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電圧降下とは?電圧変動の原因や影響、簡単な計算式を伝授!

2022.04.01更新

電圧降下は、長いケーブルなど長距離を伝送させる際に問題となりがちですが、電源が原因となる場合や高周波における特殊な抵抗など、さまざまな状況で生じえます。

本記事では、電圧降下が生じる原因や、電源ケーブルにおける電圧降下の一般的な計算方法、高周波回路での注意点などを解説します。

電圧降下とは

電圧降下とは、広義では抵抗によって電力が消費され、電圧が下がることを指しますが、一般的には、長いケーブルなど本来は無視できる抵抗によって、意図せず電圧が下がってしまうことを言います。

ケーブルは理想的には抵抗がゼロであり、電圧降下は生じません。しかし実際は一定の抵抗値が存在するため、ケーブル長が長く、断面積が小さくなるほど抵抗値は無視できなくなります。

電圧降下が生じる原因

電圧降下にはさまざまな原因が考えられますが、送電線から供給される電源を使った場合は、電線の抵抗・変圧器のインピーダンス・電圧フリッカーが主な原因となります。それぞれの現象について解説します。

電線による抵抗

最も一般的なのが、電線の抵抗による電圧降下です。電線は銅やアルミニウムによってできており、抵抗値は非常に低いものの、電線の断面積が細く、長くなるほど抵抗値は大きくなるため、ケーブル形状によっては無視できなくなります。また、電流値が大きいほど、同じ抵抗値であっても電圧降下は大きくなります。

例えば、AWG12、50mのケーブルに家庭用電源をつなぐと、2Aを流した時点で電圧は約1V低下します。何らかの場合で数十メートル単位のケーブルを使わなければならない場合は、決して無視できない問題となるでしょう。

変圧器によるインピーダンス電圧

こちらは送電線側の問題となりますが、送電線に設置された変圧器によっても電圧降下は生じえます。変圧器はトランス構造となっており、コイルの巻数の差によって電圧を変換していますが、コイルでは巻線による寄生抵抗や漏れインダクタンスが生じるためです。

変圧器のインピーダンスがゼロだと短絡時に過大電流が流れる問題が発生するため、変圧器では一定のインピーダンスを持たせている場合が多いです。減衰する電圧値は小さいため、通常の利用で問題となることは少ないですが、電圧変動に敏感な機器を設計する場合は留意しておきましょう。

電圧フリッカー

電圧フリッカーとは、送電線に接続された負荷が、需要に合わせて急激に変化することで、電圧が瞬間的かつ周期的に変動することです。電気炉やパワーエレクトロニクスにおける負荷が原因となることが多いですが、最近では太陽光発電に付属した機器が原因となることもあります。

フリッカーによる電圧変動は大きく、機器の誤動作に繋がる可能性があり、寿命が短くなる原因にもなるため、もし生じた場合は早急な対策が必要です。

瞬時停電

送電線に雷が落ちるなどにより、一時的に電源がシャットダウンされることで、瞬間的に供給電圧が下がることを瞬時停電と呼びます。送電線は2本で1組となっており、完全に電気が止まることはほぼありません。しかし、1本の電源が遮断された場合でも瞬間的に電圧が大きく下がるため、電子機器の停止や誤動作を引き起こす可能性があります。

特にパソコンなどの精密機器や産業用機器は故障や誤動作に繋がりやすいので、保護回路などを組み込んでおくようにしましょう。

電圧降下によって発生する問題は?

電源の電圧降下が発生すると、機器にさまざまな悪影響を与えます。主に注意すべき問題について解説します。

電源の切断

通常、あらゆる機器は電源電圧で正常動作するように設計されています。しかし、電圧降下が生じた場合、動作に必要な電力が不足してしまうため、電子機器が強制的にシャットダウンすることがあります。

一般的な電子機器では、一定の電圧降下が起きた場合でも動くよう設計されていますが、動作効率が低下することもあるため、 可能な限り電圧低下を抑えた方が良いでしょう。

機器の誤動作

電源の切断よりも危険性が高いのが、機器の誤動作です。機器の設計者が想定していない電圧が入ると、設計外の動作を起こす可能性があります。誤動作は、電圧低下が生じた際、特にフリッカーなど、瞬間的な電圧変動が起きた際に生じやすい問題です。

