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  • カスケード制御とは?特徴や具体例をわかりやすく紹介
  • カスケード制御とは?特徴や具体例をわかりやすく紹介

    2024.10.11更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    制御工学においてよく名前を耳にするカスケード制御。フィードバック制御などと比べると複雑なので、理解するのが難しい方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、カスケード制御の特徴や具体例を挙げ、基本的な内容が理解できるように解説します。

    カスケード制御とは

    カスケード制御はフィードバック制御の一種で、フィードバックループを二重にすることでより安定した制御を行う手法です。通常のフィードバック制御より、外乱による影響を抑えられる手法として活用されています。

    カスケード制御が効果を発揮するのは、制御している要素とは別の要素に外乱が発生し、それによって対象の制御値が変化してしまう場合です。単純なフィードバック制御では外乱自体を検知できず、制御値が動いてから制御をやり直すため、時間的な遅れが生じてしまいます。一方、カスケード制御はメインのフィードバックループに加えて、外乱が発生しうる別の要素も監視できるので、異常をすぐに検知し、より速く目標値に沿った制御が行えるようになります。

    なお、フィードバック制御について詳しく知りたい方は「フィードバック制御とは?特徴やフィードフォワード制御との違いをわかりやすく紹介」をご覧ください。

    マスターループとスレーブループ

    ここで、カスケード制御においてよく使われる用語についても解説しておきます。カスケード制御のフィードバックループは、外側と内側のループを区別するため、「マスターループ(メジャーループ)」「スレーブループ(マイナーループ)」といった形で呼び分けられています。マスターループは外側のループで、主目的に対する制御を担うフィードバック制御です。また、スレーブループは内側のループを指し、マスターループの制御をより良くするために入れられます。

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    カスケード制御の具体例

    単純な説明だけではカスケード制御はイメージしづらいので、具体的な例を使った説明も行いましょう。断熱された部屋を冷やすため、冷水を流す空調システムを考えてください。通常のフィードバック制御では、部屋の温度をセンサーで検知し、バルブを制御して冷水の流量を調整することで、最適な温度を保つシステムとするのが一般的です。

    しかし、このようなシステムでは、例えば水道の圧力が勝手に変化してしまい、冷水の流量が変化してしまった場合に流量の変化自体を検知できません。すると、流量の変化が部屋の温度に影響して初めてフィードバックが行われるので、誤差を修正するのに時間がかかります。さらに、水道の圧力が勝手に増えたり減ったりを繰り返した場合、いつまでも部屋の温度が安定しなくなる可能性もあります。

    一方、カスケード制御なら、部屋の温度をマスターループ、冷水の流量をスレーブループとして検知する形が作れます。流量が変化した瞬間を検知して補正をかけ、誤差を迅速に修正できるようになるため、より安定した制御が可能となります。

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    カスケード制御のメリット

    続いて、カスケード制御を採用することで得られるメリットについて解説します。

    制御の高速化

    一つ目のメリットは、フィードバック制御の高速化です。具体例で紹介したように、フィードバック制御では制御対象の状態検知に時間がかかる場合、誤差の修正が遅れてしまいます。そんな時、カスケード制御ならもう一つの検知器を入れて状態変化をより速く検知し、制御できるため、高速で安定した制御が可能です。

    制御システムの導入が容易

    制御システムでは、単純なフィードバック制御では十分な性能が得られない場合、より高性能なアドバンスド制御が採用されます。しかし、アドバンスド制御はシステム構成が複雑になりがちで、容易には導入できません。一方、カスケード制御ならフィードバック制御のループを増やすだけでよいため、導入ハードルが低く済みます。

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    カスケード制御のデメリット

    使いやすく効果の高いカスケード制御ですが、2重のフィードバックループを作るためには検知器と制御装置を2つ用意しなければなりません。そのため、設計が複雑になり、コストが上がってしまいます。また、2つの制御を組み合わせて最適な条件を作る必要があるので、パラメータ設定が複雑になるのもデメリットです。万能な制御手法ではないため、他の制御手法と比較した上で選定してください。

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    他の制御手法との違い

    ここまでカスケード制御の手法について紹介しましたが、他の制御手法とどのような違いがあるのか気になる方も多いと思います。そこで、よく聞く他の制御手法の概要と、カスケード制御との違いを紹介します。

    PID制御

    PID制御は、フィードバック制御などにおいて、より迅速に誤差をなくすために採用される制御手法のことです。比例制御(P制御)、積分制御(I制御)、微分制御(D制御)の3種類の制御要素を持つことからPID制御と呼ばれています。

    カスケード制御がフィードバックループの構造を示すのに対し、PID制御は目標値を達成するための制御手法だという違いがあります。よって、これらはそもそも比較できるものではなく、カスケード制御においてPID制御を使うこともあります。

    フィードフォワード制御

    フィードフォワード制御は、事前に外乱などの発生を予測して制御を行い、誤差を抑える制御方式です。出力を検知してから動くフィードバック制御と比べると、フィードバックを待つ必要がないため高速な制御が可能となります。

    ただし、あくまで予測をもとに動くため、予測データの精度が低い場合や予期せぬ外乱が入った場合は適切な制御が行えません。そのため、フィードバック制御とフィードフォワード制御を組み合わせて使うのが一般的です。

    まとめ

    今回は、フィードバック制御の一つであるカスケード制御について解説しました。カスケード制御は2重のフィードバックループを持つことで、フィードバック制御よりも高精度な制御を実現する制御手法です。

    制御システムの導入コストは高くなるものの、導入が比較的容易でフィードバック制御よりも高速・高精度な制御が可能となります。通常のフィードバック制御で十分な性能が得られない場合は、導入を検討してみてください。

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