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表面処理とは?種類ごとの違いや特徴を解説します

2023.10.08更新

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機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

さまざまな材質の表面を整え、強度を上げるために行われる表面処理。製品の仕上げに欠かせない存在ですが、どんなやり方があるのか分からず困っている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、表面処理の種類と、それぞれの特徴について解説します。

表面処理の目的

まず、表面処理はどのような目的で行われるのでしょうか?主な理由と得られる効果についてお伝えします。

見た目を整える

表面処理を行う目的の一つ目は、外観や触感の向上です。材料を切削、鋳造、成形などで作った時点では、表面の手触りは非常に荒く、製品には使えません。そのため、表面処理で素材を覆い、または化学的に処理することで、なめらかさや光沢、色を持った製品を作っています。塗装等がわかりやすい例ですが、表面の研磨などでも大きく見た目を変えることができます。

ただ表面をなめらかにするだけでなく、意図的に凹凸を作り出し、弾力や温かみを持った製品を作ることも可能です。

強度を上げる

もう一つの目的は、強度や耐久性の向上です。めっきや窒化処理など、材料と異なる材質の物質をコーティングすることで、素材全体の強度を簡単に向上できます。また、素材の表面に塗装や化学処理などで膜を作ることで、耐食性や耐摩耗性、耐熱性など、製品の耐久性も大きく向上します。

強度や耐久性の向上は材質にかかわらず重要ですが、金属は特に単体での耐久性が低く、空気や水など身近な物質によっても劣化するため、表面処理は必須と言えるでしょう。

表面処理の方法

それでは主な表面処理の方法について、それぞれの詳細をお伝えします。

めっき

めっきは、材料の表面に金属を薄く成膜する方法です。金属はもちろんですが、ガラスやプラスチック、木材など様々な素材にも使用でき、高い耐久性が得られることから、表面処理として非常に良く用いられます。

めっきは耐食性に優れているだけでなく、金や銀、プラチナなどをめっきして装飾性を高めるのにも向いています。また、導電性や熱伝導性、磁気特性などにも優れていることから、電子基板のパターンやはんだ面の作成にも用いられています。めっきは、溶解した金属に材料を漬ける方法が最も簡単ですが、他にも以下のような方法で生成できます。

めっき手法 特徴
電気めっき 素材をメッキ液に漬け、電気で金属皮膜を作る方法
安価・高速なめっきが可能
無電気めっき 化学反応のみで金属皮膜を作る方法
絶縁性素材のめっきに最適
真空めっき 真空中で金属を蒸発させ、素材に堆積させる方法
均一性が非常に優れる

塗装

塗装は、素材表面に塗料を塗る方法です。素材の装飾や保護が目的であり、めっきと似た効果が得られますが、こちらは大気・常温環境下で手軽に行えることから、より多岐にわたる用途で用いられます。

塗料にはアクリル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂などたくさんの種類があるほか、その中でも水溶性塗料、油性塗料に分かれており、用途や目的に応じて最適な塗料の選定が欠かせません。見た目や機能性だけでなく、素材との相性や耐久性などの差を見極めて塗料を選択しましょう。また、塗装の手法としては、主に以下の4つが挙げられます。

塗装手法 特徴
溶剤塗装 シンナーなどの有機溶剤に塗料を溶かし、塗りつける方法
安価で汎用性が高い
粉体塗装 粉末状の塗料を静電気で付着させ、溶かす方法
塗装が分厚くなるため、強度を高めたい場合に最適
静電塗装 高電圧環境下で帯電した塗料を吹き付ける方法
高品質で無駄のない塗装が可能
焼付塗装 塗料を吹き付けた後、加熱して塗料を硬化させる方法
強固で耐久性に優れた塗装が可能
電着塗装 素材を塗料に漬け、電気で塗料を付着させる方法
大量生産向けで複雑な形状の素材に最適

表面熱処理

表面熱処理は、鉄などの金属において古くから行われてきた表面処理方法です。焼入れ・焼き戻し・焼きなましなど、バーナーで加熱することで金属結合を変える方法と、炭素や窒素、アルミなどを含ませて熱処理する方法に分かれています。

金属表面の硬度や耐摩耗性などを上げる用途で主に使われますが、焼き戻しなど、金属内部を柔らかくし、粘りを強めることでもろさを抑え、耐衝撃性を高めるためにも使われます。表面熱処理の主な手法は以下の4つです。

