SDRAMから派生したDDRメモリとは?世代毎の違いを中心に解説
2024.12.13更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶パソコンやスマートフォンなどに欠かせないメモリ。その中にはDDRメモリと呼ばれる種類があることをご存じでしょうか。今回はそんなDDRメモリについて、複数存在する世代の違いを中心に解説していきます。RAMやSDRAMなどDDRに関連の高いキーワードについても解説していくので、ぜひ最後まで読んでみてください。
DDRとは
そもそもDDRメモリとは、RAMの一種であるSDRAMから派生したメモリのことです。まずはDDRを理解するために、RAMやDRAM、SDRAMなどの関連用語から説明していくので、メモリの基礎を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
RAMとは
RAMとはランダムアクセスメモリーと呼ばれる記憶装置のことで、データへのアクセス速度が高速で、内部のデータを繰り返し書き換えることができる特徴を持ったメモリのことです。パソコンやスマホなどにおいて、CPUが演算した結果などを一時的に保存する部分を主記憶装置と呼びますが、RAMは主記憶装置に要求される性能を満たしていることから、主に主記憶装置として使われることが多いメモリと言えます。
DDRの元となるDRAMとは?
RAMにはデータを記憶する原理の違いなどによって多くの種類があり、電荷を利用してデータを記憶するメモリを半導体メモリと呼びます。半導体メモリでは時間の経過によって電荷が自然消滅してデータが失われるため、フリップフロップ回路を用いたり、リフレッシュと呼ばれる操作を繰り返すことでデータを保持し続けます。前者のRAMはSRAM(静的メモリ)、後者のRAMはDRAM(動的メモリ)とそれぞれ呼ばれ、DDRはDRAMから派生したメモリです。
SDRAMはクロック周波数に同期するDRAM
初期のDRAMでは、基本的にデータの入出力動作は可能な限り早く行うのが基本で、特に基準となる時間軸はありませんでした。これに対し、コンピュータのシステムバスに同期して動作するDRAMをSDRAM(SynchronousDRAM)と呼び、クロック信号と呼ばれるパルス列の立ち上がりのタイミングで入出力動作を行います。SDRAMでは同期式となったことで複数の命令を並行して扱えるようになり、結果として従来の非同期式DRAMより高速に動作できるようになりました。
DDRはクロック信号の立ち下がりでも動作するSDRAM
従来のSDRAMがクロック信号の立ち上がりのタイミングでのみ制御動作を行っていたのに対し、クロック信号の立ち下がりのタイミングでも制御動作を行うようになった物をDDR SDRAM(Double Date Rate SDRAM)と呼び、一般的にはSDRAMを省略して単にDDRと呼ぶことが多いです。DDRは原理上、SDRAMの2倍の速度で動作可能なため、複数の世代が誕生しながら現在でも使用されています。
DDRの世代と特徴を解説
いよいよDDRの具体的な世代について、世代毎の特徴にも触れながら解説していきます。なお各数値は電子部品の規格化を推進するアメリカの業界団体JEDECが公開しているデータを基に解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
DDR
SDRAMの進化系となるDDRの第一世代は2000年に誕生し、その性能はクロック周波数が133〜200MHz(メガヘルツ)、データの処理速度を表すデータレートが266〜400MT/s(メガテスラ/秒)となりました。また駆動電圧もSDRAMが3.3Vであったのに対し、DDRでは2.5Vに抑えられています。さらに利用される可能性の高いデータをメモリが事前に読み込んでおくプリフェッチ動作についても、従来のSDRAMが1ビットしか対応していないのに対し、DDRでは2ビットに対応するようになりました。
DDR2
2003年に誕生したDDRの第二世代では、クロック周波数をDDRの倍にあたる266〜400MHzにすることで、基本性能を大きく向上させています。具体的にはデータレートが533〜800MT/sとなり、駆動電圧は1.8V、プリフェッチは4ビットまで対応できるようになりました。
またDDR2ではコントローラとメモリ間のデータのやり取りを、独立した2つのバスによって行うデュアルチャネルモードにも対応するようになり、容量が同じメモリを2つ用意さえできれば、DDRをさらに大きく上回るデータの転送速度が実現できるようになったのです。
DDR3
2007年に市場に出回ったDDR3も、クロック周波数をDDR2の2倍にすることでデータレートが1066〜1600MT/sへと向上し、プリフェッチも8ビットまで対応できるようになりました。また駆動電圧もさらに小さい1.35V〜1.5Vまで抑えられるようになったことで、これまでの世代のDDRに比べて、ノートパソコンに最も適するメモリと言われるようになりました。
さらにネットワークの接続形態であるトポロジーも、メモリチップをトーナメント表のように接続するT分岐方式ではなく、チップ同士を数珠繋ぎで接続するフライバイ方式が採用されるようになり、メモリチップ間の配線が最小限に抑えられることに加え、通信波形の品質も向上しました。
DDR4
DDR4はDDR3誕生から7年経った2014年に誕生しました。データレートが2133~5100MT/s、駆動電圧が1.2Vへとそれぞれ進化し、さらにデータの転送速度もDDR3の8.5~14.9GB/sから17~25.6GB/sへ向上したことで、1サイクルあたりのデータ処理レートはDDR3の4倍へと進化します。プリフェッチは8ビットのままではあるものの、CPUとメモリチップ間の接続方式に従来のマルチブランチ方式ではなくポイント・トゥ・ポイント方式を採用することで、消費電力の低下とメモリのアクセス効率の向上も実現しています。
DDR5
DDRの中で最も新しい世代に当たるのが2019年に誕生したDDR5です。データレートは3200〜6400MT/s、駆動電圧は1.1Vへと進化しており、特に転送速度に限ってはDDR4の2倍を超える38.4〜51.2GB/sもの性能となりました。またプリフェッチに関してもDDR3以来久しぶりの進化となり、16ビットまで対応するようになったことに加え、メモリチップの容量もDDR4の16ギガビットから64ギガビットへ大きく進化しています。非常に高い性能を誇るDDR5メモリは個人向けPCに搭載するには過剰な性能であることが多く、AI用途など高い処理能力が要求される次世代の高性能PC向けに利用されるのが一般的です。
省電力性能に特化したLPDDRという規格も
DDRメモリにはこれまで説明した複数世代の規格に加え、省電力性能に特化したLPDDRという規格も存在します。オリジナルのDDR規格と同様、LPDDRも初代からLPDDR5まで存在しており、いずれもオリジナルのDDRの性能をある程度踏襲しつつ、駆動電圧が低めに抑えられています。
駆動電圧の具体例を挙げると、初代のLPDDRは1.8V(DDRは2.5V)、LPDDR2は1.2V(DDR2は1.8V)となっており、メモリの内容を犠牲に極度に消費電力を抑えるディープパワーダウンモードなど、オリジナルにはない省電力機能によってこのように低い駆動電圧を実現しています。消費電力を抑えている分、厳密な性能はオリジナルのDDRに劣るものの、その省電力性能の高さから主にスマートフォンなどの小型デバイス用途で使用されています。
まとめ
今回は半導体メモリの一種であるDDRメモリについて、世代毎の性能の違いなどを中心に解説してきました。一言でRAMといっても様々な種類や世代があることを理解できたのではないでしょうか。他のRAMやROMに関しても知りたい方は、ぜひ詳しく調べてみることをオススメします。
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