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樹脂の加工に利用される射出成形とは?材料・流れ・メリットも解説!

2024.01.29更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

プラスチック部品の加工方法の中で、最もメジャーな加工方式は射出成形です。今回はそんな射出成形について、使用する材料や加工の流れ、代表的なメリットなどをご紹介していきます。材料加工に興味のある方はもちろんのこと、詳しくない方でも分かるように解説していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

射出成形とは

射出成形とはドロドロに溶けた樹脂を金型の中に注入し、加圧したまま冷却することで成形する加工方法のことです。ノズルを金型に差し込んで材料を注入する様子が注射を連想させることからこの名前が付けられました。人手を掛けずに高品質で大量の製品を製作できるため、産業界で最もメジャーなプラスチック加工方法です。

射出成形で成形した部品には、自動車のドアや座席シート、プラモデル、家電製品、ペットボトルの蓋、パソコンのフレーム、洗面器、スマホケースなどがあります。様々な形状・サイズ・用途のものを作ることができ、身の回りにある樹脂やプラスチック製品の多くが射出成形によって成形されていると考えて良いでしょう。

射出成形の材料となる樹脂について

射出成形の材料となる樹脂について詳しく知らない方も多いと思うので、改めて樹脂とは何か解説しておきます。樹脂とはその名の通り樹木から出る樹液などが固まった物質のことで、人間の手を介さずに自然界で生み出された天然樹脂と人工的に生み出される合成樹脂の2種類に分かれます。天然樹脂にはさらに、樹木から出る樹液が固まった植物由来のもの、動物の骨や皮膚に含まれるコラーゲンなどから作られる動物由来のもの、アスファルトやタールのような鉱物由来のものがあります。

一方の合成樹脂とは石油に含まれるナフサという物質から人工的に生み出されたもので、プラスチックも合成樹脂の1つです。樹脂は金属に比べて加工性が高い、素材そのものが軽い、断熱性や絶縁性が高い、腐食しにくいといった利点があるため、多くの製品の材料に使用されています。

射出成形に関わる「熱可塑性」と「熱硬化性」

合成樹脂は熱を加えた時の特性の違いから、更に熱可塑性のものと熱硬化性の2種類に分類されます。熱可塑性とは熱を加えることで材料が軟化し、変形させてから再冷却することで形状を維持したまま硬化する性質です。これに対し、熱を加えることで硬化する性質を熱硬化性と言い、一度熱を加えてしまうと再度軟化することはありません。射出成形ではどちらの性質の樹脂も使用されますが、基本的には加工管理のしやすい熱可塑性樹脂が多く使用されます。

射出成形の流れ

続いて射出成形の大まかな流れを解説していきます。

ノズルへ溶融樹脂を充填する

金型へ溶解樹脂を注入するには、樹脂を溶融しながらノズルへ充填する必要があります。材料となる粒状の樹脂を充填用ホッパーへ入れ、スクリューの回転によってノズル先端へ押し出すように充填していきます。スクリュー部にはヒーターが搭載されており、押し出す過程で樹脂に熱を加え、ノズル先端に到達する頃には完全に溶融した状態にします。充填された樹脂が金型へ注入されたら、次のロットの充填が始まります。

金型へ樹脂を注入して成形

続いて金型へ樹脂を注入し、金型の形に成形していきます。型締め装置で金型が動かないように固定したら、ノズルを金型へ接続して樹脂を流し込みます。ここで接続が甘いと加圧中に樹脂が漏れてくるため、注意が必要です。樹脂の注入が終了したら、加圧状態のまま数秒冷やして樹脂を固めていきます。樹脂が完全に固まったら金型を開き、成形物を傷付けないように取り外して射出成形は完了です。

