FREE AID

機電系エンジニア専門の求人情報サイト「フリーエイド」

  • TOP>
  • 記事一覧>
  • プレス加工の種類や材料には何がある?他の加工方法との違いも解説!

プレス加工の種類や材料には何がある?他の加工方法との違いも解説!

2023.10.18更新

高収入も可能!機電系エンジニア求人はこちら ▶

この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

金属の加工方法の1つであるプレス加工。その名称から、単に金属を押し固める加工技術という印象を持っている方が多いかもしれませんが、実際にはいくつかの種類に分類されます。そこで今回はプレス加工について、具体的な種類や工程、材料など様々な観点から解説していきます。金属加工を全く知らない方にも理解できる内容ですので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

プレス加工とは

プレス加工はその名の通り金属を圧縮機でプレスする加工方法のことで、金属に型を押し付けて成型する塑性加工の一種です。塑性加工とは被加工材に強い外力を与えて変形させると、外力がなくなっても変形後の形状を維持する塑性を利用した加工を言います。一口にプレス加工と言っても具体的な加工内容は様々で、金属の切断(せん断)、曲げ、特定の形状を作り出す絞り、刻印や穴あけを行う圧縮などの種類があります。

板金加工や鋳造加工との違い

金属の加工方法にはプレス加工以外にも板金や鋳造などがあります。まず板金加工は、実はプレス加工との違いがあまり明確ではなく、プレス加工と同じく圧縮力を使う塑性加工の1つです。プレス加工では成型物に合わせた専用の金型を使用するのが一般的であるのに対し、板金加工は汎用品の金型を使うケースがほとんどであるため、2つの主な違いは製造コストや製造ラインの規模と言えるでしょう。具体的には小規模でコストが安いのが板金加工、大規模で高価なのがプレス加工、と覚えておけば問題ありません。

鋳造加工についても基本は圧力をかけて塑性変形を起こす加工方法です。プレス加工が薄い金属素材を挟み込んで塑性変形を起こすのに対し、鋳造加工では金属の塊や熱した金属を叩いて成型します。型を使用する点などは同じものの、ベースとなる金属の大きさや状態が異なることを覚えておきましょう。

プレス加工について覚えておくべき用語

プレス加工に関する知識を深めるために、プレス加工に関わる様々な用語についても触れておきます。例えばプレス加工で挟み込む型となる金属はその名の通り金型と呼ばれ、プレス加工成型物のクオリティを左右する重要な部品となります。一方で金型に挟まれる金属材料はワークと呼ばれ、加工後の成型物に合わせた材質のものが選定されます。また、機械の1ストロークで行われる作業のことを表す単位はショットと呼ばれ、工程管理や金型などの寿命を表すのに使用されます。

プレス加工の代表的な種類

プレス加工にはワークの加工内容によっていくつかの種類があります。それぞれのイメージを固めながら理解していきましょう。

せん断加工

1つ目はワークを金型に合わせて切断するせん断加工で、プレス加工の中で最も基本的な加工方法の一つです。シンプルにワークを半分に切断するシャーリングや、金型に合わせてワークを切り抜くブランキング、ワークに特定の形状の穴を開けるピアッシングなどに分かれます。また、ある程度成型されたワークからバリなどの余計な破片などを切り取るノッチングもせん断加工の一つです。

曲げ加工

プレス機をベンダーのように使用してワークを曲げる加工は曲げ加工と呼ばれ、上下の金型の形状によってワークを一定の角度に曲げます。曲げ方にはいくつかの種類があり、ダイと呼ばれる床上の金型にワークを乗せ、パンチと呼ばれる上金型を押し付けて曲げるV字曲げや、パンチでワークを挟んだ状態でL字型の金型に押し付けて直角を出すL字曲げ、曲がり部が2つあるパンチで挟み込んで成型するZ字曲げなどが代表的です。また曲げ加工では、金属の弾性によって元の形状に戻ろうとするスプリングバックを考慮しなくてはなりません。

