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  • 表面粗さとは?種類や表記記号、適用例など覚えておきたい基礎を知っておこう!
  • 表面粗さとは?種類や表記記号、適用例など覚えておきたい基礎を知っておこう!

    2024.08.06更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    本記事では、「表面粗さとは何か」を知りたい人に向けて、表面粗さの必要性から種類、表記記号、測定方法などについて解説します。機械設計で図面を書く際に必要不可欠な項目のため、機械加工初心者の方もチェックしておきましょう。

    表面粗さとは

    表面粗さの種類や記号を解説する前に、まずは基礎的な内容から解説します。表面粗さにはどのような意味があるのでしょうか。

    表面の凹凸を数値化したもの

    表面粗さとは、加工面の凹凸を数値化したデータのことです。工業製品はさまざまな方法で加工して完成させますが、加工方法によって表面の仕上がりは大きく変わります。表面が粗いと製品の機能や性能に影響を及ぼしますが、なめらかな加工面を作るには、その分加工に時間とコストがかかります。そのため、なめらかであれば良いと一概には言えません。

    また、加工を依頼する場合はどの程度の仕上げが必要なのかを決めておく必要があります。ちなみに、表面の粗さは製品の手触りや光沢、質感にも影響を与えるため、製品の機能だけでなく、ブランドイメージを作るうえでも重要な要素です。

    うねりと節目方向によって決まる

    表面粗さは、大きく分けて「うねり」と「節目方向」に分類されます。うねりは、加工表面において大きく波打つ起伏のことで、加工の不均一さによって発生するばらつきです。一方、節目方向は加工自体によって発生する細かい凹凸のことで、加工方法を変えることで調整できます。また、節目方向は、加工の向きを変えれば凹凸が生じる方向を変えられます。  

    表面粗さの必要性

    表面粗さは機能に影響を及ぼしますが、具体的にどのようなところで影響が出てくるのでしょうか。ここからは、表面粗さの管理が必要となる代表的なシーンについて解説します。  

    気密性・接着性を高める

    気密性を確保するパッキンなどは、凹凸があると隙間が生じ、気密性が保てません。そのため、急峻な凹凸がない形状にすることが求められます。また、シールや接着剤を貼る場合は、接着剤にとって最適な粗さにすることで接着力を高め、剥がれを防ぐことが可能です。  

    摩擦や騒音・振動を抑える

    高速で動作する軸やシリンダーなどは、表面に凹凸があると摩擦が発生し、負荷の増大や騒音・振動が発生する原因になります。また、表面をなめらかに加工することで、動作がスムーズになり省エネにも繋がります。  

    強度を向上させる

    ボルトや自動車のクランクシャフトなど、製品が他の面と接触する場合、ミクロ的には面に対して点で接触していることになるため、表面に凹凸があると応力が集中して亀裂が生じる原因となります。そのため、表面をなめらかにすることで製品寿命の向上に繋がります。  

    錆の発生を抑える

    金属製品の錆を抑えるうえでも、表面粗さの管理は重要です。表面の凹凸が大きいと、凹凸の分表面積が広くなり、隙間に水滴や異物が入りこむことで錆が発生しやすくなります。  

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    表面粗さの単位の種類

    表面粗さの表現方法にはさまざまなものがあり、それぞれ指標として定義されています。ここでは、特によく利用される代表的な表面粗さの指標Ra、Rmax、Rz、Rmsの4種類について解説します。  

    Ra(算術平均粗さ)

    Raはもっとも一般的な表現方法で、算術平均粗さと呼びます。表面粗さの平均を取るため一部に大きな傷があっても影響を受けにくく、全体的な表面の粗さをチェックできるのが特徴です。ただし、大きな凹凸を見逃したくない場合はこの表現方法が適さないvので、次に紹介するRmaxで表現するようにしましょう。Raの計算方法は以下の通りです。  


    Ra計算方法

    1. 明らかに大きな傷のない表面を抜き出し、表面のばらつきを測定する
    2. 測定した部分の表面粗さを平均し、中央値を基準面とする
    3. 基準面と各測定点との上下ずれ量を加算し、最後に測定長さで割る

    Rmax(最大高さ粗さ)

    Rmax(最大高さ粗さ)は、気密性が求められるパッキンなど、大きな山や谷があると困る部品の表面粗さを決める際に利用します。表面ばらつきのもっとも大きい場所だけを示すので、全体的な表面粗さの度合いは分からずRaと並行して使う場合が多いです。Rmaxの計算方法は以下の通りです。  


    Rmaxの計算方法

    1. 明らかに大きな傷のない表面を抜き出し、表面のばらつきを測定する
    2. 測定した場所のうち、高さの最大値と最小値を見つけ、その差を計算する

    Rz (十点平均高さ)

    Rz(十点平均粗さ)は、大きな凹凸がどの程度存在するかイメージしやすくなる表面粗さの測定方法です。Rmaxと似た指標ですが、複数の大きな凹凸を測定対象とするため、一つの凹凸のみが突出しているのか、全体的に凹凸が大きいのかを判断できます。 Rzの計算方法は以下の通りです。


