スマホのタッチパネルはどうやって動く?方式ごとの仕組みを紹介!
2023.10.10更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶指で触った時の動きを検知して動作するタッチパネル。スマホやタブレットなど、私達の生活に欠かせない存在となっていますが、実はいくつかの種類があり、それぞれ独自の仕組みで機能が成り立っています。本記事では、タッチパネルの方式と、それぞれの基本的な仕組みをご紹介します。
タッチパネルとは
タッチパネルとは、液晶ディスプレイの表面に指を検出するセンサーを搭載し、指の位置や動作によってコンピュータを動かせるようにする装置のことです。画面の表示を見ながら操作でき、パソコンに慣れていない人でも直観的で分かりやすいことから、自動券売機や銀行のATMなどで使われ始めました。
また、キーボードが不要で小型化が実現できること、操作性がソフトウェアで自由に設計できることなどメリットが多く、今ではスマホを始め、さまざまなデジタル機器で普及しています。タッチパネルが登場した当初は1本の指にしか対応していなかったため、操作の利便性に限界があるという課題がありました。しかし近年は、2本以上の指がタップされたことも正確に認識し、画面の拡大・縮小など、複雑な動作にも対応するようになっています。
タッチパネルの方式と仕組み
それでは、タッチパネルの種類ごとの仕組みを紹介しましょう。タッチパネルは、指を認識するセンサー部分に違いがあります。
表面型静電容量方式
静電容量式は、指が画面に触れた際に生じる、静電容量の変化を検出するタッチパネルの方式です。表面型と投影型があり、表面型はよりシンプルで低コストな手法となります。表面型静電容量方式は、液晶の表面に透明な電極膜を被せ、さらに液晶の四隅に電極を配置した構造となっているのが特徴です。
四隅の電極に微弱な電圧を掛けると、電極膜全体に均一な電界が発生します。ここで人の指が近づくと、電極膜と指の間で容量結合が生じ、微弱な電流が流れるため、電界に歪みが発生するのです。電界が変化すると、四隅の電極の電圧も変わります。指の位置に合わせて各電極の電圧が変化するので、電圧から指の位置を認識できるのです。
ただ、この方法では複数箇所を同時にタッチした際に正確な場所が測定できず、誤検知が生じてしまいます。そのため、マルチタッチが必要なディスプレイには、次に紹介する投影型が使われます。
投影型静電容量方式
投影型は、マルチタッチに対応するために開発された、静電容量方式のタッチパネルです。投影型静電容量方式では、液晶内に小さなひし形の電極を一面に配置します。電極はX層とY層に分類し、それぞれが重ならないよう、層を分けて網目状に配置されている状態です。
X層どうし、Y層どうしの電極はそれぞれが静電容量で結合しているため、均等に電気を蓄えた状態となっています。しかし、電極に指が近づくと、近くの電極が指とも容量結合を起こすため、電極間の静電容量は変化します。この静電容量が変化した場所を検知することで、指の位置を認識できるようになるのです。
投影型は、マルチタッチに対応し拡大・縮小やフリック操作などが行えること、また軽快な操作感が人気なことから、スマホを始めさまざまな用途で使われています。構造が複雑で大型のディスプレイに向いていないほか、ノイズの影響を受けやすいという欠点も持っていますが、技術発展により改善されつつあります。
抵抗膜方式
「感圧式」とも呼ばれ、指が触れたことによる圧力を検知するタッチパネルの方式です。抵抗膜方式では、タッチパネルのガラス面に薄いフィルムを取り付けます。フィルムとガラス面にはそれぞれ導電膜が付いていますが、スペーサーで隙間が空いているため、普段は導通していません。
ここで、指やペンなどをタッチパネルに接触させると、フィルムが押し込まれてガラス面に接触するため、導電膜どうしが通電します。通電により生じる電圧変化から、タッチされた場所を検知するのです。抵抗膜方式は最もシンプルな方式であり、技術ハードルが低くコストが下げやすいことから、かつてはタッチパネルの主流として使われていました。
しかし、指などで圧力をかける必要があるためフィルムが傷つきやすく、2枚の導電膜を重ねるため表示品質が劣化するなどの短所があることから、最近では他の方式のタッチパネルに代替されています。
赤外線方式
ディスプレイの表面で、網目状に赤外線を出力することで、ディスプレイに触れた指を検知するのが赤外線方式です。パネル自体ではなく周囲に検知用の装置を配置するのが特徴で、指によって赤外線が遮られることにより、位置や動きを判定するシンプルな仕組みとなっています。
赤外線方式は、ディスプレイのサイズや厚みなどで検知性能が変わらないため、防犯用にガラスを厚くしたい時や、透明度を高め視認性を重視したい用途に最適です。ディスプレイのフレームが大きくなるためスマホなどコンシューマー向けには使えませんが、ATMなどの公共製品に多用されています。
一方で、赤外線を検知するため、日光が当たると検知性能が下がるほか、ゴミや水滴、虫などによる誤検知が生じるため、屋外用途では使えないといった短所もあります。ちなみに、当初は1カ所のタッチにしか対応していませんでしたが、最近では多軸走査方式という方式が開発されたことで解消しました。今では10カ所以上の同時タッチにも対応できるようになっています。
超音波方式
画面の表面近傍を伝達する「表面弾性波」を使って、指の位置を把握する方式です。ディスプレイの枠に超音波発信機・受信機とミラーを設置し、X軸、Y軸に超音波表面弾性波を流します。タッチパネルに指が触れると、超音波が吸収されて減衰するため、X軸、Y軸の超音波が減衰した場所を検知することで、指の位置を認識できます。超音波方式はディスプレイに傷がついても検知に影響を受けず、非常に耐久性に優れているのが特徴です。
一方で、水滴やホコリによる誤検知が生じやすいことや、超音波を吸収できる物体で触れなければ検知できないため、ペンを使う場合は特殊な素材を使わなければならないといったデメリットがあります。マルチタッチにも対応できないため、最近は採用される頻度が下がりつつありますが、特に耐久性が要求される用途で今でも使われています。
電磁誘導方式
電磁誘導方式は、磁場を発する専用ペンでディスプレイをタッチすることにより、磁場の変化でペンの位置を認識する方式です。検知には専用ペンが必要で、指や普通のペンでは認識できないことから用途が限られますが、意図せず触れてしまった場合でも誤検知が起きないことはメリットといえるでしょう。また、ペンの筆圧まで認識できるなど検知性能には優れているため、ペンタブレットなどの用途で採用されています。
まとめ
今回は、タッチパネルのセンサー方式の種類と、それぞれの仕組みについて解説しました。タッチパネルは、さまざまな方式が多数開発されており、自動券売機やATM、デジタルサイネージ、スマホなどのデジタル機器など、広い用途で使われています。
マルチタッチへの対応や検知感度の良さ、耐久性など、求められる性能によって最適な方式は変わるので、それぞれの特徴・短所を理解しておくことが重要です。形状や使用感は方式ごとに異なるので、身の回りのタッチパネルを使ってみて、用途ごとでどの方式が使われているか、試してみるのも役に立つのではないでしょうか。
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