通常は、誤動作が発生する前に電源を遮断するなど、機器側で対策が取られていることも多いですが、外部でも保護回路などを準備しておくようにしましょう。特にパソコンなどの精密機器は誤動作が発生しやすいため注意が必要です。

照明などのちらつき

照明を始め、電力を直接光などに変換している場合は、誤動作やシャットダウンが起きることはありません。しかし、電力の変動がそのまま変換後の出力に影響するため、ちらつきなどが発生するという問題があります。

特に照明は住環境に大きく影響を与えるほか、寿命の悪化にも繋がります。負荷の大きな機器を照明と同じ電源に接続していると生じやすいので、電源を分けるなどの対策を行うと良いでしょう。

電源ケーブルの簡単な計算方法

長距離の電線によって生じる電圧降下については、簡易的な計算による予測が可能です。家庭用の単線二線式や三相・単相三線式、直流電源など、電源の種類によって計算値は変わるので、どの計算式が当てはまるか考えて使ってください。

ただし、電流量が多くなり、ケーブル長が長くなるほど誤差は大きくなるので、誤差範囲が許容できるか確認した上で簡易式を使うことをおすすめします。

直流信号・単線二線式

単線二線式(一般家庭で使う100Vの交流電源)と直流電源における電圧降下は以下の式で近似できます。

電圧低下e = ( 35.6 × 電線長m × 電流A / 1000 × 断面積[sq] )

単相三線式

単相三線式(一般家庭で100V/200Vを切り替えて使える交流電源、IHや高出力エアコンに使われる)における電圧降下の近似式は以下となります。

電圧低下e = ( 17.8 × 電線長m × 電流A / 1000 × 断面積[sq] )

三相三線式

工場の電源として使われる三相三線式における電圧降下の近似式は以下となります。

電圧低下e = ( 30.8 × 電線長m × 電流A / 1000 × 断面積[sq] )

高周波回路における電圧降下

ここまでの話とは少し毛色が変わりますが、高周波回路を扱う場合は、低周波回路とは異なる原因で電圧降下が生じるようになります。

電源線で高周波を扱うことはまずありませんが、信号線などを伸ばす場合には、高周波特有のインピーダンス成分に注意してください。

分布定数回路で評価する

高周波とは、伝送線の長さよりも波長が短くなり、伝送線上で位相の変化が生じる信号のことです。位相が変化すると場所ごとに電圧値が変わってしまうので、送信側の電圧を一定に保っても、受信側では異なる電圧が出力されてしまいます。

そのため、高周波では位相の変化も含めて検討する必要があるのですが、そのまま計算するとあまりに労力がかかりすぎるため、TEM波や電子回路上の信号線においては、簡易的な計算である分布定数回路を使うのが一般的です。

表皮効果や近接効果も無視できない

ケーブルに高周波の電流を流す場合は、表皮効果や近接効果といった問題にも着目する必要があります。

表皮効果は、電源の周波数が上がれば上がるほど、電流によって磁場が発生し、磁場が邪魔をして導線の中心部に電流が流れにくくなると言う現象のことです。電流がケーブルの表面にしか流れなくなるため、抵抗値はケーブルの設計値よりも高くなります。

また、近接効果は電流の流れるケーブルが複数近接しているとき、電流によって生じる磁場が互いの電流に干渉し、ケーブル上の電流密度にムラができてしまう問題です。こちらもケーブルの一部分のみに電流が集中して流れるため、抵抗値が高くなります。

どちらの現象も周波数が上がるほど影響が無視できなくなるため、高周波を扱う場合は留意しておきましょう。

まとめ

今回は、電源や信号において、ケーブルなどで意図せず生じる電圧降下について解説しました。電圧降下は機器の意図せぬシャットダウンや誤動作、照明などのちらつきが生じる原因となるので、電源系統の設計を行う上で必ず注意すべき内容です。

基本的にはケーブル長が長すぎる場合に生じますが、他にもさまざまな原因で発生する可能性があります。扱う電圧や周波数、電線の種類に大きく影響を受けるので、設計の際には抜け漏れのないように検討しておきましょう。

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