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スルーホール、ビア、ランド(パッド)とは?基板の種類や使用上の注意点も紹介!

2022.04.01更新

基板設計において、スルーホールやビア、ランドといった単語がよく出てきますが、それぞれの意味や違いをご存じない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、そんな方に向けて、スルーホール、ビア、ランドの違いや役割、選定の際の注意点などについて詳しく解説します。

スルーホール、ビア、ランドが用いられる背景

まず、それぞれの違いについて説明する前に、スルーホール、ビア、ランドがなぜ使われるようになったかをお伝えします。電子基板は、電子部品を基板上のパターンで接続することで、電子回路を作っています。

かつて基板上のパターンが片面のみで行われていた時は、スルーホールなどは必要ありませんでした。しかし、製品の小型化や、基板の高密度化が求められていくに従って、基板の両面や内部にもパターンを増やす必要が生じたことで変化が生じました。

現在では4層以上の多層構造が一般的となっていますが、各層はそのままでは絶縁しているので、それぞれの層を選択的に導通させるため、作られたのがスルーホールやビア、ランドです。今では電子回路に欠かせない存在として、プリント基板に大量に使われています。

スルーホール、ビア、ランドの違い

それでは、スルーホール、ビア、ランドなど、電子基板に使われる用語の意味と、それぞれの違いを解説しましょう。

スルーホール

スルーホールは、基板を貫通させて通す穴のことです。基板の複数の層を導通させるほか、リード部品を挿す場所としての機能も持っているため、穴径は比較的広いです。各層の導通やリード部品のはんだ付けのため、スルーホール内部は銅めっきが行われます。

基板を固定するためのネジ穴や、コネクタ固定用の取付け穴など、導通しない穴を作る時もありますが、そちらはノンスルーホールと呼ばれます。

ビア

ビアは、基板の特定の層を導通させるために作る穴のことです。基本的にはスルーホールと同じ構造ですが、基板を貫通させず、一部の層のみを導通させることも多いです。ビアの種類としては、貫通ビア、ブラインドビア、埋込みビアの3種類があります。

貫通ビア

基板全体を貫通するビアのことです。スルーホールと同じ構造ですが、リード部品を挿す用途では使わない分、穴径は小さくなります。

基板両面において、信号パターンを導通させるために使われるだけでなく、GNDを安定化させるため、ベタGNDパターンに大量に貫通ビアを打つことも多いです。他にも、部品の底面にビアを打ち、放熱性を高めるといった使い方もあります。

ブラインドビア・埋込ビア

ブラインドビアは、片面のみ基板表面から見えるビアのことです。片面は内層で穴が止まっています。埋込ビアは内層にのみ作られた、表面からは見えないビアのことです。

貫通ビアの場合、ビアのある場所は全ての層が導通するため、他の用途では使えなくなります。しかし、ブラインドビア・埋込ビアなら必要ない層への導通を避けられるため、基板のスペースをより有効活用できます。

これらのビアは、多層構造(4層以上)のビルドアップ基板にて用いられており、高密度な基板を実現するため、より細い穴を開けるためにレーザーを用いるのが一般的です。

ランド

ランドは、スルーホールの周囲で露出させた銅箔のことです。スルーホールと導通しており、主にリード部品をはんだ付けするために使われます。

基本的にはパターンを露出させただけの構造ですが、GNDなど、広いパターンでは熱が逃げてしまうことが問題となりがちです。そのため、対策としてランド周りのパターンを一部カットして熱伝導率を下げ、はんだ付けを簡単にした「サーマルパッド」を使う場合もあります。

パッド

表面実装部品をはんだ付けするため、パターンを露出させた銅箔のことです。ランドと同様の構造ですが、はんだが逃げてしまい実装不具合につながるため、穴を開けることはありません。

プリント基板構造の種類

スルーホールやビア、ランドについて説明しましたが、プリント基板の構造によってこれらの使われ方や種類は大きく変わります。
ここからは、主なプリント基板の種類と、スルーホールなどの使われ方の違いを解説します。

片面基板

片面基板は、最も基本的な構造のプリント基板です。基板の片面にリード部品を置き、反対の面にパターンを形成して作ります。紙フェノール基板という基材を使うことがほとんどで、その構造の簡単さもあり非常に安価に作れるのが特徴です。

基板上で回路を交差させることができず、またリード部品を保持するために大きなランドが必要なので、単純な回路しか構成できません。ビアは必要なく、片面にのみランドのついたノンスルーホールをはんだ付け用に使います。はんだを片面にしか付けないので、リード部品の接着強度は弱く、振動などの耐性は低いです。

