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  • 半導体材料の半導体ウエハーとは?製種類や製造工程を詳しく解説!
  • 半導体材料の半導体ウエハーとは?製種類や製造工程を詳しく解説!

    2024.08.22更新

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    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    スマホやパソコンなどの様々な電子機器に欠かせない半導体。その材料となるのは半導体ウエハーと呼ばれる円盤状に加工された物質です。今回はそんな半導体ウエハーについて、具体的な種類や製造工程、製造上の注意点などを解説していきます。半導体について詳しく知らない方でも理解できるような内容ですので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

    半導体ウエハーとは

    半導体の素となる半導体ウエハーとは、シリコンなどの単結晶からなるインゴット(塊)を、円盤状に薄くスライスしたものです。表面は鏡面状に仕上げられており、半導体ウエハーを東京ドームサイズと仮定すると、実に毛細血管2本分(10μm程度)以内の凹凸しかないと言われています。また、その純度に対する要求も厳しく、イレブンナインと呼ばれる99.999999999%もの純度が要求されます。半導体ウエハーの9割以上がシリコンを原料としたシリコンウエハーですが、世の中にはそれ以外の金属を用いた半導体ウエハーも存在します。

    シリコン以外にも種類がある

    シリコン以外の金属を素とした半導体ウエハーとして、酸化アルミニウムの結晶から作られるサファイアウエハー、炭化ケイ素からなるSiCウエハーや窒化ガリウムからなるGaNウエハーなどの化合物半導体ウエハー、ゲルマニウムの結晶から作るゲルマニウムウエハーなどがあります。サファイアウエハーはシリコンウエハーに比べて製造コストが掛かってしまうものの、化学的に安定していて高温領域にも強い特徴を持っています。

    また化合物半導体ウエハーはその名の通り化合物を使用したウエハーで、シリコンウエハーよりコストはかかるものの、消費電力が少なく高速な半導体が作れるため、近年盛んに研究されているウエハーです。ゲルマニウムウエハーはシリコンウエハーが主流になる前によく使われていたウエハーでしたが、大きな面積のウエハーの製作には向かずシリコンに取って代わられました。

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    シリコンウエハーを作る工程は9工程

    半導体ウエハーの中でも主流のシリコンウエハーの製作は、高純度なシリコンインゴットの製作から最終検査まで9つの工程がかかります。1つ1つの工程の内容や目的にも触れながら順番に解説していきます。

    シリコンインゴットの生成

    シリコンはケイ石と呼ばれる鉱石を蒸留して得られます。珪石とは酸素とケイ素が結合した化合物で、ガラスや陶芸品の原料としても知られる鉱石です。ケイ石を蒸留するとシリコンの多結晶が得られますが、多結晶のままでは粒界で電子が散乱してしまってキャリア移動性が低いため、優れた半導体を作るには単結晶の塊にする必要があります。

    単結晶の製造方法にはCZ方式とFZ方式があり、CZ方式では大きなるつぼ内に溶融したシリコンを入れておき、一度浸した種結晶をゆっくりと引き上げることで大きな単結晶の塊へと成長させます。一方FZ方式では、多結晶シリコンを局所的に加熱・溶解し、種結晶に触れさせて単結晶化させ、加熱部を少しずつ移動させることで全体的に単結晶にしていきます。

    インゴットを円盤状に切断するスライシング

    単結晶のシリコンインゴットが得られたら、内周切断機やワイヤーソーと呼ばれる切削機を使用して円盤状に切断します。切削したものがウエハーの原型となり、この段階では厚みが不均一なうえ表面も粗い、アズカット・ウエハーと呼ばれる状態です。内周切断機を用いる場合、内側が刃となったドーナツ状のカッターを使用し、インゴットを1枚1枚切断してウエハーにします。

    一方でワイヤーソーを用いる場合、複数のワイヤーを一定間隔でピンと張った状態にしておき、シリコンインゴットを押し付けることで、一度に複数枚のウエハーへと切断します。最近ではインゴットの大型化が進んだため、ワイヤーソーを用いた複数切断が主流です。

    ウエハーの角を面取りするべべリング

    スライシングによって出来上がったアズカット・ウエハーの角を面取り加工するのがべべリングです。ちなみにべべリングは斜面を表す「Bevel(ベビル)」が語源となった用語で、半導体業界やデザイン業界などで使われます。切断直後のウエハーは外周部に角がある状態となっており、放置すると後の工程でちょっとした衝撃を与えた際、欠けやひび割れを起こす原因となります。

    そこでダイヤモンドホイールなどの砥石を使って角を丸くし、更に粉塵が出ないように鏡面仕上げまで行うのがべべリング工程です。また、この工程はスライシング直後のいびつな円形ウエハーを正円に仕上げる目的も兼ねています。