絞り加工

ワークを曲面の多い形状に仕上げる加工を絞り加工と呼びます。絞りというと捻るような動作を思い浮かべるかもしれませんが、プレス加工における絞りはワークの底面の面積を狭める意味合いで、コップやボウルのような深みのある形状を出すのに使用します。具体的な加工内容は、ダイとパンチの間にワークを挟み、ダイを押し当てることで絞っていきます。

1度に深く絞りすぎるとワークが破断するため、ワーク材の引張強度や硬さなどを考慮して、複数回プレスして目的の形状を成型していくのが一般的です。

圧縮加工

ワークへ圧力をかけ、刻印や印字、型抜きなどを行う圧縮加工もプレス加工の一種です。中でも型抜きや刻印などはパンチングプレスとも呼ばれ、その名の通りワークに対してプレス機がパンチをするように圧力をかけて加工します。またコイニングと呼ばれる加工では、硬貨のように両面に異なる模様を描く加工のことです。更に樹脂などを被加工材として使用する場合、金型の中に被加工物を充填し、強く押しつぶすことで成型する射出成形も圧縮加工の1つです。

プレス加工の工程にも種類がある

プレス加工は工程にもいくつかの種類があり、単発型、順送型、トランスファー型などがあります。単発型はその名の通りワークを1ショットだけ成型する工程のことで、ワークの乗せ替えやプレス機の操作などのショット前後の作業を全て手作業で行います。せん断、曲げ、絞り、圧縮などの工程のうち1つだけをショットで行うため、一見すると非効率的ですが、受注生産のように生産数が限定的な部品の製造や大型の成型物を扱う時に適している工程と言えます。

単発型とは逆に、複数の加工作業を扱うものは順送型と呼びます。ワークをセットするとローラーなどで自動的にワーク材が送られていき、順次必要な加工が行われていきます。人手をほとんどかけることなく大量のプレスが行えるため、大量生産が必要な製造業などで好まれるものの、金型自体が複雑で大規模なものとなる関係上、導入コストが高くなりがちです。

また、単発型と順送型の中間のような金型をトランスファー型と呼び、単発型のプレス機を加工の種類ごとに並べたものです。順送型に比べると生産効率は落ちるものの、必要に応じて金型を入れ替えることができるため、製品に合わせて工程を組み替えられる自由度の高さがメリットと言えます。

プレス加工に使用される主要な材料とは?

プレス加工ではワークや金型に使用される金属材料にも適正があります。まず被加工材となるワークでは加工が容易であること、強度や耐食性に優れることなどが要求されます。一般的に曲げや絞りなどの形状を大きく変える加工を行う場合は普通鋼が使用され、ネジの軸材やスパナなどの工具など強度が求められる製品を整形するときは合金鋼が、航空機など厳しい環境下で使用する製品の場合は耐食性に優れたステンレス鋼が用いられます。

加工に使用する金型材には、耐摩耗性や強度に優れるダイス鋼やハイス鋼が使用されます。ダイス鋼は炭素鋼にクロムやモリブデン、タングステン、バナジウムなどを添加して作られ、ステンレス鋼以外の金属加工に多く使用されます。そして、ステンレス鋼を加工する際は、ダイス鋼よりも摩耗や衝撃に優れたハイス鋼を使用するのが一般的です。ワーク材や金型の材料の種類は多岐に渡るものの、最終製品の特性や用途、加工内容など様々な観点で選定する必要があることを覚えておきましょう。

まとめ

今回は産業界で必須の加工技術であるプレス加工について解説してきました。プレス加工=単に金属を押し固める、と考えている方も、せん断や絞りなどの種類があることを学べたのではないでしょうか。特に自動車の部品の多くはプレス加工によるものですので、自動車好きの方はぜひ今回の内容を深く理解しておくと良いでしょう。

高収入も可能!機電系エンジニア求人はこちら ▶
  • TOP>
  • 記事一覧>
  • プレス加工の種類や材料には何がある?他の加工方法との違いも解説!
機電系求人一覧を見る
機電系求人一覧を見る