    Rzの計算方法

    1. 明らかに大きな傷のない表面を抜き出し、表面のばらつきを測定する
    2. 測定した部分の表面粗さを平均し、中央値を基準面をする
    3. 基準面から上下方向にばらつきの大きい箇所を5つずつ抜き出す
    4. 抜き出した箇所における基準面との差を全て加算し、最後に5で割る

    Rms(二乗平均平方根粗さ)

    Rms (二乗平均平方根粗さ) は、基準面に対する凹凸のばらつきを2乗し、加算したのちに平方根を取る方法です。表面粗さの指標としてはRaと似ていますが、大きな凹凸があると値が大きくなるので、平均的なばらつきと一部の大きな凹凸の両方を考慮したい場合に使います。Rmsの計算方法は以下の通りです。  


    Rmsの計算方法

    1. 明らかに大きな傷のない表面を抜き出し、表面のばらつきを測定する
    2. 測定した部分の表面粗さを平均し、中央値を基準面とする
    3. 基準面と各測定点との上下ずれ量を2乗して加算していき、最後に平方根を取り、測定長さで割る

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    表面粗さの表記記号

    表面粗さの表記記号として主に使用されているのは、JISで規定されている記号と、旧JIS記号である三角記号です。現場で混乱しやすいポイントなので、それぞれの表記の違いについて解説します。

    表記記号は2度改訂されている

    表面粗さの表記記号は、1992年と2001年に改正されています。1992年の改正前は「三角記号」というシンプルな記号が使われていました。三角の数が多いほど精度が高いという仕様で、三角の数に合わせて「いっぱつ」「にはつ」と呼ばれており、それぞれ許容精度の範囲が決まっています。この三角記号から、世界的な規格であるISOに合わせるため、数値を具体的に表記する形式に変更されたのが1992年です。

    ただ、改正から20年以上経った現在でも、旧JIS規格である三角記号は多くの加工現場で使われているのが現状です。加工精度が三角記号で表記された加工機などもあるので、表面粗さを扱うのであれば、三角表記と新JIS表記を両方理解しておく必要があります。

    JIS表示と旧JIS表示の違い

    それでは、旧JIS記号と現在の表記はどのように対応しているのでしょうか。それぞれの規格ごとの対応表を以下に示します。

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    表面粗さの測定方法

    表面粗さを測定する方法には、大きく分けて接触式と非接触式の2通りがあります。それぞれの代表的な測定方法を、メリット・デメリットも含めて紹介します。

    針による走査法

    ダイヤモンド製の触針を試料に沿わせて動かし、凹凸を測る接触式の検査方式です。針の先端太さ以上の幅であれば、高い精度で表面の凹凸を測定できます。ただし、接触する面を針で傷をつけてしまうことや、粘着面は測定できないこと、そして針の太さ以下の傷はチェックできないことがデメリットです。  

    光干渉法

    サンプルに光を照射し、参照光と干渉させてできる干渉縞から、サンプルの凹凸をチェックする非接触型の測定方法です。光源を2つに分割して片方をサンプルに照射し、もう片方をリファレンスミラーで反射させて干渉縞を作ります。高さ方向の測定精度が非常に高いのが特徴で、サブナノメートル単位で凹凸をチェックできます。  

    また、レンズ倍率を下げることで広い視野範囲の表面粗さが測定可能です。その分、平面方向の分解能は低く、測定可能な材料が限られる、測定傾斜が高いと測定が難しい、振動に弱いなどのデメリットを持っています。

    焦点移動法

    焦点移動法は、高さ方向に焦点を移動させ、試料の顕微鏡画像を連続的に撮像する測定方法です。被写界深度の小さな光学系を使い、撮像後にアルゴリズムを用いてピントの合った部分だけを抜き出し積層することで、3次元画像が得られます。

    全焦点法とも呼ばれ、高速撮影が行えること、測定傾斜が高くても撮像できるのが強みです。ただし、試料表面に凹凸がない試料や、反射率が大きくばらつく試料の測定は難しくなります。  

    コンフォーカル法

    コンフォーカル法は共焦点法とも呼ばれ、光学系にピンホールやスリットを入れる測定方法です。レーザ顕微鏡として広く知られている測定方法でもあります。ピンホールにより、照射したレーザ光のうち焦点のあった部分だけを検出するので、焦点移動法よりノイズが少なく、高い分解能の測定が可能となります。

    サブナノメートル単位の高い垂直分解能、表面形状を問わず測定可能、角度特性が高いなど、幅広い試料を厳密に測定できるのがメリットです。ただ、測定が厳密な分測定に時間がかかり、測定範囲が狭くなるデメリットを持っています。

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    表面粗さを理解して機械加工に役立てよう!

    今回は、表面粗さの種類や特徴をはじめ、代表的な表記記号や測定方法などについて解説しました。表面粗さは加工面の凹凸を定義する指標であり、質感や機能、性能に大きな影響を与えるため、図面で機械加工を指示する際に必ず記載が必要となる項目です。

    表面粗さの単位や表記記号を理解して、ミスなく指示が行えるようにしましょう。また、特に気密性などが必要で細かな凹凸も避けたい場合は、表面粗さの測定方法も注意して選ぶようにしてください。

    また、表面粗さについて理解を深め、いずれ仕事に活かしたいと考えている方はFREE AIDで求人情報を確認してみましょう。必要なスキルや経験も分かりやすく掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。

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