増幅器やエラーアンプと呼ばれ、反転端子(-)に入力される基準電圧値と非反転端子(+)に入力される抵抗分圧された電源電圧の差を監視し、差に応じた信号をトランジスタのベース端子に出力します。トランジスタは電流を調整する役割を担っており、入力電圧と基準電圧に差があるときはコレクタ端子からエミッタ端子へと電流を流してその差を縮めます。

    詳細な動作は理解しづらいかもしれませんが、ツェナーダイオードが降伏電圧を印加された時の振る舞いと同じく、設定電圧と差がある時にトランジスタが信号を分流して電圧降下をコントロールし、最終的に負荷へ印加される電圧が一定になるよう制御している、と覚えておきましょう。

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    シャントレギュレータの具体的な用途とは?

    負荷へ供給する電圧を安定させるシャントレギュレータですが、その具体的な用途には定電圧源や定電流源、シリーズレギュレータなどが挙げられます。まず1つ目の定電圧源については、これまで説明したように不安定な電源から一定の安定した電源を取り出す目的で使用されます。

    またシャントレギュレータは負荷へ供給する電流も一定に抑えることができるため、定電流源としての利用も多く、発光ダイオードなど最高性能を発揮するための電流値が決まっている素子を使用する場合に、上流に取り付けて使用する場合があります。また、シャントレギュレータとトランジスタを組み合わせることで、同じリニアレギュレータであるシリーズレギュレータを作ることもできます。

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    スイッチングレギュレータと比較した際のメリット

    負荷側へ印加される電圧を一定にする、という意味合いではスイッチングレギュレータと呼ばれる素子も存在します。役割の同じこの素子と比較して、シャントレギュレータには必要な部品数が少ない、設計が簡単、価格が安い、ノイズやリプルが少ないといったメリットがあります。

    スイッチングレギュレータには入力信号のエネルギーを蓄えるコイルと出力波形を平滑化するコンデンサが外部素子として必要になります。これに対しシャントレギュレータであれば、単体の素子だけで必要機能を満足するため外部素子は不要で、その分回路設計も容易になります。

    またスイッチングレギュレータではスイッチングの度に高周波ノイズが生まれる上、コンデンサで平滑化しているとはいえ脈動(リプル)が残ってしまいますが、スイッチやコンデンサを使用しないシャントレギュレータでは、ノイズやリプルが生まれる心配もありません。

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    シャントレギュレータの注意点・デメリット

    電圧安定化回路として優れたシャントレギュレータですが、使用上の注意点やデメリットも存在します。まず、シャントレギュレータは電源回路から負荷側へ流れる電流信号を分岐して負荷電圧を一定に保つ回路なので、負荷の状態に関係なく抵抗素子には電流が流れ続けてしまいます。そのため、同じ定電圧回路のスイッチングレギュレータに比べると余計なエネルギーを消費しがちで、素子自体の発熱も大きくなります。

    また、無負荷時には制御素子に全ての電源電流が流れるため、制御素子の許容電流以上が流れる回路には使用できません。これらの理由により、シャントレギュレータを使う際はICの許容熱量や制御素子の許容電流を考慮した設計が必要なほか、場合によってはヒートシンクなどの冷却機構を設置する必要もあります。更に、スイッチングレギュレータであれば回路構成やスイッチング周波数の工夫により昇圧や反転と言った回路も作れますが、シャントレギュレータでは降圧しかできないのもデメリットの1つです。

    まとめ

    今回は電子回路において安定した電圧を負荷へ供給する定電圧回路の1つ、シャントレギュレータについて解説しました。シリーズレギュレータとの違いやスイッチングレギュレータと比べた時の特徴など、細かい違いも含めて理解できたのではないでしょうか。負荷状態によっては発熱の多さがネックとなる素子ではあるものの、最近では発熱が抑えられた製品も販売されているため、今後の研究開発に期待が持てそうです。

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