3Dカメラの種類と撮影原理について解説!代表的な用途の紹介も!
2024.08.20更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶3Dカメラをご存知でしょうか。その名の通り被写体を立体的に撮影できるカメラで、車の自動運転技術や産業用ロボット、工場の検査機械など多くの技術を支えています。
そんな身近な3Dカメラについて、具体的な種類や撮影原理などを詳しく理解している人は少ないでしょう。そこで今回はこれからの時代に欠かせない3Dカメラについて解説していきます。
3Dカメラとは
まずはそもそも3Dカメラとはどんなカメラか、という点について解説していきます。冒頭でも触れた通り、3Dカメラは被写体を3次元的に撮影するカメラのことです。従来のカメラが被写体を平面で撮影するのに対し、3Dカメラでは奥行きを含めて立体的に撮影します。
カメラから被写体までの距離測定の精度が重要で、従来のカメラ同様に撮影した2次元的な映像に被写体との距離情報を加えることで立体的な映像を作り出します。そのため、従来のカメラよりも写真や映像に含まれる情報量が大きく、3次元映像に復元するプロセス分だけデータ保存に時間が掛かります。
3Dカメラの種類
3Dカメラは3次元映像を撮影する方法の違いから、主に3種類に分類されます。ここからはそれぞれのカメラについて、具体的な原理や特徴、用途に特化して解説していきます。
ステレオカメラ
一つ目に紹介する3Dカメラはステレオカメラと呼ばれる方式です。
ステレオカメラの原理
人間が物を立体的に認識するのと同じ原理で撮影します。2つのカメラを使って異なる角度から被写体を撮影すると、2つの映像には視差と呼ばれる微妙な違いが生じます。2つのカメラ同士の距離は分かっているため、三角法によって被写体との距離を求められます。この原理を使い、ステレオカメラでは撮影した映像に映る様々な物体や背景との距離を計算することで、3次元映像の撮影を実現します。
ステレオカメラのメリット・デメリット
ステレオカメラの主なメリットとして、リアルタイム性と安定性に優れる点が挙げられます。三角法という単純な計算によって距離を算出するため、撮影から三次元空間の認識が非常に素早く、その精度も安定しています。一方で撮影前に校正が欠かせないというデメリットもあります。
三角法ではカメラ同士の距離が絶対的なパラメータとなるため、事前にカメラとの距離が分かっている被写体を複数回撮影し、通常の撮影とは逆の手順でカメラ同士の位置校正を行う必要があります。また、撮影した映像に対して歪み補正や平行化といった処理を行うため、外部PCに負荷がかかるというデメリットもあります。
ステレオカメラの用途
ステレオカメラは車載カメラに多く採用されています。車の各所に設置したカメラで白線の位置や前後の車両との位置関係を把握し、自動運転を支えたり危険時に警報を出すのに利用されます。また、最近の高級車では、カメラの数を3つや4つに増やした多眼カメラも採用されています。
基本的な測定原理は同一でありながら、被写体との距離測定の精度や安定性が向上するため、自動運転技術を支えるセンサーの一つとして活躍が期待されます。
ToFカメラ
3つ目に紹介する3DカメラはToFカメラです。ToFとは「Time of flight」の頭文字を取った言葉で、直訳すると”飛行時間”となります。カメラと一体になった光源から赤外線を発し、カメラに返ってくるまでの時間(=飛行時間)を測定して被写体との距離を算出します。発する光にはパルス光と連続光の2種類があり、パルス光は光を発してから返ってくるまでの時間を使用し、連続光では発した光と反射光との位相差(時間差)を使用して距離を求めます。
ToFカメラのメリット・デメリット
ToFカメラが優れている点として撮影可能距離が長い点が挙げられます。視差を利用するステレオタイプでは被写体との距離が遠いほど精度が落ちますが、光の反射を利用するToFカメラであれば、被写体との距離が離れても精度高く撮影できます。
また、自ら発する赤外線光を利用する原理上、暗所での撮影や高フレームレートの映像を撮影するのも得意です。一方で、ToFカメラは他の光源からの光の影響を受けてしまうデメリットがあり、太陽光の影響を受ける屋外での撮影には使用できません。
ToFカメラの用途
ToFカメラは工場内のセンシングカメラとして多く利用されています。製造ラインの自動ピッキングシステムロボットに設置し、製造工程の把握や箱詰め作業の監視などに使用されます。
構造化照明カメラ
3つ目に紹介する3Dカメラは構造化照明カメラです。
構造化照明カメラの原理
その名の通り構造化された照明を使って被写体の3次元構造を撮影するのが構造化照明カメラです。「構造化された照明」とは特定のパターンを成す照明のことで、被写体に投影した際にパターンがどのように歪むかを観測し、被写体の3次元構造を把握します。パターンの種類は様々で、比較的シンプルな縦横のライン状のものや格子状のもの、レーザーを利用した無数のドットパターンなどが挙げられます。
構造化照明カメラのメリット・デメリット
構造化照明カメラの最も大きなメリットとして、他の3Dカメラに比べて非常に高精度という点が挙げられます。ある程度撮影場所が限られてしまうものの、整った環境下で撮影できれば、被写体の3次元構造を素早く正確に測定可能です。また、フルカラーで3D映像を撮影することも可能で、照明の色を変えて複数回撮影し、それぞれの色の反射度から被写体の色を導き出してフルカラー映像を撮影します。
一方のデメリットとしては、カメラとは別に外部プロジェクタが必要な点が挙げられます。これにより、ステレオタイプやシンプルな光源が必要なToHカメラに比べるとサイズが大きくなりがちです。また、投影されるパターンを撮影する関係上、屋外などの明るい環境下での撮影や遠くの被写体の撮影には不向きです。
構造化照明カメラの用途
構造化照明カメラは屋内工場における部品や製品の検査に使用されることが多いです。また、3D CADソフトと連携させて設計データと実際の製造物とを比較検査する製品もあります。
まとめ
今回は工場や産業用ロボット、自動車の自動運転を支える技術として知られる3Dカメラについて解説してきました。物体の立体構造を認識する技術には様々な原理のものがあり、非常に興味深いと感じた方も多いのではないでしょうか。今後もVR技術や3Dプリンタ技術の発展により3D映像の撮影技術が発展する余地は大いにあるので、技術の発展に注目していきましょう。
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