HEMSとは?メリットや導入方法をわかりやすく解説します
2023.10.11更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶家の省エネ性能を上げる存在として知名度が高まりつつあるHEMS。実際にどんな機能を持ち、メリットが得られるのか気になる方は多いと思います。本記事では、HEMSの基本的な知識を知りたい方に向けて、メリットや導入方法を中心に詳しく説明します。
HEMSとは
HEMSとは、「Home Energy Management Service」の略で、家庭で使用する電力量を可視化してくれるシステムのことです。電力消費量が見えるため、節電に対する意識を高められることから、家庭の省エネを実現できるとして注目が集まっています。
HEMSシステムは、家にHEMSコントローラーを設置し、家電製品と接続することで、電力の使用量を可視化します。また、コントローラーに指令を送れば、遠隔地から家電を制御することも可能です。ちなみに、家庭以外でも同様のシステムは開発されており、事務所や商業用のビルの場合は「BEMS」、工場の場合は「FEMS」という名称がつけられています。
BEMSについてより詳しく知りたい方は「BEMSとは?仕組みや推進状況をわかりやすく解説!」を参照ください。
HEMSが推進されている理由
各家庭へのHEMS導入は、政府により推進されています。実際に、経済産業省では「2030年までに85%の家庭にHEMS・スマートホームデバイスを導入すること」を目標として掲げています。ここまで大規模に推進を行っている理由を解説しましょう。
温室効果ガスの排出削減
まず、最も大きな理由は「日本のエネルギー消費量の削減」です。世界では地球温暖化を防ぐため、温室効果ガスの排出量を減らす取り組みが急務となっています。日本でも、2030年までに放出量を46%削減することが目標となっていますが、実現には工場・ビル・家庭など、用途を問わず消費エネルギーを削らなければなりません。
中でも、家庭からの温室効果ガス排出量は日本全体の約15%に上るとも言われており、省エネによる効果が大きいです。そのため、HEMSによる家庭のエネルギー削減効果が期待されています。
電力生産の安定化・低コスト化
もう一つの理由は、ピーク時の電力消費を減らすことによる、電力不足の解消と電力設備のコスト削減です。最近はピーク時における電力不足が叫ばれていますが、これは電力会社の採算が取れないことが原因です。電力設備は、通常ピーク時の電力を想定して設備を作るため、ピーク電力が突出しているほどに電力設備を大きくしなければなりません。
設備にかかるコストが高いほど消費者への負担も増えるため、ピーク電力をどれだけ抑えられるかが課題となっていました。HEMSを導入すれば、単純に電力消費量を減らせるだけでなく、ピーク時に使う電力を減らし(ピークカット)、夜間などに蓄電した電力を使う(ピークシフト)といった対策も可能となります。
HEMS導入で得られるメリット
それでは、HEMSを導入することで家庭にどのようなメリットが生まれるかをお伝えします。
電気代の節約
一つ目のメリットは、HEMS導入が電気代の節約につながることです。電気代は普段目に見えないため、効率のいい削減方法が分からず節電が難しいという課題がありました。HEMSを導入すれば、1日で使われている電力使用量がリアルタイムに把握でき、節電による効果が一目でわかるため、誰でも効果的な節電が行えるようになります。
さらに、電気自動車や蓄電池を使えば、夜間に貯めた電気をピーク消費時に使うことで、ピークシフトの効果が得られます。電気料金の計算上、ピーク電力を抑えることで電気代が全体的に安くなるうえ、夜間電力が安くなるプランを利用すればさらに電気代を抑えることも可能です。
快適性・利便性が向上
もう一つのメリットは、家の快適性や利便性が向上することです。HEMSコントローラーで各家電が簡単に操作できるほか、オンライン制御に対応している「クラウドHEMS」を使えば、スマホをリモコンとして使い、遠隔操作で家電をON/OFFすることも可能となります。
家電の切り忘れを端末で確認できるほか、帰宅前にエアコンをつける、外出中でもペットのためにエアコンを管理するなど、外出時にできることが大きく変わるでしょう。
また、空気清浄機と連動することで、センサーを通じてハウスダストや臭いの有無などを表示するなど、HEMSで扱える情報は増えつつあります。HEMSを通じて家の状況を把握し、常に快適な状態を保つことで、より健康で楽しい暮らしが実現するでしょう。
HEMSの導入方法と流れ
ここまでHEMSのメリットについて紹介しましたが、知名度が低く実際にどうやって導入すればいいか分からない方は多いかと思います。そこで、HEMSの導入方法の流れについて簡単に説明します。
電力測定ユニットの設置
まずは、家庭内での電力を可視化するために、電力測定用のユニットを取り付けましょう。既存の分電盤に電力測定ユニットを取り付けるか、HEMS対応分電盤を導入するのが主な方法です。HEMS対応分電盤の販売価格が3~20万円程度となるほか、取付費用も別途必要になります。既存の分電盤を使った方が価格は抑えられますが、今後の拡張性を考慮すると、HEMS対応分電盤の方が利便性は高くなるでしょう。
ちなみに、コンセントに取り付ける電力測定ユニットも開発が行われており、将来的にはより安価なHEMSシステムが登場する可能性もあります。
情報収集機器・表示機器の設置
続いて、電力測定ユニットで得られた情報を収集し、表示するための機器を取り付けましょう。パナソニックが「AiSEG2」という名称で販売しているほか、いくつかのメーカーが販売を行っています。また、電力測定ユニットがないと意味がないため、「HEMSシステム」として一括で販売していることが多いです。
ちなみに、スマホなどで遠隔操作を行う際には、情報収集機器をインターネットに接続し、クラウドHEMSにする必要があります。クラウドHEMSの場合は専用のモニターがなくともPCやスマホなどで情報を表示し、制御できます。
HEMS対応の家電を購入
最後に、HEMSの制御に対応している家電を購入しましょう。家電は、無線で直接通信を行えるものと、通信機器を別途用意する必要があるものに分かれます。HEMSに対応している家電は、エアコンや照明器具、給湯器などを始め、玄関の扉や雨戸(シャッター)、エネファームや太陽光発電まで多岐に渡り、対応家電の種類は年々増加しています。
HEMSに対応する家電メーカーが増加しているのも嬉しいポイントです。現在はHEMSのメーカーごとで限られた家電しか接続できませんが、対応メーカー数も増えつつあります。将来的にはメーカーを選ばずともHEMSシステムに接続できるようになるでしょう。
まとめ
今回は、HEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)の特徴やメリット、導入の流れなど、基本的な情報をお伝えしました。HEMSは家庭の電力使用状況を可視化し、節電を行いやすくすること、家の中の状態を一元管理し、遠隔操作できることから快適性・利便性の向上が行えます。
HEMSシステムや、対応する家電を導入する必要があるためコストが高く、まだ知名度は低い状態です。ただ、政府が推進しており開発も活発に行われていることから、将来は家庭の省エネと快適性を支える存在として当たり前になる日も近いかもしれません。
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