表面熱処理手法 特徴
表面焼入れ 金属表面を高温に熱したのち急冷する方法
耐摩耗性と靭性を併せ持つ表面ができる
浸炭焼入れ 表面に炭素を浸漬させ、焼入れを行う方法
炭素量の増加により表面硬さが向上する
窒化処理 高温条件下で表面に窒素を進入させる方法
焼入れせずに強度・耐久性を向上できる
アルミナイジング
クロマイジング
特殊な熱処理によりアルミ・クロムの酸化被膜を作る方法
耐酸化性や耐摩耗性、焼付き性が向上する

化成皮膜処理

金属素材を酸やアルカリ性の水溶液に漬け、化学反応によって薄い皮膜を作る処理方法です。不活性な化合物の被膜によって腐食などの劣化から素材を守るほか、塗装が定着しやすくなるため下処理に用いられることが多いです。

化成被膜処理では素材ごとに異なる水溶液が用いられるため、それぞれで作業工程や特性、コストが大きく変わることに注意しましょう。代表的な化成処理方法としては以下の4つが挙げられます。

表面熱処理手法 特徴
リン酸塩処理 表面にリン酸塩皮膜を作る方法
鉄の防さび性や塗装密度向上に有効
クロメート処理 三価クロムや六価クロムの皮膜を作る方法
亜鉛めっきの後処理に使用し耐食性を高める
ジンケート処理 亜鉛酸塩の皮膜を作る方法
アルミの酸化被膜を溶かし、めっきや塗装の定着性を上げる
黒染め処理 特殊な熱処理によりアルミ・クロムの酸化被膜を作る方法
耐酸化性や耐摩耗性、焼付き性が向上する

研磨

研磨は、金属の表面を砥石や研磨剤で削り、表面の凹凸を取り除く処理方法です。製品の寸法精度をマイクロメートル単位で調整するのに用いられるほか、凹凸を無くすことで表面に光沢が生じ、なめらかな触感になるため、見た目を整える目的でも良く行われます。

また、錆や汚れの付着防止などの効果も得られるため、強度や寿命の向上にも繋がります。研磨処理の主な手法は以下の4つです。

研磨種類 特徴
砥石研磨 砥石や砥粒を使って研磨する基本的な方法
ラッピング研磨 平坦な台に研磨剤を流し、製品を乗せて研磨する方法
摺動運動により破砕が生じにくく高精度になる
バフ研磨 綿やフェルトで作られたバフを回転させて研磨する方法
ステンレスの研磨に使われる
バレル研磨 製品と研磨剤をバレルに入れ、回転や振動をかけて研磨する方法
複数面の研磨が一度に行えるため大量生産向き

ショットピーニング

金属表面に、より硬い金属の球体を衝突させて金属を削る表面処理方法です。ショットピーニングによって得られる効果には「金属疲労の防止」があります。金属疲労は、素材に繰り返し応力がかかると、強度上は耐えられる力であっても局部に破断が生じる現象です。ショットピーニングを行うと、素材に圧縮方向の残留応力がかかるため、金属疲労につながる応力を相殺でき、破断を抑えられます。

他にも、応力腐食割れの防止や強度、潤滑性、耐摩耗性の向上にもつながるため、ショットピーニングは幅広い場面で利用されています。

エッチング

エッチングは、金属の表面を溶かす表面処理です。不均一な酸化膜を取り除き、化学処理を行うために用いる場合や、表面を荒くしてめっきや塗装を定着させやすくする場合など、さまざまな加工に付随して行われています。

また、エッチングをしたくない所に、エッチング耐性のある「レジスト」を塗布することで、金属を選択的に溶かすことも可能です。高速かつ高精度な微細加工を行えるのが特徴で、電子基板のパターンや意匠品のデザインなどの微細加工に多用されています。

エッチング手法には、化学溶液を使い、低コストと高速さが特徴となる「ウェットエッチング」と、ガスやプラズマを使い高精度のエッチングを実現する「ドライエッチング」があります。

アルマイト処理

アルマイト処理は、アルミニウムに限定した表面処理方法です。アルミニウムを電解処理して酸化皮膜を成膜します。アルミニウムは放置していても酸化皮膜が作られますが、厚みが薄く強度に限界があります。一方、アルマイト処理では人工的に分厚い酸化皮膜を作るため、高い強度や耐久性を付与できるのが特徴です。また、アルミニウム表面の絶縁性を高めたり、熱伝導を抑える目的でも用いられます。

まとめ

今回は、さまざまな素材の仕上げ・下処理として用いられる、表面処理手法について解説しました。表面処理は素材の強度や耐久性の向上、見た目や触感の改善といった目的で行われます。めっき・塗装・熱処理を始め、表面処理の手法は数多く開発されており、材質や目的によって最適な方法は変わります。手法ごとの細かな違いを理解して、表面処理手法を選択するようにしましょう。

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