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  • REACH規制について分かりやすく解説!具体的な義務や他規則との違いも!
  • REACH規制について分かりやすく解説!具体的な義務や他規則との違いも!

    2024.08.26更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    化学反応を利用して人工的に作られた化学物質は、我々の生活に欠かせない存在でありながら、扱いを間違えると人体や環境に大きな悪影響を及ぼしかねません。そんな化学物質を安全かつ快適に使うため、EUで誕生したのがREACH規制です。今回はREACH規制について、規制の目的や具体的に課せられる義務、他の類似規則との違いなどを網羅的に解説します。

    REACH規制は化学物質に関する制度

    REACH規制とは化学物質の登録、評価、認可、制限の義務を定めた規則のことで、「Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals」の頭文字をとってREACH規制と呼ばれています。2007年6月1日にEUで発効され、特定の国の法律や国内法を定める上での指針ではなく、EUに加盟している全ての国が守らなくてはならない共通の規則です。REACH規制は従来存在していた40以上もの化学物質関連の規則を統合し、化学物質のリスク評価の義務を政府から事業者へと移管しました。

    REACH規制の目的と背景

    REACH規制の目的は、化学物質から人の健康と環境を保護しながらEU域内における化学物質の自由な流通を促進すると共に、競争力と革新の強化を図ることです。REACH規制に至った背景として、持続可能な開発の達成に向けた基本原則として1992年の地球サミットで採択されたアジェンダ21や、アジェンダ21を達成するために2002年に採択されたヨハネスブルグ実施計画、そしてこれを更に具体化した方針であるSAICMの採択など、化学物質に対する国際的な取り組みが進んだことが挙げられます。

    REACH規制は日本にも影響がある

    EUで採択されたREACH規制ですが、日本を含めた世界の国々にも影響を与えました。前提として、日本を含めEUに加盟していない国は基本的にREACH規制の直接の対象とはなりません。しかし製作部品が最終的にEUへ輸出されるなど、中間の輸出・販売・加工業者がREACH規制を受ける場合には、間接的に部品の製造事業者もREACH規制の対応を行う必要があります。

    特に日本は貿易大国と呼ばれるほど輸出入産業が多く、何らかの形でEUと取引する企業も多いため、多くの事業者がREACH規制の影響を受けることになるのです。

    REACH規制で要求される具体的な義務とは?

    続いてREACH規制で課せられる具体的な義務について解説していきます。すでに説明した通り直接EUとの取引がなくとも、製作部品が組み込まれた最終製品がEUへ輸出される場合は、輸出業者からREACH規制に対する何らかの要求を受ける可能性があるため、義務の内容を理解して備えておきましょう。

    登録(Registration)

    1つ目の義務は登録義務です。EUの域内で年間1t以上の化学物質を製造または輸入する場合、その化学物質の分類や用途、生産者または輸入者の情報などをまとめた技術文書を提出して登録する必要があります。中でも製造または輸入の量が年間10t以上の場合は、物質の有害性や暴露シナリオなどをまとめた化学物質安全性報告書(CSR)の追加提出が求められます。なお、EU域外から輸入する場合であっても、EU域外の人物または法人を代理人として立てれば同一の登録義務が果たせます。

    評価(Evaluation)

    事業者が登録義務によって提出した技術文書や化学物質安全性報告書(CSR)は行政庁によって評価されますが、事業者はその結果に応じた追加試験の実施や追加情報の提供などを行わなければなりません。中でも人体や環境に甚大な影響をもたらす可能性の高い物質(SVHC)や、製造量や輸入量が年間100tを超える物質は優先的に評価を受けることになります。

    ちなみにSVHCに分類される物質の具体例を挙げると、発がん性や生殖毒性など人体の健康を損ねる性質を持つCMR物質、難分解性や生物畜毒性など環境や自然へ悪影響をもたらすPBT物質やvPvB物質があります。