    厚みを揃えつつ表面を仕上げるラッピング

    ウエハーの表面を磨いて、これまでの工程で発生した傷などを除去するとともにウエハー自体の厚さを揃える工程をラッピングと言います。スライシングで切断したウエハーの切断面は機械的な衝撃や熱によって材質的に変化した材質変質層になっているため、研磨して取り除く必要があります。

    上下2枚に分離したラップと呼ばれる研磨機を使用し、ウエハーを固定した下部ラップと上から圧力をかける上部ラップがそれぞれ逆方向に回転することで表面を仕上げていきます。この工程ではウエハーの厚みも均一化されますが、後工程へ悪影響を及ぼさないようマイクロメートル単位の高精度仕上げが要求されます。

    微細な傷や歪みを取り除き回路構築するエッチング

    エッチングは腐食性の高い液体や気体により、ウエハー表面の不要部分を取り除く工程で、ラッピングでは除去できない微細な汚れや歪みを化学的に除去するとともに、回路パターンの形成も行います。エッチングはエッチング液に浸して仕上げるウェットエッチングと、プラズマ化したガスを吹き付けて表面上の原子を取り除くドライエッチングに分かれます。

    希望する回路パターンに応じてウエハーを残す部分にレジストを塗布し、エッチング液またはガスに晒すことで、不要部分が除去され、結果的に所望の回路パターンが得られるのです。ウェットエッチングはドライエッチングよりも安価な反面、除去したくない部分も一部除去してしまうため、より高精度な要求の場合はガスエッチングを使用するのが一般的です。

    不純物ドープ後の結晶構造を整えるアニール

    回路パターンが形成されたら、ウエハーに熱を加えて化学的な変化を引き起こし、ウエハー内の結晶構造を回復させるのがアニール工程です。シリコンウエハーを半導体にするには特定の不純物を添加(ドープ)する必要がありますが、添加された不純物はそのままではシリコン原子とは結びつきません。

    そこでウエハーに熱を加えて化学的な変化を起こし、シリコン原子と不純物原子同士の結合を促します。また不純物の注入は周囲のシリコン原子同士の結合にも悪影響を及ぼすため、シリコン同士の結合を回復するためにも熱処理が必要となります。

    鏡面状に仕上げるポリッシング

    不純物ドープによって所望の回路パターンが構築されたら、再度表面を研磨して鏡面化するポリッシングを行います。ポリッシングの目的は傷や汚れの除去と凹凸の平坦化で、研磨剤が含まれたスラリー液をウエハー上に流しながら研磨機を回転させて磨いていきます。またウエハー製造上の最終研磨工程となるため、材質変質を引き起こさないよう注意が必要な上、表面の凹凸をナノメートルオーダー以下に抑える精密さも求められます。

    最終的な洗浄と乾燥

    ポリッシングが完了したら、過酸化水素水や塩酸などの洗浄液を使用してウエハーを洗浄し、超純水で洗い流します。超純水とは通常の水道水や純水よりも更に不純物が少ない水のことで、純粋なH2Oに限りなく近づけた状態を指します。最終洗浄では表面に付着した微細な埃や汚れを完全に取り除く必要があるため、洗浄部屋もクリーンルームと呼ばれる特殊な環境下が選ばれます。

    洗浄後のウエハーは表面の水分を飛ばす必要があり、ウエハーを高速回転させて遠心力で水分を飛ばす回転式や、イソプロピルアルコールの蒸気で水分を置換するIPA式などの方法を用いて乾燥させます。

    出荷前の品質検査

    洗浄が完了したら最終的な検査を行ってシリコンウエハーは完成です。品質検査の内容としては表面上の傷や汚れの有無、平坦度などを確認する目視検査と、ウエハー上に構成した半導体素子の電気的な特性を確認する性能検査があります。

    目視検査ではウエハーにレーザーを照射し、汚れや傷による光の散乱がないか見る方法や、画像認識によってチップ同士を比較し、不良チップを見つけ出す方法などがあります。また、性能検査では試験プローブからチップへと信号を入力し、信号が返ってこないものや理想的な反射波と異なる波形が返ってくるものを不良と判断する手法があります。

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    まとめ

    今回は半導体素子の素となる半導体ウエハーについて、製造方法をメインに解説してきました。半導体ウエハーは複数の工程を経て厳しい基準で作られていることが分かり、驚いた方も多いのではないでしょうか。今後ますます需要が高まるのはもちろんのこと、より高性能な半導体素子も求められるでしょうから、技術の発展に期待していきましょう。

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