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ミリ波レーダーとは?使われる理由や特徴を紹介!

2023.10.08更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

クルマの自動運転を支えるセンシング技術の中でも、ミリ波レーダーはカメラと同様、自動車の「眼」として欠かせない存在です。本記事では、そんなミリ波レーダーの特徴や原理について解説します。

ミリ波とは

前提として、ミリ波とは何かという所から説明しましょう。ミリ波とは、波長が1mm~10mmの間となる、周波数30GHz~300GHzの電磁波のことを指します。高い周波数を持つことから、指向性が非常に高く、伝送できる情報量が多いという特徴があります。

ミリ波自体は古くから知られており、1960年代頃より研究が行われてきた技術です。しかし、障害物による減衰が大きく長距離での伝送に向いていないなどデメリットが大きかったため、利用されないまま研究が下火となった過去があります。

しかし2000年代に入り、受信機の集積回路化、CMOSの登場など技術が発展したことから状況が一変。低コストで利用できることから、ミリ波レーダーなどの用途で用いられるようになったのです。さらに最近では、通信で使われていたマイクロ波の周波数帯が枯渇し始めたことから、利用可能な周波数帯が多いミリ波が、5G通信で利用される予定にもなっています。

ミリ波レーダーとは

続いて、ミリ波レーダーについて説明します。ミリ波レーダーは、その名の通りミリ波を使ったレーダーのことです。アンテナからミリ波を発信し、反射波が返ってくる時間差を検出して前方の障害物を検知します。

ミリ波は直進性が高いため、車前方の障害物を100m以上にわたって検出できるほか、検出距離を短くする代わりにレーダーの検出角度を広げることも可能なため、自動車前方の障害物検知や側面・後方検知として盛んに利用されています。

なお、世界各国において、自動車用のミリ波レーダーとして利用できる周波数は明確に定められています。日本では、24GHz帯(21.65~26.65GHz)、60GHz帯(60~61GHz)76GHz帯(76~77GHz)、79GHz 帯(77~81GHz)の4種類が利用可能です。

従来は24GHz帯、76GHz帯の利用が中心でしたが、2012年以降に電波法の改正により79GHz帯が追加され、また使用できる帯域が広がりました。特に79GHz帯は周波数帯域が4GHzと広く、広角・高解像度のミリ波レーダーが実現できることから、盛んに開発が進んでいます。

ちなみに、30GHz~300GHzの周波数内に入っていない場合(例えば24GHz)でも、特性に違いがないことから、ミリ波レーダーとして呼称されています。

ミリ波レーダーの特徴

このように、自動車のセンサーとして数多く使われているミリ波レーダーですが、他のセンサーにはない特徴が採用の決め手となっています。その主な特徴について解説します。

環境の変化に左右されにくい

ミリ波は波長が短く、直進性に優れることから、環境の変化に強いという特徴があります。そのため夜間、霧や煙の環境下など、目視やカメラでは測定が難しい環境であってもある程度の検知距離を保てるのがメリットです。

ただし、長波長のレーダーと比べると元々の検知距離は短いうえ、雨などの障害物がある場合は検知距離は短くなるため万能ではありません。

距離分解能が高い

ミリ波レーダーは周波数が高いため、角度分解能や距離分解能に優れ、高精度な障害物検知が可能です。特に79GHz帯の信号の場合、帯域幅が4GHz(77~81GHz)と非常に広く、高い分解能を誇ることから、障害物検知の精度向上、検知距離や角度の高機能化が実現できます。

カメラやLiDERセンサーと比べると検出精度が高いとはいえないものの、障害物検知に大きく役立つでしょう。

使いやすく低コスト

ミリ波レーダーが持つある意味最も大きなメリットは、安価で使いやすいことです。ミリ波レーダーは構造が非常に簡単で、ステレオカメラのように複雑なシステムが必要ないことから、低コストで導入できます。

また、アンテナをカバーなどで覆っても利用できるので設置位置にも困らず、気軽に導入できる強みがあります。そのため、ステレオカメラをメインのセンサーとしている機種についても、補助センサーとしてミリ波レーダーを採用している場合は多いです。

アンテナによって広角にレーダーを送信できるため、レーザーセンサーのように駆動部が必要なく、小型化が容易で耐久力が高いのもメリットです。

ミリ波レーダーの短所

電波が反射しにくいものは検知困難

ミリ波レーダーでは障害物によるミリ波の反射を測定して障害物検知を行っているため、電波を反射しにくい物体は検知が難しいのが欠点です。また、まわりの物体による散乱電波や、他のミリ波レーダーからの干渉なども無視できない影響を与えるため、状況により検知精度が落ちる可能性があります。

物体の特定が難しい

ミリ波レーダーは、水平分解能が低いため、カメラやLiDARセンサーと比べると、物体の細かな形状の判断が難しい短所もあります。垂直方向の解像度がないといった問題もあり、特に高所にある信号機や看板を認識できない所もデメリットです。

最近では79GHz帯の利用によって解像度が高まっているため、これらの短所は克服されつつありますが、それでも他のセンサーには劣っている所が多いです。

ミリ波レーダーの自動車以外の用途

ミリ波レーダーは、自動車以外にもさまざまな用途で活用されています。ここからは、主な用途について解説します。

産業機械

産業用途でもミリ波レーダーが数多く使われています。主に安全性確保の用途が多いですが、ミリ波レーダーの小型化・低コスト化に伴って利用の幅は広がりつつあります。具体的には、作業員やフォークリフトの位置確認や、機械の異常検知・予防保全で用いられるほか、製品の振動検査、建造物の振動確認などにも利用可能です。

ドローン

ドローンは利用の幅が広がっている反面、ドローンの破損や周囲への被害を防止する安全性が課題となっています。事故の防止には、ドローン自身の位置や、周囲の障害物を正確に検出することが重要であり、その解決策としてミリ波レーダーが利用されています。

医療機器

医療分野では、非接触で人体の生体反応を検知するためにミリ波レーダーが用いられています。人の微細な動きを認識し、呼吸数や心拍数を測れるほか、睡眠状態の把握なども可能です。高齢者や患者を自動で見守り、異常時に知らせるシステムと組み合わせることで、初期対応の迅速化と医療従事者の負担軽減を実現しています。

まとめ

今回は、ミリ波レーダーの原理や特徴、使われる用途などについて解説しました。ミリ波レーダーは周波数の高いミリ波を発信し、反射波を測定することで、物体の位置や動きを正確に認識できるレーダーです。分解能こそステレオカメラなどに及ばないものの、安価で高性能な位置検出が可能なため、自動車の障害物検知を始め、さまざまなシーンで「機械の眼」として活用されていくでしょう。

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