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電気自動車(EV)で使われるモーターって?エンジンとの違いやメリットを紹介!

2023.10.11更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

最近急速に存在感を増している電気自動車。ガソリン車と比べるとさまざまな違いがありますが、中でもエンジンの代わりにモーターが使われる所に大きな違いがあります。今回は、モーターを使うことでエンジン車とどのような違いが生まれるかについて紹介します。

モーターとは何か

まずは、モーターとは何かという話からしていきましょう。モーターは、電磁誘導の力を使い、電気を回転エネルギーに変える機械部品のことです。ローター(回転子)とステーター(固定子)で構成されており、ステーターで発生した磁力を受けてローターが回る構造となっています。

ステーターからの磁力は、ステーターに巻きつけられたコイルから発生します。一方、ローターには電磁石、または永久磁石が内蔵されているため、フレミングの法則に則って磁力から力を受け、回転することとなるのです。この時、ステーターのコイルに直流・交流信号のどちらを流すかでモーターの構造は大きく変わります。それぞれDCモーター、ACモーターと呼ばれるため、違いが気になる方は調べてみて下さい。

モーターとエンジンで車はどう変わる?

それでは、自動車の動力源にモーターを採用すると、エンジンを使う場合とどのような違いが生まれるのでしょうか。最も大きな差は、動力を生み出す仕組みが大きく変わることです。エンジンを使う場合、給油口にガソリンを入れ、エンジンで燃焼させて運動エネルギーを生み出します。また、生じた運動エネルギーを使って適切に運転できるよう、トランスミッション(変速機)などの機構も搭載されています。

一方、電気自動車では、ガソリンの代わりに電気を使うため、バッテリーが必要です。また、モーターに供給する電力で速度が変わるので、電流を調整するコントローラーの存在が欠かせません。一方で、トランスミッションやガソリンをエンジンに送る給油ポンプ、吸気・排気管といった構造は不要になるため、全体的にはシンプルな構造となります。

モーターの採用で多くのメリットが生まれる

エンジンとモーターでは自動車の構造が大きく変わることを紹介しましたが、最近は電気自動車の発展により、モーターを使うことで得られるメリットが注目され始めています。具体的にどのようなメリットが得られるのか、5つのポイントに分けて紹介します。

エネルギー変換効率がいい

ガソリンエンジンを使って動力を生み出す場合、ガソリンを燃焼させて運動エネルギーを取り出します。しかし、その際、ガソリンが持つエネルギーの大半が熱に変換されてしまうため、エネルギー効率はどうしても低くなります。

一方、モーターは電磁誘導を用いるだけなので、エネルギー損失はほとんど生じません。電気自動車でも80%以上という高効率でエネルギーを動力に変換できるため、燃費向上に大きな効果が見込めます。

騒音が少ない

エンジンはガソリンを爆発的に燃焼させ、生じる圧力で回転エネルギーを作り出しています。そのため、静粛性にこだわった車種でも騒音や振動の発生は避けられません。一方、モーターは電磁誘導の原理で回転力を生み出すため、無駄な騒音や振動がほとんど発生せず、圧倒的な静粛性を保てます。そのため、歩行者が多い環境などでも周囲への配慮が行えるほか、乗り心地もよくなるでしょう。

ブレーキ時のエネルギーを再利用できる

自動車のブレーキは「摩擦ブレーキ」という、ブレーキパッドを車輪に押し付けて減速する手法が一般的です。しかし、摩擦ブレーキは運動エネルギーを摩擦熱として消費するため、燃費が悪化する要因として問題となっていました。

一方、モーターが搭載されている場合、摩擦ブレーキの代わりに「回生ブレーキ」を使い、運動エネルギーを再利用できます。回生ブレーキとは、モーターを発電機として使い、運動エネルギーを電気に変換する手法です。ブレーキ時のエネルギーを再利用できるので、運転状況によっては燃費が1割向上するほどの効果が得られます。

なお、回生ブレーキの仕組みや特徴が気になる方は「回生ブレーキって何?仕組みや特徴について徹底解説!」にて詳しく記載しています。気になる方はご覧ください。

部品点数が少ない

エンジンは非常に複雑な構造となっており、単体でも100点以上の部品で構成されています。また、ガソリン車はトランスミッションなどの周辺部品も多いため、多数の部品を使わなければなりません。一方、電気自動車は基本的にバッテリーとモーターを接続するだけで動くため、部品点数を大きく削減できます。

部品数が少ない分、故障の確率も下がるためメンテナンスコストが抑えられるでしょう。また、現在はバッテリー価格が高いため新車の価格は高いですが、生産が簡単なので将来的にはガソリン車より安価になることが期待できます。

排気ガスを排出しない

昨今の環境意識の高まりにより、排気ガス低減への要求は日に日に高まっています。ガソリン車でも可能な限り有害な排気ガスを出さないよう工夫が凝らされていますが、クリーンな排気にするのには限界があります。その点、電気自動車であれば、電気でモーターを動かすだけなので排気ガスを放出しません。街中で有害なガスを発生させないため、住環境の改善に役立ちます。

もちろん、バッテリーに充電する電力は火力発電で作られるため、発電所での排気ガスは発生しています。しかし、自動車と比べると高性能なフィルターが使えるので、結果的に発生する有害ガスの総量は減らせるでしょう。

モーターの採用にはデメリットも

ここまでで、自動車にモーターを使った際のメリットを紹介しましたが、もちろんメリットばかりではありません。特に、モーターを動かすには大容量バッテリーを搭載しなければならないため「車体価格が高い」「航続距離が短い」点が大きな問題となっています。

ただ、電気自動車はガソリン車よりも歴史が浅く発展途上なので、今後の技術発展によってデメリットは徐々に改善していくことが期待されています。近い将来にはデメリットが解消され、電気自動車を採用するのが当たり前になるかもしれません。

電気自動車のメリットやデメリットについては「電気自動車はガソリン車とどう違う?メリットとデメリットを解説」においても詳しく解説しています。気になる方はご覧ください。

まとめ

今回は、電気自動車の基幹部品となるモーターについて、特徴やエンジンとの違いについてお伝えしました。電気自動車において、モーターはエンジンの代わりとして使われます。エンジンと比べるとバッテリーが必要になりますが、その分エンジンにはないメリットが数多くあります。

現在は電気自動車自体の技術が発展途上であり、デメリットも多いことから普及は進んでいません。しかし、現在は世界中で電気自動車の開発が加速しているため、デメリットが解消される日も近いでしょう。電気自動車の購入を検討している方は、今後の開発状況をぜひ注視しておいてください。

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