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スマホのロック解除で見かける生体認証とは?種類・特徴・問題点も

2023.10.09更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

皆さんは生体認証をご存知でしょうか?SF映画などで顔にレーザー光を当てて本人認証しているシーンを見たことがある人は多いと思います。これは生体認証と呼ばれる技術の代表例で、最近ではスマホのロック解除などに活用されています。そこで今回は生体情報を使用した認証方式の生体認証について解説していきます。

生体認証とは?

まず、生体認証の概要について解説します。実際の生体認証の例にも触れていきますので、具体的なイメージを掴んでおきましょう。

生体認証は生体情報を活用した認証方式

生体認証とは、人間一人一人の生体情報や行動特性の違いを利用した認証方式のことで、最近ではスマホのロック解除などに使用されています。従来はパスワードやPINコードを入力して認証するのが一般的でしたが、センサ技術やデータ処理技術の発展により、人間一人一人の生体情報の僅かな違いを検知できるようになったことで発展しました。代表的な仕組みとしては、事前に採取・記録しておいた本人の生体情報と、目の前の対象の生体情報を照合し、合致率が一定以上なら本人とみなす、というものが一般的です。

 生体認証の具体例

先の例でも挙げたように、生体認証で広く知られているのはスマホの本人確認ですが、世の中には様々な生体認証の実例が存在します。例えば、日本赤十字社は献血の際の本人確認を指先の指紋により行っています。また、一部のホテルでは顧客が事前に顔写真を提出することで、顔認証カメラに顔を写すだけでチェックイン手続きが行えるサービスを導入しており、身近なところにも生体認証が行われていることが分かります。

生体認証の種類と特徴

それでは早速、生体認証で使用される生体情報の種類と特徴について深掘りして解説していきます。良く知られる顔認証や指紋認証以外にも様々な生体情報を認証に活用しているので、しっかりと覚えていきましょう。

目で認証

1つ目の生体認証は目の網膜や虹彩を使用した認証です。網膜認証では目の奥にある網膜部分の毛細血管のパターンで認証します。高精度ではあるものの、物理的にカメラを目に近づける必要があるため導入事例は少なめです。これに対して目の表面付近の虹彩を用いた認証は、非常に高精度でありながらも観測が容易で、スマホの認証などにも使用されています。

手で認証

2つ目の生体認証は手の指紋や掌紋を使用した認証です。指紋認証は比較的古くから存在する生体認証の一つであり、他の生体情報に比べて詐称テクニックも多いものの、手軽さと正確性から多く採用されている方式です。掌紋を用いる場合は、手のひらのしわのパターンを用いて識別します。どちらも加齢や表面の傷等によって認証精度が下がる可能性があるため、定期的な生体情報の更新が必要です。

顔で認証

3つ目の生体認証は顔のパターンを使用した認証です。顔認証も多くの場所で採用されており、最近では表面体温計とセットで使用されることもあります。目や鼻、口などの位置や形状から総合的に認証するのが一般的で、可視光カメラで単純な顔写真を撮影・比較するタイプや、赤外線カメラで顔表面の凹凸を採取するものもあります。顔認証も比較的手軽な反面、見た目がそっくりな双子を誤認証してしまうリスクや、メガネの有無で精度が変わる可能性があります。

DNAで認証

4つ目の生体認証は遺伝情報のDNAを用いた認証です。DNA鑑定といった言葉でも知られており、血液や皮膚、唾液などの身体的サンプルを使用する最も正確な生体認証です。DNA認証はその特性上、測定に時間がかかるためリアルタイム認証には向かないものの、犯罪捜査や血縁関係の確認など確実な認証が求められる場面で重宝されます。

行動で認証

5つ目の生体認証は人の行動データを利用した認証です。歩き方や字の書き方、まばたき、マウス操作の癖など我々が普段無意識に行っている行動を認証に使用します。無意識な動作のため他人を真似たり誤魔化したりすることが案外難しく、比較的精度の高い認証と言われています。しかし、個人の動きの様子を撮影したデータを用いるため、プライバシー保護の観点に注意が必要です。

その他の認証

の他にも生体認証として、血管や音声、耳の形状、体臭などを利用するものがあります。例えば血管認証は手を流れる動脈と静脈のパターンを認証に使用します。血管パターンは加齢でもあまり大きく変わらないため、高精度で半永続的な認証が行えます。音声認証では発話時の周波数データから認証を行います。高速で認証できる反面、精度やセキュリティ性に課題が残ると言われています。

