センサーとは?種類ごとの原理や選び方を学ぼう!
2024.08.06更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶センサーは、人間の目や鼻のように、さまざまな情報を取得するために使われる部品です。世の中には数多くのセンサーがありますが、求めている情報を正確かつ効率的に得るには、センサーの原理を理解し、最適なものを選ぶ必要があります。
そこで本記事では、センサーの種類ごとの原理と、選び方について解説します。
センサーとは
センサーとは、温度や湿度、物体の有無、距離、速度、加速度など、さまざまな物理量を測定する部品のことです。人の目や鼻のように、外界の情報を得られるのが特徴で、カメラや家電、パソコンを始めとする幅広い電子機器の制御に使われているほか、自動運転やIoTなどの最新技術もセンサーによって成り立っています。
センサーの内部には金属や半導体などの素子が入っており、物理量を電気的な情報に変換できるようになっています。それでは、一般的に用いられるセンサーについて、用途ごとの種類と、それぞれの原理を解説していきましょう。
物体の有無を測る
まずは、物体の有無を測るために用いられるセンサーを紹介します。このタイプのセンサーは、非接触型が中心となっており、物体に影響を与えることなく簡単に測定できるようになっています。
非接触型のセンサーにおいては、光電センサー、レーザーセンサー、近接センサーの3種類が主流です。
光電センサー
光電センサーは、機構が発光器と受光器に分かれており、発光器から照射した可視光や赤外光が受光器にどの程度届くかによって、間に物体があるかを確かめるセンサーです。発光器と受光器を一体化させ、ミラーの反射を使って検出する方法もあります。
安価で簡単に物体の有無が測れるのが特徴で、検出速度や分解能にも優れ、色の違いを判別することも可能です。ただ、光源のパワーは低めなので距離に限界があり、また透明なワークなどは検出が難しいといった短所もあります。
レーザーセンサー
レーザーセンサーは、繰り返し増幅によってパワーや指向性に優れるレーザーを光源としたセンサーです。基本的には光電センサーと原理は一緒ですが、光源の直進性が高くより長距離の認識ができます。分解能も非常に高いため、薄いワークの判別にも使えます。
レーザーはパワーが強く失明の原因ともなりえるので、設置する際に安全面への配慮が必要です。またホコリや汚れの影響も受けるので、クリーンな環境下でのみ使えます。
近接センサー
近接センサーは、ワークの近傍に配置し、磁力の変化によって物体の有無を検知するセンサーです。物体に接触させて有無を検知する、リードスイッチの代替として用いられています。
電磁誘導を使って検知するため金属製のワークにしか使えず、検知範囲も非常に狭いですが、高精度かつ安価に物体の有無を検知できます。また、光を使わないので汚れやワークの透明度、反射率などに影響されないのも強みです。
物体の位置を測る
続いては、物体の位置や角度を測るセンサーを紹介します。光学機器や工作機械など、非常に高精度な位置制御を行う機械に用いられます。
ポテンショメータ
ポテンショメーターとは、位置の違いを抵抗値に変換して測定するセンサーのことです。上下・前後などの変位はリニアポテンショメーター、角度の変化はロータリーポテンショメーターで測定できます。
接触型のセンサーですが、シンプルで高精度な測定が可能です。センサーから伸びた検出器をワークに接触させ、検出器の伸び縮みを抵抗値に変換して検出します。
エンコーダ
エンコーダーは、ワークの変位を磁気や光によって検知し、位置を認識するセンサーです。ワーク側に位置検出センサを取り付け、移動場所にスケールを配置することで磁気の違いを測定します。
光学式はより高精度な測定が必要な場合に向いており、磁気式は、汚れやすい環境下や耐久性が重視される場面で用いられます。
圧力を測る
圧力センサーは、空気圧や水圧を始め、昔からあらゆる分野で使われてきたセンサーです。最近主流となっている歪ゲージ式、静電容量式、光ファイバー式の3種類について解説します。
歪ゲージ
物体に圧力が加わると、物体の形状は変化します。その変化量をとらえて圧力を測定するのが歪ゲージです。歪ゲージには金属が取り付けられており、伸縮による抵抗値の変化を読み取って変形量を測定し、圧力に変換します。
構造が単純で安価ながら、測定精度が良いのがメリットです。ただ、歪による抵抗値の変化は微小なので、検出側でホイートストンブリッジを組み、正確に変化を読み取る必要があります。
静電容量式
静電容量式の圧力センサーは、センサー内部にダイアフラムという膜を取り付け、ダイアフラムの変形量によって圧力を検知する方式です。ダイアフラムの近くに固定電極を配置し、ダイアフラムと電極間の静電容量の変化で変形量を測定することから、静電容量式と呼ばれます。
