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タンタルコンデンサの主な特性は?仕組みや用途なども解説!

2023.10.09更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

タンタルコンデンサの特性や仕組みについて、情報をお探しの方も多いのではないでしょうか。今回は、タンタルコンデンサの仕組みや構造、特徴などを総合的に解説していきます。他のコンデンサとの違いについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

タンタルコンデンサとは

タンタルコンデンサとは、電極にタンタルを用いて作られた大容量コンデンサのことです。タンタルは希少な金属なので、大容量コンデンサの中では価格が高めです。そのため、アルミ電解コンデンサや積層セラミックコンデンサほどの頻度では使われていませんが、性能の高さから精密機器用途で使われています。

最近では小サイズ化も進み小型チップ製品も販売されていることから、スマートフォンやパソコン、オーディオ機器などでの採用が多いです。入れられたタンタルコンデンサはバイパスコンデンサやカップリングコンデンサ、電源平滑用のコンデンサなどとして活躍しています。

タンタルコンデンサの構造

続いて、タンタルコンデンサの構造について詳しく解説しましょう。タンタルコンデンサは、陽極にタンタル、負極に二酸化マンガン、誘電体にタンタルの酸化皮膜である五酸化タンタルを使って作られます。コンデンサの静電容量を高めるため、陽極に粉末状のタンタルを使い、酸化被膜の表面積を広げているのが特徴です。

また、粉末によって凹凸ができる関係上、二酸化マンガンと負極端子の接触抵抗が高くなりがちなので、間にグラファイト(炭素)層を挟み、接触抵抗を低減させる工夫が行われています。

タンタルコンデンサの特徴とアルミ電解コンデンサとの比較

タンタルコンデンサが持つ一番の特徴は、サイズに対する静電容量の大きさです。製品としての最大静電容量は1000μF程度が限界ですが、アルミ電解コンデンサより小サイズ化が可能なので、基板面積を小さくしたい場合はタンタルコンデンサの採用が最適です。

また、アルミ電解コンデンサは誘電体が液体なことから、温度変化に対する安定性が低く寿命も短くなりますが、タンタルコンデンサは誘電体が固体なので同様のデメリットがありません。さらに、等価直列抵抗(ESR)が小さく、リーク電流が低いなど、アルミ電解コンデンサより性能や安定性に優れる点が多いことから、価格より性能を求める場面ではタンタルコンデンサの方が有用です。

なお、最近は積層セラミックコンデンサも大容量コンデンサとして登場していますが、DCバイアス特性が悪く、高周波信号を入れると音鳴りがするなどの欠点があります。部品サイズはセラミックコンデンサの方が小さいですが、タンタルコンデンサの方が使いやすい場面は多いでしょう。

タンタルコンデンサの使用上の注意点

アルミ電解コンデンサなどと比べても性能や安定性が高いタンタルコンデンサですが、使用上で特に注意しなければならない点もあります。主な注意点を2つ紹介します。

故障時に短絡することが多い

タンタルコンデンサならではの注意点は、故障モードがショート(短絡)であることです。アルミ電解コンデンサなど、一般的なコンデンサは故障するとオープン(開放)状態になるため、電子回路に悪影響を及ぼしにくいです。

しかし、タンタルコンデンサが故障するとショートによって短絡電流が流れてしまうため、電源ラインなどに入れると万が一の時に多大な影響を与えてしまいます。そのため、タンタルコンデンサを使う時は大電流が流れない回路で使うか、ヒューズを別途設けるなどの対策が必要です。

最近ではヒューズ内蔵型や短絡時に短絡しないよう工夫された製品もあるため、データシートも確認した上で適切な回路設計を行ってください。

極性を間違えると故障につながる

こちらはアルミ電解コンデンサも一緒ですが、タンタルコンデンサは極性を持つため、接続する方向を間違えないようにする必要があります。タンタルコンデンサの場合、パッケージにマークが入っている方が陽極側の端子です。陰極側にマークのあるアルミ電解コンデンサとは逆になるので、間違えないよう注意しましょう。

ちなみに、極性の重要性を詳しく知りたい方は「コンデンサの極性は重要?種類ごとの極性の有無と逆接による影響を解説」を参照ください。

まとめ

今回は、タンタルコンデンサの構造や特徴、アルミ電解コンデンサとの違いなどについて説明しました。タンタルコンデンサは粉末のタンタル金属を電極として使うコンデンサで、大容量、小型、そして各種性能に優れることから、アルミ電解コンデンサよりも性能が求められる用途で使われています。

ショートモードで壊れるなど、タンタルコンデンサならではの欠点もあるため、他のコンデンサとしっかり比較した上で選んでください。製品ごとの違いもあるので、データシートを都度読み込むことをおすすめします。

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