射出成形の金型には工夫が必要

射出成形に使用する金型には、成形不良を起こさないように抜き勾配やスライド機構といった工夫が必要です。抜き勾配とは、射出成形後に金型と成形物が離れやすくするように金型に設ける傾斜のことです。射出成形では成形後に金型に成形物がすっぽりとハマってしまい取り出せなくなることがあり、無理やり剥がそうすると表面に傷や変形が生じる恐れがあります。そこで抜き勾配と呼ばれるほんの僅かな傾斜(1°前後)を金型に設け、成形物を金型から剥離しやすくします。

スライド機構とはアンダーカットと呼ばれる部分が存在する成形物を作る際に、金型の一部をスライドして外せるようにした機構のことです。基本的に射出成形で使用する金型は2枚に分かれていて、成形後に上下または左右に引き離すことで成形物を取り出します。しかし空洞を作る場合など、金型自体が成形物自体に引っかかり、成形後に金型が外れないケースもあります。これをアンダーカットと呼び、この対策として金型の一部にスライド機構を設け、アンダーカット部分だけを個別に外せるようにします。

射出成形は大量生産を後押しするメリットが多い

射出成形には工場での大量生産に向くメリットが複数あります。まず1つ目は成形物の品質が安定している点です。射出成形は金型の転写性が非常に高い加工方法のため、金型さえ丁寧に作りこんでおけば、寸法や形状、質感などのバラツキが少ない高品質な製品を生み出すことができます。

また、加工後の後処理がほとんどいらないのもメリットの1つで、他の加工方法であれば加工後に不要なバリを除去したり、機能性や意匠性を加えるための穴あけやパンチなどの後工程が必要ですが、射出成形は余計な後処理なく一回で完成品を作り出すことができます。更に他の加工方法と比べて成形物のエラー率が少ない方法でもあり、品質の高い製品を大量生産するにはうってつけの加工方法です。

射出成形で気を付けるべき注意点

樹脂の加工方法として優れている射出成形ですが、他の加工方法に劣るポイントもいくつかあります。改善の余地がある項目として、しっかりと覚えておきましょう。

少量生産には向かない

まず、射出成形は受注生産などの少量生産には向いていません。射出成形は金型を使用するため、利益を出すには金型の製作コストも回収する必要があります。しかし少量生産だと成形物の販売価格と金型製作コストが釣り合わず、却ってコスパが悪くなってしまいます。基本的に金型を使い回せば使い回すほどコスパは上がっていくため、売り上げを重視するのであれば、需要の高い部品の大量生産にのみ射出成形を使うようにしましょう。

金型の納期や設計工数の考慮が必要

射出成形は金型ありきの加工方法のため、新商品を生み出す際には金型自体の納期や設計工数も考慮しなくてはなりません。一般的に射出成形は1ロットあたりの製作工程が短い加工方法として知られているものの、新たな金型の製作が必要となれば金属材料の納期、設計工期、金型の加工期間が追加で必要になります。特に金型製作を外注する場合は工程をコントロールできないため、さらに余裕を持つ必要があります。

製作サイズや形状の制限もある

射出成形の成形物にはサイズや形状の制限があることも覚えておきましょう。まず既に説明したように、成形物の形状によっては金型から成形物を取り出せない不具合が生じる可能性があります。抜き勾配やスライド機構によってある程度は回避できるものの、成形物のクオリティに影響を与えてしまうため、複雑すぎる形状は避けなくてはなりません。

また、成形物のサイズにも注意が必要で、成形物が大きすぎると正常な冷却ができずに製作不良となる可能性がありますし、成形物が薄すぎると製作後に割れるリスクがあります。金型を製作する前に強度計算やシミュレーションを行うなど、事前確認を徹底しましょう。

まとめ

今回は樹脂の加工方法の中で最もメジャーな射出成形について解説してきました。金型を使用して成形する関係で高精度かつ安定した成形方法でありながら、金型自体の納期やコストにも目を向けなくてはならないことが学べたと思います。プラスチック製品は今後も我々の生活から無くなる可能性は低く、射出成形はまだまだ活躍する技術と考えられるため、しっかりと今回の内容を覚えておきましょう。

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