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  • 半導体露光装置とは?仕組みや最新技術について徹底解説!
  • 半導体露光装置とは?仕組みや最新技術について徹底解説!

    2024.10.13更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    スマートフォンやパソコンを始め、身の回りに欠かせない存在となった半導体。そんな半導体の性能をコントロールするのが、半導体露光装置と呼ばれる機械です。今回はそんな半導体露光装置について、具体的な仕組みや光源の種類、最新技術などにも触れながら解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。

    半導体露光装置とは

    半導体露光装置とは、半導体製造の前工程で使われる装置の一つです。半導体の製作工程は、シリコンウェハー上に回路パターンを形成する前工程と、1つ1つの半導体チップに分解しICとして成形する後工程に分かれています。

    前工程では、シリコンウェハー上に回路配線やトランジスタなどの基となる薄膜を形成し、フォトレジストと呼ばれる感光剤を塗布したのち、回路パターンが描かれたフォトマスク越しに光を照射することで、目的の回路パターンを形成していきます。半導体露光装置は、この工程のうちフォトマスク上に描かれた回路パターンを薄膜へと転写するのに使われています。

    ステッパー方式とスキャナー方式

    半導体露光装置はフォトマスクへの光の当て方の違いから、ステッパー方式とスキャナー方式の2種類に分かれています。ステッパー方式はフォトマスク全面に光を照射して回路パターンを転写する方式のことで、照射回数が少ない分コストも安く、ほとんどの露光装置で使用されています。しかし光がレンズに照射される面積も大きいためレンズの歪みの影響を受けやすく、高い解像度の転写には向いていません。

    これに対しフォトマスクの一部に光を照射するのがスキャナー方式で、照射を繰り返すことでフォトマスク全面の転写を可能にします。照射回数が多い分コストも高くなりやすいものの、レンズの歪みが少ない部分だけを使用して照射できるため、高い解像度が実現できるのが強みです。

    半導体露光装置で使用される主要なレーザー光とは?

    半導体露光装置で使用するレーザー光は波長が短いほど解像度が高いと言われ、主にi線やKrF線、ArF線、EUV線などが使用されています。それぞれの特徴や波長について解説していきます。

    少し前に主流だったi線やKrF線

    i線は水銀が持つ多くのスペクトル線のうち波長が365nmのもので、従来主流だったg線に代わり1990年後半頃より使用されるようになりました。そしてi線に変わって1990年後半から2000年前半にかけて多く使用されるようになったのが、波長が248nmのKrF(フッ化クリプトン)線です。KrF線は希ガスやハロゲンガスなどの混合ガスを用いて強い紫外線を発振させられるエキシマレーザーとの組み合わせにより、i線よりも解像度の高い回路パターンを形成できるようになりました。

    現在主流のArF線

    i線やKrF線に続き、現在日本の半導体露光装置で多く使用されているのが、フッ素とアルゴンガスの化合物であるArF(フッ化アルゴン)線で、その波長は193nmです。KrF線と同様、エキシマレーザーと組み合わせることで微細な回路パターンを描写することができ、最近ではニコンが開発した液浸技術との組み合わせにより134nm相当の描画が実現しました。一時は波長が157nmのF2(フッ素)ガスを使用する動きもあったものの、液浸技術の登場により今ではArFドライとArF液浸の2つが主流の光源となっています。

    新たな主流になりつつあるEUV線

    現在、ArFに代わって主流になりつつある光源が極端紫外線とも呼ばれるEUV線です。その波長は13.5nmで、2018年にオランダのASML社によってEUV露光装置が開発されました。EUV線は非常に吸収されやすい性質を持ち、空気にも吸収されてしまうため、チャンバー内が全て真空を保つように設計されています。またEUV線はレンズにも吸収されてしまうため、EUV露光装置ではレンズの代わりに50pmオーダーの精密さで磨かれたミラーを使用して光を縮小させます。ちなみに50pmオーダーの精密さとは、ドイツや日本の国土面積に対して、高さのバラツキを1mmに抑えるようなレベルと言われています。

    解像度を高めるための技術について

    最後に半導体露光装置の解像度を上げるために採用されている技術について解説していきます。

    液体中で露光する液浸露光技術

    既に軽く触れましたが、液浸露光技術は液体に浸して露光を行う技術のことで、露光装置のレンズとウェハーの間を空気(屈折率1.0)より屈折率が高い純水(屈折率1.44)で満たした状態で照射を行います。光には屈折率の異なる媒質に入射された際、媒質の境界で屈折する性質があるため、純水自体をレンズ代わりに使用することで光を更に縮小できるのです。これにより従来の限界を大きく超える40nmオーダーを下回る解像度で回路を書き込めるようになりました。

    LELEと呼ばれるマルチパターニング技術

    液浸露光技術と並んで回路集積度の向上に大きく貢献したのがLELEと呼ばれるマルチパターニング技術です。LELEではフォトマスクとウェハーの位置を僅かにずらしながら露光を複数回行うことで、一回一回の露光自体の集積度が低くても、素子同士の密度を高めることができます。一見するとシンプルな技術に思えますが、露光パターンが重ならないよう数nmオーダーで位置を調整する必要があるため、非常に高度な重ね合わせ精度が求められる技術です。

    SADPやSAQPと呼ばれるマルチパターニング技術も

    マルチパターニングの一つとして、SADPやSAQPと呼ばれる技術もあります。SADPは露光によって形成したパターンを硬化させて芯材とし、パターンの側面に均一な薄膜を形成してから芯材を除去することで、パターンの密度を2倍にする技術です。またSAQPはSADPのプロセスを更に繰り返すことで、パターン密度を当初の4倍にする技術のことです。最初に紹介したLELEでは露光回数を増やしているのに対し、SADPやSAQPは1度の露光で集積度の高いパターンを形成するのが特徴です。

    まとめ

    今回は半導体製造工程に欠かすことのできない半導体露光装置について、基本的な情報を網羅的に解説してきました。今後も半導体の集積度を向上するために新たな技術が確立される可能性も高いので、興味が沸いた人はぜひ詳しく調べてみることをオススメします。

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