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  • 寄生容量(浮遊容量)とは?生じる場所や起きる不具合について解説!
  • 寄生容量(浮遊容量)とは?生じる場所や起きる不具合について解説!

    2024.08.27更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    電子回路の設計において、様々な所で問題を引き起こす「寄生容量」。どのような現象なのか、気になる方もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、寄生容量がどんな現象かや、なぜ生じるかを分かりやすく解説します。

    寄生容量(浮遊容量)とは

    寄生容量とは、電子機器において意図せずに発生する容量(コンデンサ)成分のことです。電子回路では、コンデンサを使い、容量成分によって電気を一時的に蓄えることで様々な機能を実現しています。しかし、容量成分はパターン間やコイル内部の銅線間、ケーブル間など、導体同士が近接している状況では意図していない所でも発生します。これらは多くの場合製品の性能に悪影響を及ぼすことから、寄生容量や浮遊容量と名付けられ、対策が練られています。特に高周波信号を扱う電子回路では小さな寄生容量でも大きな影響を与えるため、繊細な対策が必要です。

    寄生容量(浮遊容量)が生じる場所

    寄生容量は、導体が近接している所であればどこでも生じますが、特に電子回路を設計する際に問題となりやすい場所を紹介します。

    導体パターン間

    まず、寄生容量が最も生じやすいのが、プリント基板上の導線パターン間です。プリント基板上では基板面積を最大限活用するために、複数の信号線を並行して配置することがあります。ただ、2本のパターンを長い距離並行に配置してしまうと、コンデンサとしての性質を持つことから、寄生容量が発生してしまいます。そのため、パターンの距離を離すか間にGND層を入れることで、寄生容量が発生しないようにする必要があります。

    また、積層基板を使う場合は、平面上のパターンはもちろん、隣接した層間でも寄生容量が発生することに注意しなければなりません。個別に対策を行うのは非常に難しいので、信号を配置する層の上下にGNDや電源のプレーン層を入れるのが一般的です。

    ケーブル間

    ケーブルも複数の信号線が並行して配置されるため、寄生容量の原因となりがちです。通常のケーブルでは配線同士をねじりながら伸ばす撚線を行うことで対策していますが、高周波を扱うケーブルなどではそれでも寄生容量が無視できない場合があります。そのような場合には、配線同士の間に仕切りやシールドを挟むことでより強固な対策を行っています。

    また、ケーブルにおいてはそれ単体が微小な静電容量を持っていることにも注意が必要です。特に長い距離にわたりケーブルを伸ばしていると、静電容量が大きくなり信号が劣化するといった問題が生じます。

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    寄生容量(浮遊容量)によって生じる不具合

    それでは、寄生容量によってどのような問題が生じるのか解説します。

    共振

    電子回路においては、抵抗やコンデンサ、インダクタ成分が組み合わさることで共振回路が発生します。この共振回路は様々な用途で活用されますが、寄生容量が回路上の抵抗などと組み合わさることでも生じ、想定していない信号やノイズを増幅させることもあります。寄生容量における共振は、信号周波数が高い場合に顕著な問題を引き起こすため、高周波信号を扱う場合はパターンの距離などで生じる寄生容量に注意する必要があります。

    クロストーク

    信号線同士の配線が横並びになっている時は、クロストークによる不具合が発生します。クロストークとは、ある信号線に流れる信号が他の配線に流れ込み、ノイズとして悪影響を及ぼす現象のことを指します。

    この現象は、配線同士が寄生容量を持ち、コンデンサとして働くことで、交流信号を通してしまうのが原因で生じます。そのため、クロストークが生じている場合は、信号線同士を物理的に離すなどの対策が必要です。

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    その他の寄生成分も要注意

    意図しない所で生じる寄生成分には、寄生容量以外にも寄生インダクタンス、寄生抵抗といったものがあります。それぞれの特徴と生じる問題点についても言及します。

    寄生インダクタンス

    寄生インダクタンスは、想定していない所に発生するインダクタ成分のことです。パターンやケーブルなどの導体は全て微小なインダクタンスを持つため、寄生インダクタンスはそこかしこで発生します。また、パターンやケーブルが大きなループを描いていると、そのループ自体がコイルとして働くことから、比較的大きな寄生インダクタンスが発生します。

    これらで生じたインダクタンス成分は交流信号を遅延させるため、特に高周波回路で信号波形が崩れることによる不具合につながります。また、スイッチング素子があると信号のリンギングやサージなども発生するので、配線を短くしたり、ループを解消するといった対策が必要です。

    寄生抵抗

    同様に、寄生抵抗は意図しない所で生じる抵抗成分のことです。例えばコイルでは巻線が持つ微小な抵抗が寄生抵抗になりますし、コンデンサでは電極の抵抗や漏れ電流などによる損失が寄生抵抗として働きます。また、回路上のパターンも全て微小な抵抗を持ちます。寄生抵抗はそれ単体では大きな問題とはなりにくいですが、容量成分やインダクタンス成分と合わさることで問題が表面化することがあります。特に最新の電子部品などでは寄生容量などと合わさって生じる信号の遅延が問題となりがちなので、様々な場所に寄生抵抗があることを理解して設計を行わなければなりません。

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    まとめ

    今回は、寄生容量が与える影響や、どのような場所で生じるかを分かりやすく解説しました。寄生容量とは、導体が2つ近接することで、意図しない場所で生じるコンデンサ成分のことです。一般的にはそこまで大きな影響を与えるわけではないものの、共振やクロストークなどの現象が不具合につながる場合もあるので、常に設計上注意すべき問題といえます。寄生抵抗や寄生インダクタンスとも合わせて注意することで不具合の少ない製品を作れるので、ぜひ設計者は常に頭の片隅に覚えておくようにしてください。

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