生体認証のメリット

生体認証には従来の認証方式と比較して大きく3つのメリットがあると言われていますので、順番に解説していきます。

セキュリティ性が高い

生体認証の1つ目のメリットは、認証のセキュリティ性が高いことです。例えばカードキーなどの物理的な鍵を使用する認証の場合、キーを盗難されてしまうと認証を突破されるリスクがあります。また、パスワードや暗証番号を用いて行う認証方式も、隠しカメラや覗き見等によってコードを覚えられては意味がありません。しかし生体認証で使用する生体情報は他人と一致することはなく、盗まれたり真似をされるリスクもないため、従来の認証方式に比べてセキュリティ性が高いです。

パスワードを記憶・管理する煩わしさがない

生体認証の2つ目のメリットは、パスワード類を記憶・管理する煩わしさがないことです。従来の認証方式ではランダムな文字列を複数覚える必要がありましたが、生体認証では自身の身体そのものが鍵となるため、どの認証にどのパスワードを使用するか、ということを記憶・管理する必要がありません。

高速で認証できる

生体認証の3つ目のメリットは、高速で認証できるということです。生体認証の記録や照合には様々なデバイスを使用しますが、これらデバイスは人間がパスワードを手入力するのに比べてはるかに高速に動作します。これにより、複数の生体認証スキャンを必要とするシステムを構築しても、対象者にほとんどストレスを与えることなくセキュリティ性の高い認証が行えます。ウイルス感染リスクを下げる目的で、人同士の接触時間は極力短い方が喜ばれる現代では、単なるストレス低減だけでなく、感染リスクを下げるメリットもあります。

生体認証が抱える問題点

これまでの説明では生体認証が持つ良い面を中心に解説してきましたが、ここからは生体認証が抱える問題点について解説していきます。

生体情報の変化に対応できない

一つ目の問題点は加齢や怪我等による生体情報の変化に対応できない点です。生体認証では事前に採取・記録した生体情報との照合を必要とします。そのため、加齢や怪我などによって採取時と生体情報が異なると、正しく認証が行われない可能性があります。

プライバシーにも配慮が必要

2つ目の問題点は認証時のプライバシーへの配慮が必要な点です。生体情報はそのまま個人の肉体的なデータとなるため、他人に見られることを極端に嫌う人もいます。音声や顔写真など、知り合いが見れば個人が特定できてしまうデータには特に注意が必要です。

情報漏えい時のリスクが大きい

3つ目の問題点は情報漏洩時のリスクが非常に大きい点です。加齢や怪我等による変化を除き、個人の生体情報は大きく変わることはありません。これはセキュリティ性を高めてくれる一方で、万が一漏洩した際は多くのデバイス認証を通過されてしまうため、非常に漏洩リスクが大きいです。パスワードのように漏洩したから変えるということもできないため、これまで以上に厳格な漏洩対策が求められます。

設備の導入コストが高い

4つ目の問題点は設備の導入コストが高い点です。生体認証システムの導入にはカメラやマイク、専用のセンサなど生体情報に応じたスキャナデバイスが必須となります。これらのデバイスは僅かな生体情報の違いを検知できる精度を有しているため、基本的に高価なものが多いです。他にも採取した情報を記録・照合するための記憶媒体や専用ソフトなども必要になるため、従来の認証システムに比べて高価になりがちです。

認証精度に課題が残る

5つ目の問題点は認証の精度に課題が残る点です。生体認証では本人を他人と誤認識してブロックしたり、逆に他人を本人と誤認識して認証を通してしまう可能性があります。これらはトレードオフの関係にあり、セキュリティ性能を高めようとすると他人と誤認識してしまう可能性も上がってしまい、逆に利便性を上げようと認識精度を落とすとセキュリティ性が低下してしまいます。

認証設備がないと使えない

最後に紹介する問題点は認証設備がないと使えない点です。一見すると当たり前のようにも思えますが、従来のパスワードを用いた認証では、遠隔地からのアクセスにも対応できることが多く、異なるデバイスからでもアクセスできることが多いです。一方の生体認証では、同じサイトやソフトウェアにアクセスしようとしても、デバイス側に認証設備が搭載されていなければ認証機能を使えない上、出張先などから遠隔アクセスするには出張先の設備状態に左右されてしまいます。

まとめ

今回はスマホの本人確認やホテルのチェックイン手続きなどに使用される生体認証について解説してきました。技術の進歩により身近になってきてはいるものの、まだまだ精度や導入コストなどの課題も多い技術といえます。一方で扱える生体情報の増加など今後も発展する余地のある技術ですから、最新の動向を見守っていきましょう。

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