圧力センサの種類や原理とは?具体的な使い方の例も解説!
2024.10.13更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶世の中に存在する様々な種類のセンサ。今回はその中でも圧力を測定するセンサについて、種類や原理、代表的な使い方などを解説します。
圧力センサの種類と原理
まずは圧力センサの種類と測定原理について解説します。
静電容量式
静電容量式圧力センサは、ダイヤフラムと呼ばれる薄膜と、ケーシングに収められた固定電極を平行に配置した構造のセンサです。受圧部であるダイヤフラムが圧力を受けて歪むと、ダイヤフラムとセンサ間の静電容量が変化することを利用して圧力を測定しています。ダイヤフラムの径を大きく、厚みを薄くするほど圧力が加わった時の静電容量の変化も大きくなり感度が高くなるものの、ケーシング内圧も上がりやすくなるため、ケーシングの許容応力と感度のバランスを考慮した設計が必要です。
ピエゾ抵抗式
続いて紹介するのは、ひずみゲージを貼り付けたダイヤフラム(=抵抗膜)を使用するピエゾ抵抗式圧力センサです。ひずみゲージでホイーストンブリッジ回路を形成すると、加圧によってひずみゲージ同士の均衡が崩れた際に電圧が変化することを利用して圧力を測定します。ひずみゲージには金属抵抗素子やセラミック抵抗素子、ピエゾ抵抗素子などの種類があり、素子によって適用可能な圧力範囲が異なります。
基本的に金属抵抗素子は耐久性が高く、高い圧力帯での測定に向いている反面、低い圧力の測定には向きません。反対にピエゾ抵抗素子は低圧での測定精度が高い代わりに耐久性は劣るため、高い圧力の測定には使用できません。
光学式
光学式はダイヤフラムが組み込まれたサファイア素子を受圧部に使用し、光路長の変化から圧力を測定するセンサです。アンプから発せられた光信号は光ファイバーを通ってサファイア素子で反射し、再びアンプへと戻っていきますが、圧力によってダイヤフラムおよびサファイア素子内の空隙が変化すると、信号が通る光路長も変化します。
光ファイバの長さは一定であるため、光路長の変化から逆算すれば、ダイヤフラムに加わった圧力が求められるのです。センサが小型な上、ノイズ影響を受けないのが強みですが、光ファイバを使用するため耐久性には劣ります。
圧電素子式
水晶や酸化亜鉛、チタン酸バリウムなどの圧電素子を利用して圧力を測定するのが圧電素子式圧力センサです。圧電素子式は圧力に対する応答性が非常に高く、素子自体の耐久力も高いため、圧力が変動する動圧環境や高温環境などでも使用できます。但し応答性が高過ぎるがゆえ、振動が多い環境などでは過剰に反応してしまう点には注意が必要です。
圧力センサの注意点
続いて圧力センサを実際に使用するにあたって覚えておくべきこととして、選定のポイントや単位の使い分けについて解説します。
センサ選定時に注目する項目
圧力センサ選定時に注目すべきポイントとしては、測定可能な圧力範囲、精度、受圧部の材質などが挙げられます。測定したい圧力が圧力センサの測定可能範囲に入っているのはもちろんですが、測定範囲が広すぎると精度も悪くなるため、許容精度も考慮しながら適切なレンジの物を選ぶのが基本です。また腐食性流体や高温蒸気など条件の厳しい流体の圧力を測定する場合、腐食等によって機器の故障や測定誤差を招く恐れがあるので、ダイヤフラムなどの受圧部材質も意識しなくてはなりません。
絶対圧とゲージ圧の違いを理解しよう
圧力センサを使用する上で、絶対圧とゲージ圧の違いも覚えておくと良いでしょう。まず絶対圧とは絶対真空を基準とした単位で、[PaA]のように単位に真空を意味するA(アブソリュートの意味)を付けて表記します。これに対し大気圧を基準とする単位をゲージ圧と呼び、絶対圧と区別したい時は[PaG]のようにG(ゲージの意味)を付けて表記するのが一般的ですが、区別する必要がない時は単に[Pa]と表記することも多いです。なおそれぞれの単位には大気圧の分だけ差があり、0[PaG]≒1013[hPaA]であるので併せて覚えておきましょう。
圧力センサーの具体的な用途例
最後に実際の圧力センサの利用例について、代表的な業種に絞って紹介します。
製造業
製造業では工程の監視や部屋の内圧監視、シーケンス制御やインターロック機構に使用することが多いです。具体的には何らかの化学反応によって製品を製造する工程において定められた範囲内に圧力を維持できているかの確認に使用したり、特定の圧力に達したら次工程へと進むシーケンス制御に使用するケースが考えられます。
また万が一何らかの異常反応が起きた際、速やかに装置を停止させるインターロック機構の起点として圧力センサを使用するケースも多いです。さらに危険なガスを扱う工場では有毒ガスや可燃性ガスが人のいる環境へ入りこまないよう部屋を与圧することがあり、これらの内圧監視にも欠かせません。
流量計や液面計への応用も
製造業では単なる圧力測定以外の目的で圧力センサを使用することもあります。例えば液体の位置エネルギーが密度と液面高さによって定まることを応用し、タンク内の気相部と液相部の差圧を測定すれば、圧力センサを液面計として使用することができます。
またベルヌーイの定理を応用し、配管中に設けた絞りの前後の差圧を測定すれば、圧力センサを流量計として使用することもできます。なお導圧管にシール液を封入して測定するタイプの場合、高圧側と低圧側の導圧管環境が異なると測定誤差を招く恐れがあるため、導圧管を同一ルートで敷設したり、同じ温度になるよう保温を巻くなどの対策が必要です。
乗り物業界
車両や航空機などの乗り物にも非常に多くの圧力センサが使用されています。自動車であれば最適な燃料バランス実現のためのエンジンの吸気圧監視、最適な制動性能を実現するためのブレーキオイル監視、エンジンの劣化予測のためのエンジンオイル監視、走行環境に応じた走行姿勢を維持するためのサスペンションオイル監視などに圧力センサが使用されています。
また航空機であれば周囲の気圧分布の測定や、航空機内部を人が不快に感じない程度に与圧するための内圧監視などに使用されます。これらの用途では振動が激しい環境での使用が想定されるうえ、誤作動が事故に直結することから、厳しい環境でも安定して動作する耐久性能が強く求められます。
医療業界
医療業界でも圧力センサは使用されており、分かりやすい例で言えば血圧計が挙げられるでしょう。また人工呼吸器システムにおいて患者の呼吸量を監視したり、ボンベガスの残量を把握する目的でも使用されます。さらには眼圧や手術中の胃腸の内圧監視に使用したり、手術室をクリーン環境に保つための部屋の内圧監視に使用したりと、意外と多くの箇所で使用されているのです。医療業界では圧力センサの不良や誤差が人体に被害を及ぼすため、高精度かつ耐久力があるのはもちろんのこと、患者の体調変化をいち早く検知できる応答性の高さも要求されます。
まとめ
今回は圧力を測定して電気信号の形で伝送する圧力センサについて解説してきました。想像以上に多くの分野で活躍していることに、驚いた人も多いのではないでしょうか。型式やメーカーによっても特徴は異なるので、詳しく知りたい方はメーカーホームページなどを調べてみるのも良いでしょう。
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