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  • BEMSとは?仕組みや推進状況をわかりやすく解説!
  • BEMSとは?仕組みや推進状況をわかりやすく解説!

    2024.08.07更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    省エネを実現するため、最適なエネルギーマネジメントを実現する「EMS」への注目が集まっています。中でも、ビルの管理を行う「BEMS」は、商業施設や事務所などのマネジメントが行えるため、省エネに大きく貢献すると期待されている技術です。

    本記事では、そんなBEMSの仕組みや推進状況、実際の事例など、基本的な内容を解説します。

    BEMSとは

    BEMSとは「Building Energy Management System」の略であり、ビルのエネルギーを管理するシステムのことです。BEMSを導入すればビル全体の空調、照明、配電設備や、OA機器などの使用状況が可視化され、どの設備がどの程度電力を消費しているかを一目で把握できます。

    事業者はエネルギーに対するコストを予測しやすくなるだけでなく、素早く改善策を打ち出して省エネに繋げることが可能です。また、温度・湿度センサーや人検知センサーと、各フロアの空調管理を組み合わせることで、人の多い所だけに空調を行うなどの先進的な省エネ対策も打ち出せます。

    なぜBEMSが求められるのか

    ビルにおけるエネルギー消費を最適化できるBEMSですが、近年注目を浴びている背景には、エネルギー消費の削減が喫緊の課題となっていることが挙げられます。

    世界各国で経済発展が進み、CO2排出量は今後爆発的に増えることが想定されています。持続可能な地球環境を保つためにも、CO2排出量を減らすことが求められており、そのためにエネルギー消費量を抑えていく必要があります。

    とはいえ、空調を切る、節電のために蛍光灯を間引きするなど、人の生産性に関わる部分で削減を行うのは本末転倒です。人の利便性、快適性を下げずに省エネを実現するには、今まで電力消費の中で無駄にしていた部分を削減し、使用効率を上げていかなければなりません。

    その点、EMSは先進的な省エネ対策が行える強みがあります。特に業務用ビルは電力消費量全体の1割以上を占めることから、BEMSは大きなCO2削減効果が見込めるとして期待されているのです。

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    BEMSの推進と補助金

    このように、BEMSは高い節電効果が見込めることから、エネルギー消費の削減に向けて政府が行っている補助金制度の対象となっています。BEMSが対象となる2つの制度を紹介します。

    先進的省エネルギー投資促進支援事業

    経済産業省とSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が行っている補助金制度です。高い省エネ効果をもたらす先進的な設備・システムの導入促進が目的の制度であり、その中にBEMSの導入も含まれています。

    BEMS導入の場合は、制御の最適化と見える化による運用改善効果を合わせて、石油換算量で省エネルギー量2%を超えることが補助の条件となっています。条件を満たした場合、中小企業なら設計費・設備費・工事費の1/2、大企業なら1/3の割合で補助金が支払われるため、導入コストを抑えられます。

    各年度で補助金制度は公募されていますが、応募できる時期が限られているため、事前の調査と準備が必要です。

    建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業

    「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の一つとして、環境省が支援している補助金制度です。業務用施設などのZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化や省CO2改修を促進するのが目標で、公共施設を中心としたさまざまなビルの設備導入を支援しており、その中にBEMSも含まれています。

    建物の所有者や用途、導入内容によって満たすべき基準は異なっており、条件を満たすと設計費・設備費などの1/2、1/3程度の補助金が支給されます。

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    BEMSの仕組み

    続いて、BEMSの基本的な仕組みについて解説します。まず、BEMSは上記の図のように、センサーで取得したデータを中央監視制御装置で一元管理し、空調などの設備を制御するのが基本的な構造です。

    BEMSの機能は制御部・管理部・監視部の3つに分類されており、それぞれ以下のような装置があります。

    土日だけ稼働の場合 フルで稼働した場合
    制御部 各種センサー、計量装置
    制御装置(アクチュエータ、コントローラなど)
    電力装置(インバーターなど)
    監視部 中央監視装置
    通信装置
    管理部 BMS装置

    また、防災防犯監視、調節制御を付けた拡張BEMSや、防災制御や経営管理機能を付けた高級BEMSなど、さらなる機能の追加を行いビル全体を管理するサービスもあります。

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    BEMSのメリット

    消費電力を可視化できる

    まず、BEMSを導入すればどの機器にどの程度の電力を使っているのか可視化できます。問題点の把握に役立つほか、改善結果が数字で見えるので、ユーザーの意識が変わるきっかけとなり、具体的な改善活動に繋がりやすくなるでしょう。

    また、一定以上のエネルギーを使用している事業者の場合、「エネルギー使用状況届出書」の提出が求められますが、電力使用状況が可視化されているため届出書の記載が容易になります。

    ランニングコストを抑えられる

    ビルの消費電力は大半が空調や照明に使われているため、BEMSによって電力を最適化できれば、ランニングコストが大きく抑えられるでしょう。

    BEMSによって数十%もの消費電力が抑えられた実例も多く、導入費用を差し引いてもコスト上のメリットが生まれやすいです。

    また、消費電力の大きさから老朽化した機器や、スペックと利用環境が合っていない機器も発見できるので、最適な更新によるコスト低減も可能となります。

    デマンドレスポンスによるメリットも

    デマンドレスポンスとは、電力の供給側と需要側で生じる需給の差を抑えるため、需要側が使用電力を調整するシステムのことです。発電側はピーク電力に合わせて発電設備を準備しなければならないため、ピーク電力をいかに抑えるかが課題となっています。

    事業者側がデマンドレスポンスを通じてピーク電力を抑えることで、省エネに向けた取り組みとしてアピールできるでしょう。「ネガワット取引」によってコスト低減につなげることもでき、ビジネスとしてのメリットも享受できます。

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    BEMSのデメリット

    導入コストが高価

    一番のデメリットはやはり導入時のイニシャルコストです。ランニングコストは安価になりますが、全体のコストが上がってしまっては意味がありません。

    ビルの規模や必要な設備、電力を使う時間帯など、様々な条件で必要な設備と改善効果は変わるので、状況に合わせた試算を行ってください。

    国や自治体が無償で行っているエネルギー診断を利用すれば、費用対効果の試算や導入における助言を受けられるので、試算が難しい場合は利用するとよいでしょう。

    技術的ハードルが高い

    もう一つのデメリットは、導入に向けたハードルが高いことです。BEMSは導入事例が増えつつありますが、導入事例はまだ少なく、対応している事業者も数が限られています。

    また、BEMSのネットワークへのサイバー攻撃を防止するため、セキュリティ対策を万全にする必要もあります。不具合やトラブルを起こさないためのメンテナンスなども含め、導入後の管理手段も策定しておきましょう。

    まとめ

    今回は、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)の基本的な情報を紹介しました。BEMSは、ビルの消費電力を見える化、最適化できることから、二酸化炭素排出量の削減に大きく貢献する技術として期待が高まっています。

    近年は補助金制度も充実しており、中小規模のビルもBEMSを導入しやすくなっており、環境面への配慮だけでなく、ランニングコストの低減にも役立ちます。長期的なコストダウンを視野に入れ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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