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フラッシュメモリとは?動作原理や種類などをわかりやすく紹介!

2023.10.11更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

USBメモリなどの記憶素子として、重要な役割を果たしているフラッシュメモリ。名前は聞いたことがあるものの、仕組みや特徴をご存じない方は多いのではないでしょうか。本記事では、フラッシュメモリの動作原理や種類を中心に、基礎的な知識を解説します。

フラッシュメモリとは

フラッシュメモリは、半導体を使ってデータを保存するメモリの一つです。電源を切ってもデータが残り続ける「不揮発メモリ」に分類され、カメラのフラッシュのように一瞬でデータを消去できることから名づけられました。

フラッシュメモリは書き込み速度が速く、低コストに大容量のデータを保存できる特徴を持っています。書き込み寿命が短いなどの短所もありましたが、近年は改善が進んでいるため、光ディスク式などの記憶素子を代替する形で利用が広まっています。

フラッシュメモリの動作原理

次に、フラッシュメモリの構造や動作原理を簡単に解説します。

フラッシュメモリの構造

フラッシュメモリの構造はMOSFETと非常に似ています。MOSFETは、シリコン基板上にソース・ドレインを作り、酸化膜で絶縁した場所にゲートを配置しているのが特徴です。(構造が分からない方は「MOSFETとは何?動作原理や用途、使い方を解説!」を参照ください)

フラッシュメモリは、MOSFETの構造に加えて、酸化膜とシリコン基板の間に「フローティングゲート」と呼ばれる電子保存場所を設けることで作られます。このフローティングゲートに電荷が入っていれば「0」、入っていなければ「1」として扱い、大量のフローティングゲートを用意することで様々なデータを保持しています。

フラッシュメモリへの書き込み

続いて、フラッシュメモリへの書き込み方法について説明しましょう。フラッシュメモリに書き込みを行うには、フローティングゲート内に電荷を移動させなければなりません。ここで重要になるのは、トンネル効果による電荷の移動です。フローティングゲートとシリコン基板間の酸化絶縁膜は非常に薄くなっており、高電圧をかけるとトンネル効果が発生するように設計されています。

フラッシュメモリに書き込みする(電荷を入れる)ときは、ソース・ドレインをGNDに保った状態で、ゲートに高電圧を印加します。すると、ゲートに引き寄せられる形で電子がトンネル酸化膜を貫通するため、フローティングゲートに電子が入るのです。一方、書き込みを消去する場合は、ゲートをGNDに接地した状態でソース・ドレインに高電圧を印加すれば良いため、簡単に電荷の出し入れ(データの書き込み)が可能となります。

フラッシュメモリに使われる技術

最近のフラッシュメモリは、安価に大容量、かつ長寿命の製品が購入できますが、その背景にはさまざまな技術があります。ここからは、高性能・長寿命なフラッシュメモリを作るために使われている主な技術について解説します。

ウェアレベリング

フラッシュメモリは半導体の構造上、数百回程度の書き込みで劣化が始まってしまうという短所があります。その短所を改善するために開発されたのが、全てのメモリセルを均等に使ってデータを保存する「ウェアレベリング」技術です。

通常は、決まった順番通りにメモリを使ってデータを保存するため、頻繁に使われるメモリと使われないメモリに分かれるのが一般的でした。しかし、それでは短期間でメモリ寿命が訪れてしまうので、順番に関係なく、使用頻度の低いメモリを優先的に使ってデータを保存することとしたのです。

データ保存時にメモリ容量を全て使うことは基本的にないので、ウェアレベリングの採用により、使用回数に対するメモリ書き込み回数を減らし、寿命を大幅に伸ばすことに成功しています。

MLC(Multi Level Cell)

MLCは、フラッシュメモリのデータ容量を増やすために開発された技術です。「Multi Level Cell」の略で、メモリ内の電荷量を細かく検知し、複数のしきい値に分けてデータ化できるのが特徴です。従来はメモリ内の電荷の有無だけしか検知できなかったため、1つのメモリごとに、電荷がある「0」、電荷がない「1」の2通りでしかデータを保存できませんでした。一方、MLC技術を使ったメモリでは、電荷が満杯「0」、電荷が半分以上ある「1」、少しだけ電荷がある「2」、電荷のない「3」といったように、メモリごとの情報を増やせます。

1つのメモリで2ビットのデータが記憶できることから、安価で大容量のフラッシュメモリを作るのに欠かせない技術といえるでしょう。また、同様の原理で、3ビット以上のデータを保存する「TLC」なども開発されています。ただ、しきい値の数を増やすほど電荷の誤差に余裕がなくなるため、劣化による不具合が多発し寿命が短くなるという問題も生じています。

フラッシュメモリの種類

続いて、フラッシュメモリが使われている記憶素子の代表例を紹介します。

USBメモリ

フラッシュメモリを用いた機器として、最も多く使われているのがUSBメモリです。USB端子とメモリというシンプルな構成で、PCに挿すだけで簡単にデータが持ち運びできることから、急激に普及が進みました。今ではフラッシュメモリの高密度化によって大容量化・低コスト化が進んでいるほか、スマホ用としてUSB-B、USB-C端子に挿し込める製品も登場しています。

SDカード

もう一つの代表的な用途がSDカードです。SDカードはスマホを始め、デジカメやゲーム機器などで多用されています。最近ではmicro-SDカードが一般的になっており、小型さと容量の多さから、デジタル機器に格納するメモリの代表格となっています。

SSD

SSDとは「ソリッド・ステート・ドライブ」と呼ばれる記憶装置で、最も最近普及し始めた製品です。パソコンの記憶装置(ストレージ)として使われる製品で、長年主流だった「HDD(ハードディスクドライブ)」を代替する存在として注目されています。

フラッシュメモリを用いるため、HDDよりも読み込み速度に圧倒的に優れるほか、小型で消費電力も少ないなどメリットが多いですが、現状ではSSDの方が価格が高いため、ハイエンドな製品にのみ搭載されています。

他のメモリとの違い

最後に、フラッシュメモリと用途が似たメモリの種類・原理の違いについて解説します。

HDD

HDDは、円盤状のディスクに、磁気データを書き込むことでデータを保存するメモリです。ディスクを高速回転させながら、磁気ヘッドを動かして書き込み・読み込みを行う仕組みとなっており、非常に大容量のデータを安価に保存できることから、パソコンの記憶装置に使われています。ただ、内部に精密機器を使うため振動・衝撃に弱いほか、書き込み・読み込み速度が遅く、動作時に振動や音が出てしまうなど短所も多いです。

EEPROM

フラッシュメモリと同様の構造をした不揮発メモリの一種です。フラッシュメモリは512バイトのブロック単位で書き込みを行うのに対し、EEPROMは、1バイト単位で書き込みを行えるのが特徴です。そのため、フラッシュメモリと比べると数キロバイト程度と容量が非常に少なく、書き込み速度も非常に遅い反面、細かくデータを編集できます。現在ではパソコンの設定情報など、容量が少なく長期間保存しておきたいデータを保持するために使われます。

まとめ

今回は、フラッシュメモリの動作原理や使われている技術、メモリの種類などについて解説しました。フラッシュメモリは、酸化絶縁膜で覆われた半導体に、トンネル効果を使って電荷を保存することでデータを保持する記憶装置です。開発当初は高価で保存できるデータ量も少なかったのですが、最近では技術開発が進み、安価で大容量のデータが保持できるようになったため、利用の幅は広がり続けています。

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