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プリント基板(PCB)とは?基礎知識から製造工程まで解説!

2023.10.10更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

電子機器の中身を開けると必ず入っているプリント基板。四角い緑色の基板をイメージする方が多いと思いますが、他にもさまざまな種類があり、使い分けが重要です。

本記事では、プリント基板の種類や製造工程など、基礎知識をお伝えします。

プリント基板とは

プリント基板とは、電子機器には欠かせない、電子回路を一つのコンポーネントとして作った部品のことです。抵抗やコンデンサ、ICなど、電子部品はさまざまな種類が販売されていますが、特定の機能を持たせるためには、各部品を接続して電子回路を形成しなければなりません。

プリント基板は板状のプラスチックで出来ていますが、その内部や表面に銅箔を貼り付け、部品をはんだ付けで接続することにより、電子部品同士を繋ぐことができます。

PCBとPWBの違い

プリント基板は「PCB」と呼ばれることが多いですが、他にも「PWB」とも呼ばれることがあります。この違いはプリント基板の表面に電子部品が実装されているかどうかによって変わります。PWBは「Printed Wiring Board」の略であり、プリント基板に配線のみが行われ、部品が実装されていない状態のことを指します。この状態ではパターン形状や基板自体の状態は確認できますが、部品がないため動作はしません。

一方、PCBは「Printed Circuit Board」の略で、PWBの表面に電子部品が実装された状態のことを指します。通常は製品として完成した「PCB」を使うことが多いですが、パターンチェックを行うときなどはPWBを別途用意することもあるため、違いを理解しておくことが重要です。

プリント基板の種類

プリント基板といえば板状の基板というイメージが強いですが、使われる材料は複数あり、形状や構造もそれぞれ異なります。一般的によく使われる、プリント基板の種類を紹介します。

リジット基板

リジット基板は硬質な基板を用いた、普段目にすることが多い一般的なプリント基板のことです。基板材料には、ガラスエポキシ樹脂やフェノール樹脂が用いられます。簡単かつ安価に作成できることや、樹脂の表面だけでなく内部にも配線パターンを引くことができ、面積に対して非常に複雑な配線が組めることがメリットです。ただし、折る、曲げるといったことは行えないため、プリント基板が入るように製品にスペースを空けておく必要があります。

フレキシブル基板

フレキシブル基板は、柔らかく曲がるフィルム状のプラスチックを使ったプリント基板です。ポリイミドやポリエチレンテレフタレートなどが主な材料として使われます。筐体の形に沿って曲げるなど、自由に形を変えて配置できることから、スマートフォンなど小型・軽量さが求められる電子機器には欠かせない存在です。便利な反面、部品を実装した場合、負荷がかかるとはんだが剥離するなどさまざまな不具合が起きやすいため、設計・製造には高い技術力が必要となります。

リジットフレキ基板

フレキシブル基板の端にリジット基板を接続した基板のことです。それぞれの基板は別々に製造し、スルーホール(またはビルドアップ)で接続します。実装の容易さやコストに優れるリジット基板を使いつつ、立体的な配置にも対応できるのがメリットです。

コネクタやケーブルを使わずに済むため、基板が小型化できるほか、コネクタからのノイズも無くせるため、特にノイズを嫌う小型精密機器に用いられています。製造には高い技術が必要で基板コストは高めですが、コネクタが省略できるため逆にコストが下がる場合もあります。

メタルベース基板

プリント基板の基材を、プラスチックではなくアルミニウムなどの金属に置き換えたものがメタルベース基板です。基材の上に絶縁体を重ね、その上に銅箔パターンを形成します。金属は熱伝導率が高いため、LEDなど放熱性を重視する製品に使われることが多いです。基材には銅やアルミを使うのが一般的ですが、熱伝導率がより高い金属を使うこともあり、絶縁体にも熱伝導率の高いセラミックを採用するなど、さまざまな工夫が行われています。

プリント基板の製造工程

続いては、プリント基板がどのように作られるのか、基本的な製造工程を紹介します。

パターン設計(CAD・CAM)

まず始めに、プリント基板における銅箔パターンの設計を行います。設計には電子回路用の二次元CAD(CR8000など)を用いるのが一般的です。パターンの形状によってはEMCノイズが発生したり、製造不良が生じる可能性があるため、細かいルールに則って設計する必要があります。設計後はCAMを用いて製造設備用のデータに変換し、銅箔パターンの製造を行います。

電子回路用のCADについては「「Board Designer」のCR5000シリーズとは?使い方や操作方法を解説!」で詳しく解説しているので参考にしてください。

パターン形成(露光・エッチング)

次に行うのは、プリント基板上に設計した銅箔パターンを作る工程です。銅箔パターンの形成には、露光とエッチング加工が一般的に用いられています。露光は、CADで作った銅箔パターンのデータを基板上に転写する工程です。生基板(パターン形成前の基板)は、上からレジスト、銅箔、基材という3つの層で作られています。

その上から、銅箔パターンの形に穴を開けたフォトマスクを被せ、紫外線を当てると、フォトマスクで遮られていない部分のレジストだけが硬化します。その後、硬化していないレジストを薬品で洗い流すと、硬化したレジストが銅箔パターンと同じ形で基板上に残るのです。

銅箔パターンの転写が終わったら、エッチング工程に進みましょう。エッチングは基板に薬品を吹きかけ、銅箔を化学的に取り除く手法です。硬化したレジストが残る部分はエッチングが行われないため、レジストと同じ形に銅箔パターンが残ることとなります。エッチング後に硬化したレジストを除去すると、CADで設計した通りの銅箔パターンが完成します。

積層・プレス加工

積層・プレス工程は、多層基板の製造において必要な工程です。配線パターンの上からプリプレグを乗せて間隔をあけ、再度基材・銅箔を貼り付けることで、多層の銅箔パターンを作ります。全ての層を作り終えたらプレス機にかけ、各層がはがれないように接着して完成です。

穴あけ加工・銅めっき

積層を行っただけでは各層が絶縁された状態となるので、各層における特定のパターンだけを導通させるために行う工程です。ドリルやレーザーを使って基板に穴をあけ、穴の表面に銅めっきを施すことで、穴につながる銅箔パターンを全て導通させます。

基板上に開ける穴はビアやスルーホールと呼ばれます。これらの穴あけ加工について詳細が知りたい方は「スルーホール、ビア、ランド(パッド)とは?基板の種類や使用上の注意点も紹介!」を参照ください。

レジスト塗布

全てのパターン形成が終わったら、基板表面にある銅箔パターンを保護するために、ソルダーレジストを塗布します。実装部品のパッド部分にはソルダーレジストが塗布されないよう、レジストパターンを形成してから塗布を行います。ソルダーレジストの塗布後、シルク印刷などを行ったらプリント基板の完成です。

外観・導通検査

プリント基板が完成したら検査を行いましょう。検査工程は、基板表面のキズや汚れをチェックする外観検査と、基板内部の配線不良をチェックする導通検査に分かれます。

まとめ

今回は、プリント基板(PCB)の基礎知識と製造工程について解説しました。プリント基板は電子回路を1つのコンポーネントとして作った部品のことで、さまざまな電子部品を銅箔パターンにより接続しているのが特徴です。

一般的によく見るリジット基板のほか、容易に曲げて使えるフレキシブル基板など、いくつかの種類があります。プリント基板の設計・製造の際には数多くの工程が必要であり、技術的な注意点も多いため、製造の際にはノウハウを持った事業者に問い合わせましょう。

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