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ZEB(ゼロ・ネット・エネルギー・ビル)とは?定義やメリットを紹介

2022.08.01更新

地球環境を保全し持続可能な社会を作るため、消費エネルギーを抑えることが求められており、日本でもさまざまな取り組みが行われています。

その中でも、大きな割合を占めるビルの消費エネルギーを抑えるため、政府が力を入れているのが「ZEB(ゼロ・ネット・エネルギー・ビル)」の普及です。

本記事では、ZEBの意味や役割、もたらす効果について解説していきます。

ZEBとは

ZEBとは「Net Zero Energy Building」の略で、エネルギーを全く消費しないビルのことです。壁や窓の高断熱化、高効率な照明・空調の導入、天窓からの採光など、ビル内の構造や設備を工夫することで、大きな省エネ効果を実現します。

もちろん、ビルの中では人が活動しているため、全くエネルギーを消費しないことは不可能です。そのため、太陽光発電などのクリーンエネルギーを消費エネルギー以上に発電することで「実質的にエネルギー消費ゼロ」を実現しています。

ちなみに、省エネといってもビル自体の快適性を損ねてしまっては意味がありません。ZEBを導入した事例では、以前より快適性が上がったとの報告も多く、快適さと省エネを両立する技術が確立していることが分かります。

ZEBの段階別定義

導入メリットの大きいZEBですが、省エネと創エネを同時に達成しなければならず、特に既存のビルにおいては導入ハードルが高いです。そのため、政府ではZEB達成状況を4つの段階に分けて評価し、導入途中であっても認定が得られるよう工夫しています。

各段階の名称と、認定を受けるために達成すべき目標を紹介します。

ZEB Oriented

消費エネルギーが特に大きい、大規模なビルにおけるZEBの普及を推進するため、1つ目の段階として設けられたのが「ZEB Oriented」です。延べ面積10,000㎡以上の建築物に限り適用されます。

認定基準は建物の目的によって変わり、従来の消費エネルギーに対して、事務所や学校、工場などでは40%、ホテルや病院、百貨店、飲食店などは30%の省エネ実現が必要です。また、自然換気システムや地中熱利用の高度化など、指定された「未評価技術」を採用することも、必須事項として求められています。

ZEB Ready

延べ面積10,000㎡以下となる中小規模のビルにおいて、1番目の段階となる基準です。「ZEBを見据えた先進建築物」という意味でZEB Readyという名称が付けられています。

ZEB Readyでは、従来の消費エネルギーを50%以下に削減することが基準となります。ZEB Orientedと同様で省エネ割合のみが規定されており、創エネを行っているかどうかは基準に含まれていません。

Nealy ZEB

省エネや創エネが進み、限りなくZEBに近い建物として認定されるのが「Nearly ZEB」です。ZEB Readyと同様、50%以上の省エネを実現し、さらに創エネと組み合わせることで75%以上の1次エネルギー削減を実現することが求められます。

ZEB

本来の意味での「ゼロ・エネルギー」を達成した建物に認定されます。省エネで50%以上を実現、更に創エネと組み合わせて100%(もしくはそれ以上)の1次エネルギー削減を実現することが求められます。

ZEBのメリット

建物をZEB化することは、環境保全において重要ではありますが、実際に導入することで経済的なメリットも得られるのが特徴です。メリットとして挙げられる主なポイントをお伝えします。

ランニングコストの削減

まず、消費エネルギーがほぼゼロとなるため、光熱費などのランニングコストを抑えられるのがメリットです。ただ節電するだけでなく、快適性を保ちながら消費エネルギーを減らせる所も、ZEBならではのメリットだと言えるでしょう。

ビル自体の価値向上

ZEBを達成し、環境や省エネルギーへの配慮を示すことは、ビルの価値向上にもつながります。日本では、ビルの環境性能を評価する指標として「CASBEE」などの認証制度がありますが、ZEBにより高い評価を得ることが可能です。

環境認証を取得しているビルでは、テナントとしての人気が高くなることが期待され、実際に、環境性能の取得により賃料が3%ほど上がるという調査結果も得られています。(ザイマックス不動産総合研究所の研究結果より)

また、環境性能が高いと投資家の評価が上がるため、ビル建設の資金を借りる際に有利に働くのも見逃せないポイントです。他にも、エネルギー消費が少ないためテナント側の光熱費も抑えられること、ZEBに使われる設備は快適性が高いことなども、ビル自体の価値が上がる理由となります。

企業イメージの向上

建物をZEB化することにより、企業イメージが向上するのも大きなメリットです。最近はSDGsの観点から、環境に配慮した経営を行うことが企業価値につながる機会が増えています。

ZEBを社会への貢献として対外にアピールできるため、知名度の向上と企業イメージの向上が図れます。また周辺の住民に対しても、街の魅力や暮らしやすさの向上に貢献することによるイメージ向上が可能です。

災害時のレジリエンス向上

事業を継続していく上で、災害時の対策は欠かせないポイントです。ZEBではビルが使用するエネルギーを全て自前で賄えることから、災害時の持続性向上に大きく貢献します。

省エネの実現のみであっても、消費エネルギーの削減によりエネルギー調達は容易になるため、災害対策は格段に楽になるでしょう。

高いレジリエンスを持つ建物は、もしもの際の活動拠点や住民の避難先として認定されることもあり、社会や地域への貢献にもつながります。

快適性・生産性の向上

高性能断熱材や自然換気など、ZEBで用いられる設備は省エネを実現するだけでなく、快適性の向上も実現します。建物の快適性が上がると集客力も高まるため、直接的な売り上げの向上につながるでしょう。

同時に、ビルの快適性向上は従業員の労働意欲や生産性向上に直結するほか、健康増進にもつながります。人材の採用率や定着率の向上においても有利に働くため、事業における好循環を生むきっかけとなります。

まとめ

今回は、ZEB(ゼロ・ネット・エネルギー・ビル)について、基本的な意味や効果を解説しました。ZEBは、省エネと創エネを組み合わせることで、実質的にエネルギー消費ゼロを実現するビルのことです。

カーボンニュートラルの達成に向けた施策として政府が推進しており、さまざまなメリットが得られることから、導入する事業者は年々増えています。

建物のZEB化には大規模な設備の導入が必要ですが、段階的な認証制度も整備されているため、導入を検討されている方は詳しく調査することをおすすめします。

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