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スマホ決済に使うNFCとは?NFCタグの意味や基本的な機能も解説

2023.09.22更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

モバイルSuicaやおサイフケータイなどの仕組みとして「NFC」という単語を聞いたことはあるでしょうか?今回は身の回りで多く使われているNFCについて、言葉の意味や仕組み、メリットや注意点などを網羅的に解説していきます。

NFCとは

NFCとはNear Field Communicationの略語で、日本語にすると「近距離無線通信」という技術を指す言葉です。その名の通りごく近い距離で無線通信を行う技術で、スマホやクレジットカードなど身の回りの様々な物に利用されています。2000年代初頭に日本で使われるようになり、同時期に世界で初めて規格化された比較的新しい技術ですが、携帯端末の進化とともに大きく発展してきました。

もともと各社独自の近距離無線通信技術が存在し、それらをまとめて現在のNFC規格が出来上がった経緯があるため、現在でも仕様の異なる複数の規格に分かれています。

NFCに似た言葉との違い

タッチ決済によく利用されているNFCですが、似たような目的の技術もいくつかあります。例えばNFCと並んで耳にする言葉にFelicaがありますが、こちらはソニーが開発したNFCに含まれる規格の1つです。また、スマホのタッチ決済サービスとしておサイフケータイも知られています。おサイフケータイはあくまでもNFC規格を利用したサービスのことで、根幹をなす技術か、その技術を利用したサービスかの違いがあります。

また最近ではNFCタグと呼ばれるものも注目されています。名前にNFCとついているようにNFC技術を利用した小型のシールのようなタグです。スマホなどのNFC対応デバイスを近づけることでスマート家電を操作したり、専用の画面やサイトを開く用途に使われます。タグ自体が小さく、いちいち端末側で操作せずともかざすだけで特定のアクションを行える利便性も相まって、今後も様々な用途で普及する可能性が高いでしょう。

NFCの仕組みと機能

NFCによる無線通信は13.56MHzの周波数帯を使用して10cm程度の近距離で行われます。世の中でよく使われているNFCの機能にはP2P機能、リーダー/ライター機能、エミュレーション機能が有名です。P2P機能とはNFC対応デバイス間同士で相互通信する機能で、メールやスケジュールデータなど小容量のデータを相互にやり取りします。

これに対して片側通行の通信しか行わない機能がリーダー/ライター機能で、観光地などでの地図情報の表示や展示品の解説、クーポン配布などの用途で使用されます。また、NFC対応デバイスをクレジットカードや交通系ICカードのような役割をさせるエミュレーション機能もよく使用されています。例えば交通系ICカードで有名なSuicaにはモバイルSuicaと呼ばれるアプリ版が存在しますが、通常のICカードと同じように使えるのはNFCのエミュレーション機能によるものです。

NFCを使う3つのメリット

近距離通信に特化したNFCには他の通信に比べていくつかのメリットを持っています。順番に解説していきます。

通信処理速度が速い

NFCを用いた通信は処理速度が非常に速いです。通信の処理速度とは通信速度そのものではなく、通信チャネルの確立や暗号化といった実際の通信以外の処理部分の速度のことで、規格によっては通信も含めてわずか0.1秒ほどで決済が完了します。

既に交通系ICを使っている方なら、ほぼ一瞬で改札を通れた体験があると思いますが、これこそがNFCならではの速度です。NFCは通信距離が10cm程度のため、実際には読み取り端末に直接触れる前に通信が完了する場合も多く、タッチ決済と言いながらも実際はかざすだけで通信できるのもNFC通信の体感速度が上がる理由と言えるでしょう。

通信のセキュリティ性が高い

NFCを用いた近距離通信はセキュリティ性の高い通信が可能です。実はNFC規格では主に通信方法について規定されているだけで、セキュリティについては各機器やサービス側でどのようなセキュリティ機能が搭載されているかによります。そのためNFC規格に準拠した通信であれば他の無線通信より必ずセキュリティ性が高いとは言いきれません。

しかし、前提としてNFCは10cm程度の距離に近づかなければ通信できないため、スマホやICカードを物理的に怪しい読み取り器に近付けなければ、通信が盗聴されることはありません。また、たとえNFC規格で規定されていないとはいえ、各端末やサービス側で基本的なセキュリティ機能を用意していることが多く、物理的に近づく必要性も相まって、実質的には他の無線通信よりもセキュリティが高いと言えます。

双方向通信に使用できる

NFCを用いた通信のメリットとして、双方向通信も行える点も挙げられます。近距離でデバイス同士を認証せず通信する方法にはQRコードを読み取る通信やICカードによる通信も存在します。しかし、これらによる通信では基本的に片側からしかデータを送ることはできず、リアルタイムでの双方向通信はできません。

QRコードによる通信の場合、お互いにQRコードをそれぞれ見せ合えば互いにデータをやり取りできますが、それぞれの端末から片側通信しているにすぎません。これに対してNFCによる通信であれば、1回の通信でデータを双方向にやり取りできます。

NFCを使う上で注意すべき点

NFCについて近距離無線通信方法として優れた部分を解説してきましたが、他の通信方法と比べて注意しておくべき特徴もあります。1つ目の注意点はデバイス同士が触れ合えるほどの短距離でしか通信できない点です。既に触れたとおり、NFCによる通信は約10cm程度の短距離でしかできず、Bluetooth通信が10m前後、Wi-Fi通信が100m程度の距離まで通信できることを考えれば、無線通信の中でも通信距離が短いことはイメージが付くことでしょう。

また、NFCによる通信は通信速度が遅く、大容量の通信には向いていません。一般的にNFCでやり取りするデータはテキストデータなどの小容量のもので、動画や音声などの大容量データのやり取りには時間がかかってしまいます。ただし、大容量データをクラウド上に保管している場合であれば、NFC通信でデータのURLを送り相手側に直接クラウド上からダウンロードしてもらうなどの工夫により、大容量データを送る事ができます。

NFCの代表的な3つの規格

NFCとして知られる通信規格には様々なものが存在しており、中でもこれから紹介する3つの規格が有名です。1つ目の規格はType-Aと呼ばれる規格で、他の規格よりも安価に使えます。日本ではtaspoなどのサービス以外ではあまり知られていないものの、世界的には最も使われている規格です。

通信速度を犠牲にセキュリティ性能に特化した規格がType-Bです。NFC規格の中では高価ですが、日本でも運転免許証やマイナンバーカード、クレジットカードのタッチ決済など高いセキュリティ性が必要なサービスに使われます。そして、日本で最も知名度が高いのが交通系ICなどに使用されているType-Fで、FelicaもType-Fに準拠した通信規格の1つです。Type-Fは他の規格に比べて処理速度が速く、Type-Bほどではないもののセキュリティにも優れているため、SuicaやQUICPayなどの速度重視のサービスに使われます。

まとめ

今回は交通系ICやクレジットカードのタッチ決済など様々な場面で使われるNFC通信について解説しました。日頃からNFC通信を利用している方は多いと思いますが、具体的なメリットや規格の種類までご存じの方は少なかったのではないでしょうか。他の無線通信についても詳しく知りたい方は是非詳しく調べてみてください。

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