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イーサネット(Ethernet)とは?役割や規格の詳細を分かりやすく解説!

2023.10.11更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

パソコンの通信において、もはや当たり前の存在となったイーサネット。ただ、イーサネットが何を指しているのか、正確に知っている人は少ないのではないでしょうか。そこで本記事では、イーサネットの詳細について分かりやすく解説します。

イーサーネット(Ethernet)とは?

イーサーネットはコンピュータ同士や、コンピュータと他の機器を有線接続するために定められた規格です。パソコンが普及しはじめた当初、通信用の規格は乱立している状態でした。しかし、規格が統一されていないと各機器との通信が行えないため、IEEEが標準化のために提唱したのがイーサネットです。

イーサネットを開発したのはXerox社ですが、開発後に特許を一般公開したことから世界中のユーザーの賛同を得、他の規格を抑えて主流となりました。今では世界中のほとんどのコンピュータでイーサネットが使われており、もはやコンピュータにとって欠かせない存在となっています。

OSI参照モデルにおけるイーサネットの役割

イーサネットはコンピュータの有線通信で必要となる規格ですが、通信全体の仕様を全てカバーしているわけではありません。そこで、イーサネットが定めている領域がイメージしやすいよう、「OSI参照モデル」を使って紹介します。

OSI参照モデルは、ネットワーク構造を7つの層に分けて示したモデルのことです。各層の違いは下記の表の通りで、全ての層の規格を守ることで通信が正確に行えます。

名称 主な役割
7層:アプリケーション層 ユーザーが操作するアプリケーションに関する規定
6層:プレゼンテーション層 文字コード、圧縮方法などデータ表現に関する規定
5層:セッション層 通信アプリケーション間の接続を確立するための規定
4層:トランスポート層 送信データが確実に受信者に届くことを保証するための規定
3層:ネットワーク層 ルーターを経由して機器間通信を行うための規定
2層:データリンク層 直接接続された端末同士でデータを送受信するための規定
1層:物理層 データを送受信する電気信号に関する規定

イーサネットは、このうちの「物理層」と「データリンク層」の部分を担っています。つまり、データを送受信する際のハードウェア部分と、コンピュータ同士を直接接続する際のデータ送受信方法を規定しています。

イーサネットの規格

それでは、イーサネットが規定している内容を具体的に解説しましょう。

ケーブルの規定

まず一つ目は、ネットワーク通信で使用するケーブルに関する規定です。イーサネットでは「同軸ケーブル」「光ファイバー」「ツイストペアケーブル」が使用できるようになっています。

ツイストペアケーブル

私たちが普段最もよく目にしているのがツイストペアケーブルです。一般的な電気用のケーブルを使い、信号線とGND線をツイストさせることでノイズに対する耐性を高めています。材料が一般的なケーブルなのでコストが安く、多少手荒に扱っても痛まないため、最も使いやすいです。

なお、長距離伝送などでノイズの影響が大きくなる場合、アルミ箔を電線を覆う形で埋め込んだシールドケーブルを使うこともあります。シールドを使わないケーブルを「UTP」、シールドを使ったケーブルを「STP」と呼びます。

光ファイバー

光ファイバーは、ガラスやプラスチックを使い、光を伝送することで信号を伝えるケーブルです。伝送中の損失が非常に小さいため、長距離高速伝送を行う用途で主流となっています。ただ、光ファイバーは物理的に破損しやすいため、屋外やマンションなどで、目に見えない所に敷設されています。

同軸ケーブル

テレビ放送などで使われるケーブルです。ケーブルの中心に信号線を配置し、その周囲をGND線やシールドで覆うことにより、高いノイズ耐性を持っています。同軸ケーブルはイーサネットが開発された当初は、主流のケーブルとして使われていました。しかし、今はより安価で使いやすいツイストペアケーブルに代替されており、業務用以外ではほぼ利用されていません。

通信速度の規定

二つ目は、ネットワーク通信速度に関する規定です。イーサネットでは、最大伝送速度を10Mbpsとするよう規定されています(厳密には、実際の伝送速度ではなく、通信量が10Mbpsとなります)。また、近年は技術の発展に伴って通信速度が向上したため、100Mbps対応の「ファスト・イーサネット」、1Gbps対応の「ギガビット・イーサネット」など、イーサネットの規格も都度追加されています。現在は、100Gbpsに対応する規格までが策定されており、今後もさらなる高速化が期待できます。

データフレームの規格

三つ目はデータフレームに関する規格です。データフレームとは通信を行う際のフォーマットのことで、現在は「DIX仕様」と呼ばれるイーサネットフレームが主に用いられています。DIX仕様のデータフレームは以下の4つで構成されています。

①プリアンブル

プリアンブルは、データ送信の開始を合図するために送る8バイトのデータです。送受信間で確実に同期を取るのが目的で、0と1を繰り返す特徴的なビット構成となっています。8バイトのデータの内、厳密には7バイトをプリアンブル、最後の1バイトをSFDと呼びます。

②ヘッダ

次に送信するのがヘッダと呼ばれるデータです。イーサネットでは、通信相手を「MACアドレス」を使って指定しますが、ヘッダ部分に送信先と送信元のMACアドレスが記載されています。ヘッダのデータ量は14バイトです。送信先と送信元のMACアドレスで6バイトづつ使用し、残りの2バイトにはデータのタイプが記載されます。

③データ

通信内容が格納されているのがデータ部です。送信したい情報量に合わせて、46~1500バイトで構成されています。ちなみに、DIX以外の仕様では、データ部の前にデータの長さやLLC、SNAPに関する情報が格納されます。

④トレーラ

トレーラはエラーチェックを行うためのデータです。FCS(Frame Check Sequence)と呼ばれる方法で、送ったデータのエラーチェックが行われます。

イーサネットの名称

最後に、イーサネットの名称について解説しましょう。イーサネットの規格はケーブルや通信速度などで複数の条件があるため、製品ごとにどんな条件に対応しているか確認しなければなりません。そのため、規格名を見れば対応している条件が見分けられるように、名称に情報が記載されています。

イーサネットの規格名は「100BASE-T」といった形で表記されており、このうち「100」や「T」という部分で対応規格を見分けることが可能です。まず、「100」の部分はイーサネットの通信速度を示します。「10」なら10Mbps、「100」なら100Mbps、「1000」なら1Gbpsに対応しています。通常はMbpsに換算した数値を示しますが、「10G」といった形にすればGbpsでの表記も可能です。

一方、「T」の部分は対応ケーブルの種類を示します。「T」ならツイストペアケーブル、「V/S/D/F/L/E/Z」のどれかなら光ファイバー、「C」なら同軸ケーブルに対応しています。また、「TX」といったように末尾に「X/R/W」が付くこともありますが、符号化方式に関する情報であり、ケーブルの種類には関係ありません。

まとめ

今回は、イーサネットに焦点を当て、規格の内容を詳しく解説しました。イーサネットは有線(LAN)通信におけるケーブルの種類や通信速度、データのフォーマットなどを規定している規格です。通信速度の向上など、技術の発展に伴って規格の内容も多様化していますが、規格名を確認すれば、どのような通信条件に対応しているか確認できます。低スペックな規格の製品が混じっていると全体の通信速度も低下するため、利用する際にはイーサネットの詳細を理解し、適切な商品を選ぶようにしましょう。

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