    認可(Authorisation)

    優先的に評価が行われる高懸念物質(SVHC)は認可の対象にもなります。SVHCに分類される物質を製造または輸入する事業者は、例えその数量が1t未満であっても認可申請を行う必要があり、認可が降りなければ申請した用途で扱うことはできません。また、認可の対象はサプライチェーンの下流に位置する使用者にも課せられ、認可された条件下でのみ使用が認められます。加えて認可申請を行う事業者は、実現可能な限りで有害性の低い代替物質や代替技術を模索し、使用可能か分析しなくてはなりません。

    制限(Restriction)

    リスク評価の結果、製造や使用により受け入れ難いリスクが懸念される物質や、そのリスクに対して社会全体として対処する必要がある物質には制限が課せられ、その制限を超える場合は使用できません。具体的な制限対象物質の例としては、ベンゼンやトルエン、アスベスト繊維などがあり、アスベスト繊維であれば、含有した成形物を販売したり使用することは禁じられています。

    情報伝達

    REACH規制において認可対象となる物質をEU域内で製造または輸入する事業者には、取り扱う化学物質の性状や有害性をまとめた安全データシート(SDS)をサプライチェーン川下のユーザーに情報提供する義務も課せられます。また、例えSDSが存在しない化学物質であっても、登録番号や認可・制限に関わる関連情報の提供が必要です。

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    REACH規制の対象外も存在する

    化学物質に対するREACH規制では、規制の対象外となる物質も存在します。具体的には放射性物質や税関の監視下に置かれている物質、廃棄物、合成装置から意図的に除去されない中間体、防衛に必要な物質などがあります。また、専ら人や動物用の医薬品として使用される物質や、食品添加物や動物栄養剤などに使用される食品・飼料など、使用目的が限定的な物質も適用が除外されます。さらに窒素やコーン油、大豆油など、明らかな安全性により登録義務が免除される物質もあります。

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    REACH規制に似た規制類の内容と違い

    REACH規制と同様、EU域内での化学物質の規制には、RoHS指令とWEEE指令という2つの指令も存在します。REACH規制とこれらの指令の違いも併せて覚えておきましょう。

    RoHS指令は電気電子機器に使用される有害物質の制限指令

    RoHS指令とは、電気電子機器に使用されがちな10種類の有害物質についてEU域内での使用制限を設けた指令のことで、日本語では特定有害物質使用制限指令と訳されます。規制対象となる有害物質には鉛や水銀、6価クロム、カドミウムなどがあり、最大許容濃度はカドミウムのみ0.01質量%、その他物質は0.1質量%までとなります。特定の化学物質に対する規制という意味ではREACH規制と似てますが、規制対象となる化学物質とその規制内容が異なる点と言えるでしょう。

    WEEE指令は電気電子機器の廃棄に関する指令

    RoHS指令と同じく電気電子機器に特化した指令には、EU域内全体での電気電子機器廃棄物(WEEE)の低減を目指すWEEE指令もあります。WEEE指令ではEU加盟国や電気電子機器生産者に対し、電気電子機器の回収やリサイクルシステムの構築、およびその費用の負担が義務付けられます。

    REACH規制は化学物質全般の製造、輸入、販売に関する規制、RoHS指令は電気電子機器の製造に関する規制、WEEE指令は電気電子機器の廃棄に関する規制と考えると違いが分かりやすく、EU域内で電気電子機器類の製造や輸入に携わる事業者はこれら3つの規制や指令を遵守しなくてはならないと覚えておきましょう。

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    まとめ

    今回はEU域内での化学物質の輸入や製造に関するREACH規制について解説してきました。EU域内の規制ではあるものの、日本やその他の国々にも関係する内容のため、事業に携わる方であれば知っておいて損はない内容と言えるでしょう。REACH規制の全ての内容を完璧に理解するのは大変ですが、今回の記事を起点に理解を深めてもらえればと思います。

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