両面基板

片面基板よりも複雑なパターンを組むために作られたのが両面基板です。基板の両面にパターンを形成するため、必要な基板サイズが小さくなり、パターンが交差するような複雑な回路も作れるようになります。

両面基板では、強度に優れるガラスエポキシ基板を基材に使うのが一般的です。またリード部品も使えますが、ほとんどの場合は表面実装部品を使うため、より基板サイズを抑えられます。

両面のパターンを導通させるために、スルーホールやビア、ランド、パッドが必要となるので、片面基板より加工は複雑で高価になります。部品は実装上片面に集中することが多いですが、両面に実装することもあります。

積層貫通基板

ICの消費電力が増加したのに伴い、安定した電源、GND層が必要となったことで登場したのが積層基板です。基板両面のパターン形成だけでなく、基板の内部にも2層以上の導体層が追加されています。

最も単純な積層構造の場合は、基板内部に電源とGNDのベタパターンを追加するだけですが、より高密度で複雑な回路が必要な場合や、ノイズ対策として表面のパターンを使いたくない場合は、基板内部にもパターンを作り信号線を通す場合もあります。

積層基板の作り方は、まずガラスエポキシ基板を基材として、内層の導体層を作り、エッチングでパターンを整えます。その後プリプレグという絶縁層を上から加熱・加圧して接着し、もう一度導体層を追加してエッチングを行い、表面のパターンを形成します。

積層基板においては、ビアが非常に多く用いられます。またビアのサイズを縮小するため、ドリルではなくレーザーでビアを作る場合も多いです。

ビルドアップ基板

ビルドアップ基板は、積層貫通基板と基本的に同じ構造ですが、パターンやビアをそれぞれの層で作ってから積層していく基板のことです。より柔軟に層ごとのパターンを接続できること、微細な構造のパターンを作れることから、積層貫通基板よりももっと高密度な基板を作りたい場合に用いられます。

ビルドアップ基板では、スルーホールやビアだけでなく、ブラインドビア、埋込ビアも使われます。

スルーホール、ビアを設計する際の注意点

スルーホールやビアは設計上さまざまなことに気を付けて設計する必要があります。良くある注意点をいくつか紹介します。

ブラインド・埋込みビアは価格が高い

ブラインドビアや埋込ビアは、高密度で複雑な回路を組めることから、基板サイズを抑えたい場合に重宝されますが、ビルドアップ工法で基板を作る必要があるため、製作にかかる費用は非常に高くなります。

通常の積層基板であっても、積層数を増やすことである程度の高密度化は可能なので、ビルドアップ基板を使用するかは慎重に検討した方が良いでしょう。

ビアによるインピーダンスの変化に注意

信号線において、信号の品質を保つには、パターンのインピーダンスを特性インピーダンスと合わせることで、信号の反射を抑える必要があります。

しかし、ビアは独自のインダクタンスや容量成分を持つため、信号線のインピーダンスが設計値と変化してしまい、信号品質が著しく悪化してしまう原因となります。

周波数が上がるほどインピーダンスの変化による影響は大きくなるため、信号線にはビアを打たないようなパターン設計が重要です。

部品近傍のビアははんだ不良に直結する

実装部品のパッド近傍にビアを打つと、実装用のはんだがビアに吸い込まれてしまい、実装不具合が起きる可能性があります。

パッドとビアの間隔を空けることが一番の対策ですが、隙間が取れない場合は、パッドをビアの表面に配置して穴をふさぐ、パッドオンビアで対策するのも有効です。

ビルドアップ基板ではビアを重ねるのは難しい

ビルドアップ基板は各層を別々に加工しビアを打ちますが、複数の層のビアを重ねて配置した場合、加工形状的に導通がしにくく、導通不具合が発生する可能性があります。

複数の層にビアを打ちたい場合は、ビア内部を導体で充填するか、少しずつビアの位置をずらすスタガードビアを作らなければならないため注意しましょう。

まとめ

今回は、プリント基板の基板設計で利用される、スルーホールやビア、ランドについて解説しました。

スルーホールやビアは、基板に複数のパターン層が配置されている際、それぞれの層を導通させるために用いられます。また、ランドはリード部品、パッドは表面実装部品をはんだ付けするために必要です。

それぞれ基板設計には欠かせない存在ですが、ビアなどの配置にはさまざまな注意すべき点があるため、それらを細かく検討したうえで設計しなければならないことに注意しましょう。

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