5G通信が自動運転にもたらす効果とは?
2024.08.07更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶5Gはネット通信をより便利にする新技術として注目を浴びていますが、自動運転においても大きな役割を果たすことが期待されています。本記事では、5G通信が自動運転にどのような恩恵をもたらすのか、5G通信自体の特徴を含めて分かりやすく解説します。
自動運転とは
まず前提として、自動運転がどのようなものか説明します。自動運転とは、自動車を人の代わりに機械が運転してくれる技術のことです。現在は人が操作を行い、機械がサポートを行う場合がほとんどですが、少しずつ機械が人間の代わりをできるようになってきています。
自動運転というだけではどの程度の能力を持っているか分からないため、現在は自動運転の機能に合わせてレベルを設定しています。現在は「自動運転レベル2」が一般的ですが、さらなる開発により、特定条件に限り機械が責任を持って操作を行う「自動運転レベル3」も登場し始めているのが現状です。
ちなみに、特定条件下において機械が完全に自動で操縦を行う「自動運転レベル4」以上では、5G通信が必須になると言われています。自動運転レベルについてより詳しく知りたい方は「自動運転レベルの定義とは?レベル別の機能や車種についても紹介!」をご覧ください。
5G通信の特徴・メリット
続いて、自動運転において5G通信がどのような恩恵をもたらすのか理解するため、5G通信がもたらすメリットを解説しておきましょう。
低遅延
まず、5G通信は「低遅延」という特徴を持っています。4G通信では、デバイスがインターネットを通してクラウドサーバーと通信するため、最大10ms程度の遅延が発生するという課題がありました。一方5G通信では、基地局の近くにエッジサーバーを追加し、分散処理を行う「マルチアクセスエッジコンピューティング」技術により、遅延時間を1ms程度まで抑えられます。より厳密で信頼性の高いリアルタイム通信が行えることから、遠隔操作などを大きく進歩させる技術として注目されています。
大容量通信
5G通信が持つ2つ目の特徴は、超高速・大容量通信が行えることです。最大通信速度(下り)の目標値は20Gbpsと設定されており、4G通信の目標値である1Gbpsと比べると20倍以上の速度が得られます。この大容量通信を実現するのは「Massive MIMO」という技術です。MIMOは、デバイスが複数のアンテナと同時に接続することで、通信速度を上げる技術です。
Massive MIMOでは、基地局側のアンテナを100本以上設置して同時通信を行うことで、通信速度を飛躍的に高める効果をもたらします。また、指向性を持たせて電波を飛ばす「ビームフォーミング」技術により通信の安定度を高めるなど、さまざまな工夫により大容量通信が実現する予定です。
多数同時通信
3つ目の特徴は、基地局から接続できるデバイス数を飛躍的に増やす「多数同時通信」の実現です。4Gでは1km2あたり10万台のデバイスが通信可能だったのに対し、5Gではその10倍となる100万台のデバイスが通信可能となります。
通信デバイス数の向上には、通信内容をシンプルにする「グラント・フリー」技術と、ネットワークを仮想的に分割して使う「ネットワークスライシング」技術が貢献しています。パソコンやスマートフォンだけでなく、大量のIoTが接続できるようになるため、あらゆる用途でIoTの活用が一気に加速すると想定されています。
5G通信が自動運転に果たす役割
それでは、5Gが実現する通信能力の向上により、自動運転がどのように発展するかを解説しましょう。
遠隔操作による自動運転
まず、通信のリアルタイム性向上により、自動運転車の遠隔操作が現実的となります。4G通信下では、時速100kmで走行している自動車に対して10ms単位の遅延が生じると、遅延時間中に2.8m走行してしまうため、重大事故にもつながりかねず危険です。
5G通信が普及すれば、遅延による影響をセンチメートル単位に短くできるため、遠隔操作時の安全性が大きく向上します。それにより、無人タクシーや無人トラックなどの実現性が高まるでしょう。
高精度なマッピングとルート設定
5Gの普及により、従来はカーナビ内に搭載されていたマップ情報をクラウドに一元化でき、より高精度で最適なルート選定が行えるようになります。建物や道路、標識などのデータが最新に保てるだけでなく、ビッグデータから事故の発生や渋滞情報などをリアルタイムに把握できるのがメリットです。周囲の信号機や渋滞の状況などをビッグデータとして取得し、ルートを自動で変更するなどが可能となります。
V2Xによる安全性の向上
5G通信により、自動車とさまざまなインフラ・ネットワークが相互接続する「V2X」の実現にも期待が高まっています。V2Xは、自動車から見えない位置にいる歩行者をスマートカメラが検知し、自動車に警告するなど、デバイスが相互補完しあうことで安全性・利便性を高める技術です。
近くの車からの情報を受信し、リアルタイムでの渋滞、事故の回避に役立てるなど、高精度なマッピングとの相互補完や、死角に対する情報の取得、緊急車両の検知など、幅広い分野での応用が行えるでしょう。
自動運転の5G活用における課題
自動運転における重要な技術は5Gの普及によって現実的となりますが、実際に5Gを活用するまでにはさまざまな課題があります。その主な課題について紹介します。
5G通信の安定化
5G通信自体は高速で安定した通信技術ですが、4Gよりも高い周波数の電波を使用するため、電波が途切れやすくなるのが課題です。特に、山間部やトンネルの中では通信が届きにくくなるため、5G通信が途切れてしまう可能性があります。
他にも、悪天候による影響など、接続が不安定になる要因は複数あります。そのため、さまざまな状況を考慮して、5G通信が途切れた場合にも不具合を生じさせない対策が必要です。
セキュリティの確保
5G通信に限った話ではありませんが、自動運転にネットワークを使う場合、セキュリティ対策は大きな課題です。ハッキングで運転中に情報が盗まれるだけでなく、万が一制御に介入されてしまうと、重大な事故が起きてしまう可能性もあります。
IoTに侵入され、大規模なサイバー攻撃の道具として使われるといった事例もあるため、セキュリティ対策を確立するには多大な労力が必要となるでしょう。
まとめ
今回は、自動運転において5G通信が果たす役割についてお伝えしました。5G通信は「低遅延」「大容量通信」「多数同時通信」という3つの特徴を持ち、大量のデータをリアルタイムに通信できる技術として注目を集めています。
自動車においては、遠隔操作や高精度マッピング、V2Xを実現するための基盤技術として役立つなど、自動運転の大きな発展には欠かせない存在です。5G通信の普及や自動運転の技術開発はまだまだこれからなので、本記事に記載した以外の利用方法も次々と登場する可能性があります。今後数年の動向を注視しておきましょう。
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