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  • サーミスタとは?原理や特徴、PTCとNTCの違いなどを解説!
  • サーミスタとは?原理や特徴、PTCとNTCの違いなどを解説!

    2024.08.08更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    温度センサーといえば真っ先に名前が出てくるほど有名な「サーミスタ」。名前は知っていても、なぜ数多く利用されているのか、その理由を知っている人は少ないのではないでしょうか。そこで本記事では、サーミスタの特徴や仕組み、他の温度センサーとの違いなどについて解説します。

    サーミスタとは

    引用:株式会社芝浦電子

    サーミスタとは「Thermally Sensitive Resistor」の略で名づけられたセンサーです。金属材料を焼結したセラミックやポリマーで出来ており、温度変化に応じて抵抗値が変わる特徴を持っています。

    この特徴から、温度センサーとして利用されるほか、短絡時の保護回路などの用途があります。性能の良さと使いやすさのバランスがいいため、産業用機器をはじめ、エアコンなどの家庭用機器、スマホなどのデジタル機器にも幅広く用いられています。

    サーミスタの特徴

    それでは、サーミスタがどのような特徴を持っているか詳しく解説しましょう。

    小型で安価

    サーミスタは、マンガンやニッケルなどの金属を焼結したセラミックが主な材料です。使用されるのが安価な素材であり、成形も簡単なので、小型で安価な製品が製造できます。また、サーミスタは抵抗値の変化を計測するだけで温度が測定できるため、マイコンの出力に直接接続できるのも強みです。周辺回路が不要なので、採用時のトータルコストも抑えられます。

    感度が高い

    サーミスタは、温度変化に対して抵抗値が指数関数的に変化します。0℃から100℃への間であっても100倍程度抵抗値が変わるので、かなりの高精度で測定できるでしょう。熱電対などと比べると精度は劣るものの、構造が簡単なのにも関わらず高精度な温度測定が行えるので、汎用性が高いです。

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    サーミスタの種類

    サーミスタは、温度係数の違いによって種類分けが行われています。それぞれの特徴と用途を紹介しましょう。

    NTCサーミスタ

    「Negative Temperature Coefficient」の略で、負の温度係数を持つサーミスタのことです。マンガン、コバルト、ニッケル、鉄などを材料として作られます。温度が上がると、反比例して滑らかに抵抗値が減少するのが特徴です。幅広い温度範囲において温度変化を検知できることから、汎用的な温度センサーとして用いられています。一般的にサーミスタと呼ばれる場合、NTCサーミスタを指すことが多いです。

    PTCサーミスタ

    「Positive Temperature Coefficient」の略で、正の温度係数を持つサーミスタのことです。チタン酸バリウムに、希土類元素をドーピングすることで作られます。NTCサーミスタと異なり、特定の温度を超えると急激に抵抗値が上がるのが特徴です。感度の上がる温度範囲で、過熱時に回路を遮断する用途や、過電流を防止する等の用途で用いられます。

    CTRサーミスタ

    「Critical Temperature Resistor」の略で、PTCサーミスタと逆の動きをするサーミスタです。バナジウム酸化物に添加物を加えたセラミックで作られます。特定の温度を超えると急激に抵抗値が下がります。常温領域において抵抗値の変化が大きく、感度が高いという特徴を持つため、家電などの温度測定に使われることが多いです。

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    サーミスタの原理

    続いて、特によく用いられるNTCサーミスタ、PTCサーミスタについて、抵抗値の変化が生じる原理を紹介します。

    NTCサーミスタ

    NTCサーミスタは、半導体の温度が上がると自由電子が増加し、抵抗値が下がる仕組みを利用して測定を行います。セラミックは基本的に絶縁体ですが、NTCサーミスタは組成を調整し、半導体に近い物性を持たせています。

    半導体の温度が上がると抵抗値が下がる理由は、エネルギーバンド理論によって説明できます。エネルギーバンド理論の説明は割愛しますが、半導体は温度が上がると自由に動ける電子が増えるため、一気に導電率が上がるのです。導電率が上がると電流が流れやすくなり、結果的に抵抗値が下がるので、温度に反比例して抵抗値が下がることとなります。

    PTCサーミスタ

    PTCサーミスタの場合は、キュリー温度を超えることで抵抗値が増加する仕組みです。チタン酸バリウムは強誘電体なので、キュリー温度以下では強誘電体としての、キュリー温度以上では常誘電体としての性質を持ちます。強誘電体は誘電率が高く、電流が流れやすいため、抵抗値は低く抑えられます。

    一方、常誘電体は誘電率が下がり電流を通さなくなるため、サーミスタがキュリー温度を超えると一気に抵抗値が上がることとなるのです。キュリー温度は物質により異なるので、PTCサーミスタでは希土類元素などを少量添加することで、キュリー温度を調整しています。選定の際には製品ごとのキュリー温度の違いを確認しておきましょう。

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    サーミスタ以外の温度センサー

    ここまでサーミスタについて紹介しましたが、サーミスタ以外の温度センサーももちろん存在します。代表的な温度センサの特徴を紹介します。

    熱電対

    熱電対は、二種類の異なる金属で作られるセンサーです。線状に伸ばした金属の片端を接触させ、逆の端部に発生した電圧の差を測ることで、温度を測定します。測定可能な温度範囲が非常に広く、金属線を使うだけなので省スペースでの測定が行えることが特徴です。

    また、サーミスタより高精度で測定できるメリットもあるため、工業用として幅広く用いられています。ただ、小さな起電力の差を検知する必要があるため、受信用の専用回路を組む必要があります。マイコンなどに直接入力できないので、汎用的な温度センサーとしては使いにくいです。

    測温抵抗体

    測温抵抗体は、金属の抵抗値が温度によって変化することを利用した温度センサーです。センサー部分には、抵抗値変化の直線性と温度係数に優れるプラチナ(白金)が一般的に使われます。

    サーミスタと同様、マイコンに直接つないで温度測定が行えるほか、測定可能な温度領域が非常に広いという特徴を持っています。一方で、プラチナを使うため高価になりがちで、精度も低めなので、極低温の測定用や特に安定性を求める用途で用いられます。

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    まとめ

    今回は、温度センサーの一種であるサーミスタの特徴や種類、仕組みについて解説しました。サーミスタは金属を焼結させたセラミックでできており、安価で高精度な測定が行えるのが特徴です。測定できる温度範囲が狭く、精度は熱電対に劣りますが、汎用性の高さから最も幅広く用いられています。産業用機器を始め、車や家電、電子デバイスなど、分野を問わず電気製品に使われるため、他の温度センサーと共に理解を深めておくのはいかがでしょうか。

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