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GNSSって何?仕組みやGPSとの違いを分かりやすく解説!

2023.10.08更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

GPSについて調べる中で、「GNSS」という単語を初めて聞いた方は多いのではないでしょうか。実は、衛星を使った位置計測方法の一般的な名称はGNSSであり、GPSはGNSSシステムの一つにすぎません。

本記事では、GNSSを知らない方に向けて、仕組みやGPSとの違いなど、基本的な知識をわかりやすく解説します。

GNSSとは?

GNSSとは、「Global Navigation Satellite System」の略であり、日本語でいう「全球測位衛星システム」のことです。地球の上空数万kmを周回する人工衛星と通信し、地球上のどの場所にいるかを正確に割り出す機能を持っています。

元々は航空機・船舶等の航法支援を行うために作られたシステムですが、カーナビ上で車の正確な位置情報を表示する時や、土木工事の測量を行う時など、幅広い用途で私たちの便利な生活を支えています。

GPSとの違い

GPSは「Global Positioning System」のことで、アメリカが運営している人工衛星システムのことです。GPSはGNSSの一つですが、世界で最初に構築されたこともあり、GPSという名称の方が認知度が高くなっているのが現状です。

ただ、GPSのみでは衛星の数が限られてしまい、位置特定の精度が下がってしまいます。そのため「GPS」と呼称されている機器であっても、実際はGNSSを利用しているのがほとんどです。

現在ではアメリカ以外にもさまざまな国が人工衛星を打ち上げてGNSSシステムを運用しており、それぞれ以下のような名称が付けられています。

国名 GNSSシステム名称
アメリカ GPS
ロシア Glonass
欧州 Galilleo
中国 BeiDou
インド NavIC
日本 みちびき

日本のGNSS通信システム「みちびき」

日本が独自に運用しているGNSSシステム「みちびき」についてもう少し詳しく解説します。みちびきは、2018年にサービスを開始した準天頂衛星システムのことです。みちびきは愛称で、正式名称は「QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)」となります。

元々日本はアメリカのGPSなどを使っていましたが、日本からアクセスできる衛星の数が少ないということから、位置計測の精度を上げるために開発されました。

日本国内での使用が目的なので、GPSが世界中を回る軌道を持っているのに対し、みちびきは日本上空にのみ飛ぶよう設計されています。ただ、日本上空に衛星を固定させるのは技術的に難しいため、赤道から南北に8の字を描く形で回る「準天頂軌道」という特殊な軌道で回っているのが現状です。

「みちびき」は2018年に打ち上げた4基の衛星によって開始され、2022時点でも4基での運用を行っています。また、2024年以降に3基の衛星を別途打ち上げ、7基運用にする予定となっており、さらなる位置精度の向上が期待できます。

位置情報を把握する仕組み

それでは、GNSS通信によってどのように位置情報を把握しているのか、基本的な仕組みを紹介します。必要となる精度ごとで3つの位置測定方法に分かれるため、それぞれについて解説を行います。

単独測位

「単独測位」は最も簡単で、一般的に用いられている位置測定方法です。複数の衛星と受信機を通信させて位置を特定します。

まず、衛星からの通信を受信機で受け取ります。衛星の通信には原子時計によって生成された送信時刻が刻まれています。信号は光の速度で届くため、受信した時刻と送信時刻との時間差を光速で割ると、衛星からの距離が判定できるのです。

もちろん、1つの衛星のみでは距離だけで場所は分からないため、3つ以上の衛星に対する距離を測ることで、それぞれの衛星との距離が交差する位置が分かります。

実際は、天候や大気のゆらぎ、遮蔽物などでさまざまな誤差が発生するため、一定以上の制度を保つため、4つ以上の衛星と通信するのが一般的です。

また、単独測位では精度に限界があり、最大10m程度の誤差が発生することから、より精度を求める場合は次に紹介する相対測位を使う必要があります。

相対測位

相対測位は、単独測位より位置情報の精度を高めるため、別途基準局を用意する測定方法です。基準局は既に正確な場所が分かっている受信機のことで、受信機とは別に衛星通信を受信し、実際の位置とGNSSで得た情報の誤差を明らかにし、補正情報を送信することで誤差を低減します。

相対測位は、基準局との通信方式の違いによっておおまかに「D-GNSS測位」と「RTK測位」に分かれています。

D-GNSS(ディファレンシャルGNSS)測位

まず、GNSSの誤差をサブメートル単位に抑えるために用いられるのがD-GNSS測位です。D-GNSS測位では、基準局が単独測位を行った結果、生じた誤差を補正情報として記録します。

その後、受信機が測定を行った際、基準局の補正情報を追加することで、大きな位置のずれを修正できるのです。単独測位が10m程度の誤差なのに対し、DGPS測位を使えば1m程度の誤差で抑えられます。

ただ、最近は固定衛星「ひまわり」による補正情報など、さまざまな形で補正情報が手に入り、単独測位の精度も上がったことから、D-GNSS測位は使われなくなりました。実際に、海上保安庁では2019年をもってD-GNSS測位を廃止しており、相対測位で使われるのは次で紹介するRTK測位が基本となります。

RTK測位

他のGNSS測位では難しかった、センチメートル単位での位置測定を行いたい場合に用いられるのがRTK(リアルタイムキネマティック)測位です。RTK測位の特徴は、位置測定に「搬送波測位」を使っている所にあります。

通常のGNSS通信では時間情報を送信していましたが、時間情報の伝搬自体に時間がかかるため、位置特定精度に限界がありました。しかし、搬送波測位では、衛星から送信される搬送波を一つ一つ認識し、時間情報よりも小さな「物差し」として使います。

送信から受信までにいくつの搬送波が流れたか測ることで、センチメートル単位での誤差を実現するのです。また、D-GNSS測位と同様に補正情報も使うことで、対流層などで生じる誤差も相殺でき、安定した精度を誇ります。

ちなみに、RTK測位を行う場合の基準局は自身で用意できるほか、国土地理院が全国1,300カ所に設置した「電子基準点」を使うことも可能です。

まとめ

今回は、GNSS通信に着目し、仕組みやGPSとの違いなど基本的な情報をお伝えしました。GNSS通信は、衛星を使った位置情報システムの総称であり、日本で「GPS」と呼ばれる機器はほとんどの場合GNSS通信を使っています。

また、GPSは数メートルの誤差があるイメージが強いですが、最近ではRTK測位が登場し、センチメートル単位の精度で測定が可能となっています。GNSSやRTK測位を行う製品やサービスは多数販売されているため、どのようなことができるか詳しく調査してみてはいかがでしょうか。

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