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  • 不揮発性メモリとは?代表的な種類と特徴を解説!
  • 不揮発性メモリとは?代表的な種類と特徴を解説!

    2025.01.17更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    不揮発性メモリという言葉を聞いたことはあるでしょうか。半導体分野に関係する言葉と思われるかもしれませんが、実は日常でよく目にする記憶媒体も広義では不揮発性メモリに該当するものが多いのです。そこで今回は不揮発性メモリの中でも代表的なものについて、特徴や原理などに触れながら解説します。

    不揮発性メモリとは

    不揮発性メモリとは、名前の通り電源供給を絶っても内部のデータが消えない(揮発しない)メモリのことです。比較的大容量である反面、データへのアクセス速度は遅いため、主にパソコンなどの補助記憶装置として使用されることが多いです。

    反対に電源供給を経つとデータが消えるメモリは揮発性メモリと呼ばれます。揮発性メモリは容量こそ小さいもののデータへのアクセス速度が高速な上、消費電力も小さいことから、CPUの演算結果を一時的に保存する主記憶装置として使用されることが多いです。

    不揮発性メモリの種類

    それでは実際に世の中に存在する不揮発性メモリについて、具体的な種類や原理、特徴などに触れながら解説します。

    マスクROM

    古くから使用されているシンプルで原始的な不揮発メモリといえば、マスクROMが挙げられます。半導体製造ではフォトマスクと呼ばれる型のような部材を使用して回路パターンを転写しますが、マスクROMはこのフォトマスクにデータを保管するイメージです。名前にROM(Read Only Memory)と付いていることからも分かるように、原理上データの書き換えができないため、同じデータを大量に製造する組み込みソフトやゲームのカセットなどに使用されています。データを書き換えるにはフォトマスク自体を作り直す必要があり、フォトマスクの製造にもそれなりの時間がかかるため、素早いデータの書き換えができないことがデメリットとして挙げられます。

    PROM

    PROMとはプログラマブルROMを略した名前のメモリで、マスクROMと同様にデータの書き換えができないOTPROM(One Time PROM)と、ある程度の回数まではデータの書き換えが可能なEPROM(Erasable PROM)に区別されます。出荷時のPROMにはデータが入っておらず、開発者がデータを書き出すことで、特定のデータが保存された読み込み専用メモリとして機能します。内部データに関係なくメモリ自体を量産しておけるため、マスクROMと比較するとトータルで掛かる製造期間が短いのがメリットといえます。

    EPROM・EEPROM

    EPROMは浮遊ゲートMOSFETと呼ばれるトランジスタにおいて、電気的に隔離された浮遊ゲートに電子を注入してデータを保存するメモリです。EPROMはさらに電圧印加によってデータを消去するEEPROM(Electrically EPROM)と、紫外線照射によりデータを消去するUV-EPROMの2つに大別されます。

    EEPROMはデータを消去するために特殊なデバイスがいらず、1バイト単位でデータを消去できるのが強みです。また、データを書き換えできる回数も多く、消去操作も早いことから、データの書き換え頻度の高いデバイスに多く使用されています。一方でデータを保存できる期間は比較的短いため、長期に亘ってデータを保存する用途のメモリには向きません。

    UV-EPROM

    紫外線照射により内部データを消去するUV-EPROMでは、チップ上には紫外線を照射するためのガラス窓が搭載されています。EEPROMと比較すると、紫外線を照射するための専用デバイスが必要で、データ消去にも時間が掛かる上、データを部分的に消去できない、書き換え回数が少ないなどのデメリットもあります。

    一方でデータの保管期間は比較的長いため、データの書き換え頻度が少ないデバイスや、長期に亘ってデータ保管が必要な信頼性の高いデバイスに搭載されることが多いです。なお一般的にEPROMと呼ぶ時は、UV-EPROMのことを指す場合が多いので覚えておきましょう。

    フラッシュメモリ

    EPROMと同様に浮遊ゲートMOSFETを利用し、ブロック単位でデータを消去できるよう簡素化したデバイスをフラッシュメモリと呼びます。原理上はEEPROMの一種で、カメラのフラッシュのように一瞬でデータを消去できる様子が名前の由来です。

    身近なフラッシュメモリとしてはUSBが有名で、軽量かつ小型で持ち運びやすい、扱いが容易、製品によってはテラバイトオーダーの容量を持つなど、様々なメリットにより好んで使用する人の多いメモリと言えます。一方でおよそ5年程度で保存されたデータが消えてしまうとも言われているため、長期間のデータ保管には向いていません。

    磁気記憶装置

    磁気記憶装置や磁気ディスクなどと呼ばれる、HDDやフロッピーディスクも不揮発性メモリの一種で、磁性体が塗布された回転する円盤に対し、磁気ヘッドと呼ばれる部品でアクセスしてデータを読み書きします。データを書き込む時は磁気ヘッド内の積層コイルが生み出す磁界を利用して磁性体が磁化する方向を変えており、データを読み込む時は磁界によって抵抗値が異なる磁気抵抗効果を利用しています。

    一般的に磁気記憶装置は衝撃に弱いとされており、落下や振動によって磁気ヘッドがディスクに触れると、データの破損などを招く恐れがあります。また経年劣化によりデータが失われてしまう恐れもあるため、長期間に亘ってデータを保存したい場合には別のメディアにバックアップを取るなどの対策も必要です。

    SSD

    HDDと似た外観の記憶媒体としてSSDを思い浮かべる人も多いと思います。SSDも不揮発性メモリの一種ではあるものの、HDDとは全くの別物で、内部に搭載されたフラッシュメモリによってデータを保存します。可動部が存在しない構造のため、HDDと比べると動作音が静かで消費電力が少なく、衝撃や振動にも強いのが特徴です。また重量に関してもHDDより軽量で、データへのアクセス速度も数倍程度速いため、フラッシュメモリ固有の課題こそ残っているものの、昨今ではPCやゲーム機などに多く搭載されています。

    MRAM

    磁気抵抗メモリとも呼ばれるMRAMも不揮発性メモリの一種です。MRAMの記憶素子は2つの強磁性体膜でトンネル障壁膜を挟んだ3層構造となっており、ピン層と呼ばれる片方の強磁性体膜は磁化の方向が固定されているのに対し、フリー層と呼ばれるもう片方の強磁性体膜は磁化の方向を自由に変えることができます。MRAMではフリー層の磁化方向によって素子自体の電気抵抗値が変わることを利用してデータを記憶しています。

    MRAMは不揮発性メモリでありながら、CPUの演算結果などを保存するワークメモリとして必要な性能を兼ね備えています。そのため他の揮発性メモリをワークメモリとして使用する場合に比べて、デバイスの起動時間を大幅に短縮できたり、スタンバイ時の消費電力が抑えられるメリットがあると言われています。

    まとめ

    今回は不揮発性メモリの具体的な種類や特徴について、網羅的に解説してきました。USBやHDDなど身の回りで使用しているメモリの多くが不揮発性メモリに該当することが理解できたのではないでしょうか。メモリの進歩は様々な電子デバイスの性能向上に大きく貢献するため、今後も技術の発展に注目していきましょう。

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