漏れ電流(漏洩電流)とは?種類や対策方法なども含め解説!

2023年5月12日更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶製品の安全性や信頼性を確保したい場合、漏れ電流の基本を理解することは技術者にとって重要です。そこで今回は、漏れ電流がどのような現象か、検出方法、対策手段までを分かりやすく解説します。
漏れ電流とは
漏れ電流とは、本来は流れてはいけない、電流の経路から外れた場所で電流が流れてしまう現象のことです。漏洩電流、リーク電流などとも呼ばれます。漏れ電流は予期せぬ電流であり、無駄に電力を消費するほか、電子機器の不具合や破損の原因となります。また、大電流を流す機器では、感電によって人命に危険を及ぼす可能性もあるため、電子回路においては漏れ電流への対策が欠かせません。
なお、電子回路では電源OFF時において、正常な経路に流れる微小な電流のことも「漏れ電流」と呼ばれています。こちらは機器の消費電力に影響するだけで危険性は全くないため、区別して理解しておく必要があります。
抵抗成分とコンデンサ成分の違い
対策方法などを伝える前に、抵抗成分と容量成分という漏れ電流を構成する2種類の成分についても解説しておきます。発生している漏れ電流がどちらの成分で成り立っているかで周囲への影響度が大きく変わるので、違いを理解しておきましょう。
抵抗成分漏れ電流(Ior)
抵抗成分は「Ior」とも呼ばれ、絶縁箇所の劣化などが原因で生じる漏れ電流のことです。後述する容量成分と比較して「有効漏れ電流」と呼ばれることもあります。抵抗成分の漏れ電流は、本来絶縁されている場所がショートしたことで生じるため、一度発生すると直流電流が流れ続けるという性質を持っています。大電流が流れて感電や火災などにつながる危険性が高いので、抵抗成分の漏れ電流が起きないよう予防と対策を行う必要があります。
静電容量分漏れ電流(Ioc)
容量成分は「Ioc」とも呼ばれ、容量成分を通して流れる漏れ電流のことです。回路内のコンデンサ成分を通して、一時的に電流が流れるという性質を持ちます。漏れ電流の大きさはコンデンサが充電される分の電流に限られ、問題となりにくいことから、容量成分による漏れ電流は基本的に考慮しません。そのため、抵抗成分と比較して「無効漏れ電流」と呼ばれることもあります。
ただし、特に高周波信号によって漏れ電流が発生した場合は、電磁波によるノイズが生じて機器の不具合につながる可能性があります。そのため、EMC試験などを行い、ノイズ強度が問題がないレベルであることを確認する必要があります。
漏れ電流の防止方法
製品設計においては漏れ電流が生じないよう様々な対策を行っておくのが前提ですが、絶縁劣化などが原因の場合は防ぎきることが難しいです。そのため、漏れ電流によるリスクが大きい製品は漏電検知器(漏電遮断器)を用いて漏れ電流を検知・遮断するのが一般的です。漏電検知器は漏れ電流の大きさを検知して自動的に回路を遮断する機器で、特にショート時に人体に致命的な影響を及ぼさないような保護を行います。
漏電検知器の方式としては、「Io方式」「Ior方式」「Igr方式」の3種類が主流です。最も古くから使われているのはIo方式で、漏れ電流の抵抗性分とコンデンサ成分をまとめて検知します。最もシンプルで使いやすいですが、コンデンサ成分が多い回路では漏電検知が正しく行えないため、そんな場合は、漏れ電流の抵抗成分のみを検知するIor方式が有効です。
また、Igr方式はさらに性能がよく、検査用の外部電源を入れることで機器の電源を入れる前に絶縁劣化を検知できます。外部電源を入れる分設置は面倒ですが、漏れ電流を未然防止したい場合や、対象の回路を確実に検知したい場合におすすめです。
漏れ電流の測定方法
最後に、漏電遮断器や漏電検知器を入れていない場合に漏れ電流を検知する手法を紹介します。その方法は、クランプメータで電源・GNDのケーブルを挟みこみ、電流値を測定することです。
クランプメータはケーブルから発生する磁界の強さを測定し、電流値を検出する装置ですが、複数のケーブルを挟んだ場合、磁界の合計値で電流を測定します。そのため、他に電流の流れる経路が存在しない(漏れ電流がない)場合、電源とGNDに流れる電流は方向が逆で値は同じになるため、磁界が相殺されて測定値はゼロとなります。
一方、漏れ電流が発生している場合、電源とGNDに流れる電流値が変わるため、漏れ電流値がクランプメータで測定できることとなります。もちろん、クランプメータでは測定感度が高いわけではありませんが、簡易的な漏れ電流の検査にはなるでしょう。
まとめ
今回は、漏れ電流(漏洩電流)の基本的な知識や対策方法、簡易的な測定方法などを紹介しました。漏れ電流は意図しない経路で電流が流れる現象のことで、特に大電流が流れる機器では人体に危険を及ぼすため、対策が欠かせません。
漏れ電流を防ぐには漏電検知器が有効ですが、抵抗成分とコンデンサ成分の違いを把握して検知方法を選ぶ必要があります。機器の回路特性を理解して、最適な対策が行えるようにしましょう。
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