静電容量での測定は抵抗値測定より高感度なことから、歪ゲージ式よりも小型で高精度なセンサーを作れるのが特徴です。また、構造上温度特性や耐衝撃性などにも優れています。
磁気を測る
磁気は、目に見えないながらも重要な情報であり、非常に利用範囲が広いセンサーです。地磁気の測定による方角検知やハードディスクの磁気ヘッド、医療用のMRIなどが代表例ですが、他にも自動車や産業用途など、幅広い場面で用いられています。
今回は代表的な磁気センサーである、コイル、ホール素子、MRセンサについて解説します。
コイル
コイルは、最もシンプルな磁気センサーです。コイル内部の磁場が変化すると、それを妨げる方向に誘導電流が流れるのを利用し、磁場の動的な変化を測定します。
構造が単純なので非常に壊れにくいメリットがありますが、磁場の変化が小さい場合や変化しない場合は測定が難しいため、限定したシーンで利用されています。
ホール素子
ホール素子は、電流が流れる物体に対して磁場をかけると、磁場と電流、それぞれと垂直な方向に起電力が発生する現象を利用したセンサーです。
InSbやGaAsなどの半導体に端子を付けるだけで実現でき、消費電力の少なさや小型化が簡単という特徴から、家電や自動車をはじめ、幅広い用途で用いられています。静磁場の測定が可能なので、磁場の変化が少ない場合にも有用です。
MRセンサー
MRセンサーは、磁気抵抗効果(MR効果)を利用した磁気センサーです。強磁性体は、磁場をかけることで電子の磁化方向が変化します。磁化方向が電流と平行だと抵抗値が低くなり、電流と垂直になると抵抗値は高くなります。この違いによって磁場の方向や強さを電気信号に変換し、測定するのがMR効果の原理です。
MRセンサーはホール素子よりも構造が複雑ですが、磁気感度や温度安定性、磁場に対する直線性などに優れ、より高精度な磁気測定が可能です。MR素子にはいくつかの種類がありますが、トンネル効果を利用したTMR素子のように、通常のMR素子の10倍以上の超高感度を持つ素子もあります。
リードスイッチ
磁気を検知してスイッチを入れるという動作で、利用されているのがリードスイッチです。不活性ガスを入れたガラス管に、細い磁性体を両端から伸ばした構造となっています。磁性体同士は離れていますが、磁気を受けると磁性体が磁化されて動き、接触して電気を導通するようになります。
単純な構造でON/OFFの制御しかできませんが、電源がなくとも動くので、自動車など信頼性が求められるスイッチに使われています。
加速度を測る
加速度センサーは、加速度によって動きや振動、衝撃などを検知できます。重力加速度の検知も可能なので、傾き(ジャイロ)センサーとしても利用可能です。
カメラの手振れ補正を始め、スマホやゲーム機のコントローラーにおける動き検知など、身近な所を始め、産業用でも製品や材料などの位置制御に幅広く用いられます。
今回は、圧電式とピエゾ抵抗式、静電容量式の3種類について解説します。
圧電式
圧電式は、圧電体に重りを乗せておき、圧電体が重りから受ける力を検知して電圧に変換する加速度センサーです。加速度が変化すると、重りから受ける力が変化するため、圧電体が発する電圧も変化します。
圧電体の素材としては水晶やセラミックが主に用いられます。圧電式の加速度センサーは強度が高く壊れにくいこと、測定範囲の広さと直線性の良さ、外部電源が不要といったメリットがあるため、幅広く用いられています。
ただ、動的な変化しか検知できないため、静的な測定が必要な際には不向きです。
ピエゾ抵抗式
歪ゲージを用い、加速度を抵抗値の変化で検知するセンサーです。部品に重りを取り付け、重りによる変形を歪ゲージで検知することで、加速度による影響を認識します。
重力加速度を基準として、どの程度の加速度が生じているかを測定するため、静的な加速度を測定できるのが特徴です。また、ノイズ耐性が高く、耐衝撃性にも優れています。
ただし動的な感度は低く、検知できる周波数が低いといったデメリットもあるため、感度が必要な場合には使いづらいです。
静電容量式
スプリングに取り付けた可動電極と、固定電極との静電容量を測ることで、加速度の変化を検知する方式です。可動電極は加速度の変化に合わせて変位するため、固定電極との距離が加速度に合わせて変化することで静電容量が変化します。
大きな衝撃には対応していませんが、精度は比較的高く、安価でサイズも小さいため、幅広い用途で用いられています。
まとめ
今回は、私たちの暮らしに欠かせない存在となっているセンサーについて、測定用途ごとのセンサーの原理をお伝えしました。
センサーは、さまざまな物理現象を起電力や抵抗に変換することで成り立っています。小型化や低コスト化も進み、センサーの導入は非常に簡単になっていますが、種類によって短所も変わるので、どのセンサーが用途にあっているかを確認したうえで選定することが重要です。
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